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思考の集積

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知識や思考のあれこれをまとめています。知的好奇心の赴くままに。
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2023年12月の記事一覧

「先生」という一人称

「先生」という一人称

日本語の一人称は多様です。
私、僕、俺、あたし、わい、わし、自分、うち、吾輩、俺様、朕(?)……
自分の名前で呼ぶこと、相手との関係性で呼ぶこと(パパ、ママなど)も含めれば、無数にあります。
これらを英訳すると、すべて"I(アイ)"になります。

こうした一人称の多様性は、日本語の立派な個性でもあります。
相手との関係性を強く意識する文化。
敬語の文化とも繋がっています。

一人称が変わると、その

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「受験はゴールではない」はなぜ綺麗事に聞こえるか

「受験はゴールではない」はなぜ綺麗事に聞こえるか

高校で教員をしていて、気づいたことがあります。
それは、「受験勉強」と「学校の勉強」に対する認識が学校側と生徒側でズレる理由です。

皆さんは、この2つの「勉強」の関係について、どう考えますか?

「受験勉強と学校の勉強は別物」
「学校の授業だけでは受験に合格できないから、予備校に通う必要がある」

一般にはこうした考え方が散見されます。
多くの人は、「受験は受験、学校は学校」と割り切っているよう

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未来開示請求

未来開示請求

ふと思った。
「未来開示請求」ができるとしたら、どれくらいの人がするだろう。

あなたは、自分の未来が開示できるとしたら、しますか?
それとも、未来は知らない方がいいと思いますか?

そもそも、未来は自由に創造していくものだと考えますか?
それとも、未来はすでに決まっていると考えますか?

大昔から、
「人間には自由意志がある(から未来は決まっていない)」派 vs 「未来はすでに決まっている(から

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「事実>理論」の落とし穴

「事実>理論」の落とし穴

現代はエビデンス主義全盛時代。
どんなことを述べるにも、
「データは?」
と詰められる。

データは非常に大事です。
正面からは見えないこと、そもそも人の目には映らないことを可視化してくれる。
主観の中に、客観性をもたらしてくれる。
そういう意味では、なくてはならないと思います。

しかし、それが全てではない。
「データがあれば正しい」というわけではないし、「データがなければ誤っている」というわけ

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なぜBは死んだのか

なぜBは死んだのか

学校の国語の授業では、「なぜ」と問うことがあります。

物語で、「なぜ〇〇は××したのか」。
評論で、「〇〇を××というのはなぜか」。

「なぜ」は飛躍を埋める問いです。
〇〇と××の間にいくらかの飛躍があるとき、それが問われる。
その飛躍を、「〜から」と埋めるのが解答者の役割です。

僕は、この「なぜ」の問いはかなり慎重に扱わなければならないと考えています。
なぜか。
問い自体が攻撃的な側面を持

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因果と相関と

因果と相関と

因果関係と相関関係は、混同されやすい概念です。
因果は原因と結果。Aの結果、Bが起こるという論理。A→Bという一方的な関係。
かたや相関は、値の相互変動。Aが変わればBも変わるという論理。A↔︎Bという双方向の関係。

たとえば、文科省が出している「朝食摂取と学力調査の平均正答率との関係」について。

これはどちらか。

確かに、朝食摂取率と学力には関係がありそうです。
しかし、一概に朝食を摂った

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