【BL二次小説(R18)】 卒業旅行①
新「あー疲れた!」
荒「さすがにエコノミーはキツイぜ」
全身を伸ばしてストレッチしている新開と荒北。
福「日本と匂いが違うな」
東「これはチリの匂いだ」
アメリカ滞在経験者の東堂が解説する。
福「チリ?」
東「チリソースのチリだ。メキシコ料理がポピュラーだからな」
新「タコスとかだよな?オレ大好物だよ」
荒「何だって大好物だろオメーは」
仲良し4人組が今居るのは、アメリカのデトロイト空港である。
卒業旅行にフロリダのネズミーワールドを選択し、経由地に降り立ったところだ。
このあと、国内線に乗り換えてフロリダへ向かう。
ヨーロッパにしようという意見もあったが、自転車競技を続けていれば今後ヨーロッパは何度も行く機会があるだろうから、真逆の北米大陸に最終決定を下した。
治安の良いネズミーワールド内で数日間のんびりする予定だ。
新「腹減ったよ。とりあえずなんか食おうぜ」
空港内の巨大フードコートで物色する。
福「日本食も結構あるんだな」
荒「BENTO?ああ、弁当のことか。へェ~単なるツナの細巻き寿司が7$もするぜ。高っ!」
東「せっかくアメリカへ来たのだ。日本食などどうでも良い。もっとアメリカらしい物を選べ」
新「オレ、ピザにしよ!」
結局、無難なサンドイッチやベーグルやサラダを購入し、テーブルに着いた。
新「デカイよこのピザ~!しかもカットされてねぇし!具もサラミしか乗ってねぇし!」
途方に暮れる新開。
東「カットプリーズと頼めば切ってくれる。遠慮していてはダメだ。ここでは何でも主張せんと誰も助けてはくれん。それにアメリカのピザというのは基本、サラミだけだ」
新「マジかよ。サラミだけじゃ飽きるぜ」
カットされていない巨大ピザにかぶり付く新開。
荒「旨めェなこのサンドイッチ!日本と違ってパンがザラザラで黒くて穴だらけで硬てェ。だがそれがイイ。具の葉物も青臭くて雑だが、それがまたイイ」
福「日本は何でも繊細過ぎるんだな」
東「この豪快さとアバウトさがアメリカ料理の醍醐味だ」
新「おお?このピザも旨いよ!生地もモチモチだしチーズも味が濃い。カットされてない巨大ピザの丸かじりなんて初めてだし、これはこれで楽しい」
荒「福ちゃんのベーグルもまたデケェな!顔ぐらいあんじゃん!」
福「ム。具はクリームチーズだけなんだが、これが驚くほど濃厚で旨い。ベーグルも日本では味わえないほどの弾力で香ばしい」
それぞれ絶賛する面々。
新「尽八はサラダだけ注文してたはずなのに……デカいグリルチキンが乗ってるし、バゲットも付いてるし、クラムチャウダーもセットだし、なにしろそのサラダの量、半端ないな。それに、なんだいその大量のドレッシング!7個もくれたのかい?」
東「ベジタリアンが多いからな。どこの店でもサラダは必ず充実している。充分満腹になるぞ」
福「面食らったのはこのドリンクだ。Lサイズを注文したがこれではまるで……バケツだな。映画館のポップコーンのようだ」
東「コーヒーとソフトドリンクは基本どこでもお代わり無料だ。カップは一応SMLとあるが、みんなLを注文する。日本人なら普通Sを注文して何度もお代わりするが、こっちの人間はそんなチマチマせん。Lサイズで豪快に飲む」
荒「さすがアメリカだ。なんでもビッグでグレートだナ」
みんなすっかりアメリカが気に入ったようだ。
食事を終え、国内線乗り継ぎの手続きをする。
これに乗れば目的地のフロリダだ。
搭乗の列に並んでいると……。
係員「boy」
新「?」
係員が新開の搭乗券を指し、何やら説明している。
そして別の列に並ぶよう指示した。
福「どうした」
新「いや、なんか“キミはSSだからあっちへ”って言われた」
荒「SSって何だ?」
見ると、新開の搭乗券にだけ“SS”と記載されている。
新「スーパーシートの略だったりして。オレだけアップグレードかな?ははっ」
新開が呑気に笑う。
東「いや、セキュリティスクリーニングの略だ。手荷物の徹底検査をされる。乗客の中からランダムに数人選ばれるのだ。小銭入れの中まで重点的に調べられる」
新「え」
サーッと青冷める新開。
東「なぁに、怪しい物を持ってなければ何も心配はいらん」
新「え?え?ヤバ……!オレ、ヤバい!」
荒「ハ?」
係員「follow me」
屈強な係員に腕を掴まれ連れて行かれる新開。
新「助けてっ!助けてーーっ!」
荒「どうしたンだアイツ」
福「爆発物でも持っているのか」
東「まさかな」
係員「Oh……」
新「……」
真っ赤な顔でうつむく新開。
長机の上にズラリと並べられたショルダーバッグの中身。
その中に……。
バイブレーターがあった ──。
2023-08-14
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