見出し画像

意外と知らない「信用」と「信頼」の違い

「信用」と「信頼」は似たような単語のようで、実は使われ方が違います。


「信用金庫」とは言いますが「信頼金庫」とは言いませんね。逆に、「信頼関係」とは言いますが「信用関係」と言うのはなんだかしっくりきません。

このように私たちは、使い分けられた単語に自然と親しんで生活をしています。しかし実際に使い分けようとすると、何が違うのか疑問に思う人は多いはずです。
この記事では、「信用」と「信頼」の意味や使い方の違いをご紹介します。

「信用」と「信頼」の違いとは?ベースの違いがポイント

結論から先に述べると、
・ 条件ありきの過去を信用するもの
・ 無条件に未来を信頼するもの

という違いがあります。

それぞれの違いを詳しくご紹介します。

過去を「信用」するの意味とは?

「信用」とは、過去の行動実績などに基づく「目に見える評価」を客観的にすることです。
つまり、「信用」をするためには、過去の実績や成果を証明する物質・商品が必要不可欠となります。
その対象となる人が作り上げてきたモノや数字を「物理的に」判断基準とします。
例えばクレジットカード会社は契約をする人の「信用情報」を管理しています。

信用情報とは、その顧客が今までしっかりとお金を返してきたのか、借金をしていないか、支払いを続けるだけの経済状態であるのかに関する過去の情報のことを意味します。
つまり、過去の実績が「信用」として積まれている情報をもとに契約を結ぶというわけです。

他にも、いつも待ち合わせに遅刻する友人は「信用」に足らないと判断されますね。
一方の行いや実績に対して、もう一方が評価します。つまり、気持ちの向く方向性としては評価をする方側からの1方通行であると言えます。

英語に訳すと、少しわかりやすいかもしれません。
クレジットカード(credit card)のcreditとは、「信用」を意味します。
海外では、creditとして以下のように扱われることが多いです。
・ 前払い金として支払って部屋を借りる
・ クレジットを支払って会場へ入場するチケットを予約する
・ グラスにお酒を入れてもらって敷地外で飲んだりする

そこで渡したcreditは、部屋を退去したときに戻ってきたり、入場するときに購入するチケット料金に含まれていたり、グラスをお店に返したときに戻されることが多いです。
つまり、creditを払うことにより、「逃げない」という信用を得ているということです。

未来を「信頼」するの意味とは?

未来のことは予測できませんが、対象とする相手の行動に期待して主観的に「信頼」することを指します。
「信用」が今までの実績や作りあげてきた作品に基づく判断をすることに対して、「信頼」は信用で作り上げてきたものを基盤として、将来に期待をする側とそれに応える側の両方向からの気持ちが折り合っています。

つまり、「信用ベースで信頼が成り立つ」そして「信頼はされる側とする側両方からの気持ちがある」と考えることができます。

✔信用と信頼の例
例えば、とあるコンサルティング会社があなたの個人企業に対して、「私たちの実績があればもっと収益を上げられます」とアプローチしてきたとします。
このときにコンサルティング会社は、自社の成績や成果、今までやってきた事業の実績についてプレゼンテーションをすることで、「信用」を得ようと試みます。
あなたもその実績や数字を見て、「信用」に値するかどうかを判断するはずです。
そこで、コンサルティング会社で働く人たちの人あたりやパーソナリティーについて判断する必要があると考えます。
しかし、営業マンの人柄や企業全体の雰囲気などは、信用するための成績として数値で表すことは難しいです。
そこで、信用に基づきパーソナリティー面も良いだろうと「信頼」をするわけです。
裏付けができる理論はなくても、相手のことを信じることが信頼であると言えます。
このように信頼とは、無条件に相手を信じることも意図しています。

信用と信頼の違いを比較

「信用」は、過去をもとに根拠のある一方的な評価として信じることを意味します。
一方「信頼」は根拠がなくても信じることを意味し、未来への期待を込めています。信頼の場合は両者からの気持ちが含まれていることが一般的です。

それでは上記のことを踏まえた上で、信用と信頼という言葉を使って例文をご紹介します。

「彼には証明できる実績があるわけではないから信用はできないが、あの熱意を見たら信頼してみようと思った。」

実績がないから信用するための題材があるわけではありません。しかし、熱意がある人柄を見ると、信頼をして未来に期待がしたいと思っている、という意味が読み取れます。

間違って使うと意味が全然違う!「信用」と「信頼」の使い方

このように、信用と信頼は同じように「信じる」という意味合いを持っていますが、使い間違えると意味がかなり異なってしまいます。

✔信用取引
証券会社で使われる「信用取引」という言葉は、株取引をする顧客との間でよく使われる言葉です。
株式購入には、証券会社に預けたお金と証券会社に借りたお金を使います。
この関係を「信用取引」と呼びます。
思い出してください。「信用」とは、信じるための実績がなくては成り立ちません。
この信用取引を成り立たせるために、顧客は「委託保証金」というクレジットを証券会社に支払います。
つまり、この委託保証金がクレジット(信用)として担保になるため、顧客はお金を借りて株を購入することができるのです。

もしこれが「信頼取引」であったら、意味が全く違ってくることにお気づきでしょうか?
「信頼」は、実績がない人に対しても、未来に期待をするだけで成り立ってしまう関係です。
信頼取引としてしまうと、証券会社は無条件にお金を貸さなくてはいけなくなるのです。

✔アドラー心理学について
最後に少し、アドラーが「信頼」に関して述べる心理学について触れたいと思います。
アドラーは著書である「嫌われる勇気」の中で、「どんなことがあってもまずは他人を信頼してみることが大切である」と言っています。
これは、疑いの気持ちから関係を築くと、相手に不信感を持たれ、築けたはずの良い関係を損なってしまう可能性があることを意味しています。
「信頼」についての考え方の1つとして、取り入れてみてください。

この記事が参加している募集

習慣にしていること

サポーターも嬉しいですが、よければフォローお願いします! 嬉しすぎて鼻血が出ると思います(/・ω・)/