【BL二次小説(R18)】 卒業旅行②
ゲシッ!ゲシッ!
荒「このッ!このッ!日本人の恥さらしがッ!」
新「あうぅぅ~」
床に伏せて泣いている新開を容赦無く蹴り続ける荒北。
福「なぜ新開はあんな物を?」
東「金髪美女でもナンパするつもりだったのか」
眺めながら呆れる二人。
荒北は新開の胸ぐらを掴み、ヒソヒソ声で凄んだ。
荒「オレ達の関係バレるじゃねェかボケナス!」
新「すまねぇ~。まさかこんなことになるとは……」
荒「オメーと同室だったが、部屋割り替えてもらうかンな!」
新「そんなぁ!靖友ぉ~」
涙が止まらない新開。
飛行機に乗り込んだが、荒北は新開から一番遠い席に座った。
新開はずっとシクシクと泣いている。
東「しかしよく返却してもらえたな。21歳未満があんな物持っていたら普通は没収だぞ」
新「……きっと帰りも検査されて晒されるんだ……」
東「そう滅多にSSに当選することは無い。今回は運が悪かったのだ」
東堂が慰める。
そうこうしているうちに、フロリダ州オーランドへ到着した。
荒「うォ~!空も大地も広いぜェ~!」
新「西陽がまぶしい……」
福「空気がカラッとしているな」
東「早速ホテルへ向かおう」
4人はバスに乗り込んだ。
荒「スゲー!片側7車線もあンのか!」
福「滑走路としても利用出来るらしいな」
窓の外を見て大はしゃぎする。
新「ホテルはどんなところなんだい?」
東「立派なテーマホテルも良いが、今回はあえて安価で庶民的なモーテルを選択した。この方がより現地らしい雰囲気を味わえるからな」
新「モーテルって……ラブホテルじゃないか!」
東「貴様はなぜそういう発想なのだ!確かに日本ではそうだが、こちらでは車でそのまま部屋まで行けるという意味のポピュラーな宿のことだ!映画でよく見るだろう。2階建で、窓が入口側にしかないタイプの宿を」
新「ああ!よく逃亡犯が潜伏するような宿か!」
東「……そんな物騒なイメージか。まあ、テーマホテルは1泊300$するが、モーテルなら20$だ。それでも設備は劣っておらん。安心しろ」
荒北が座席の上から身を乗り出して東堂に尋ねる。
荒「東京ネズミーランドとどう違うンだ?」
それを受けて不敵な笑みを浮かべる東堂。
東「東京?ハン!小さい小さい!」
荒「手短に言え」
東堂は両手を大きく広げて叫んだ。
東「規模が全く違う!テーマパークの数も違う!こっちはまさにワールドなのだ!混んではいるが分散されるため日本のように数時間待ちなど皆無!ファストパスなど必要無い!」
荒「そりゃイイや」
東「キャラクターと一緒に写真撮るのにも並ぶ必要はないぞ」
福「ム」
それを聞いて福富が反応する。
新「寿一はボッキーと一緒に写真撮るの楽しみなんだよな」
荒「マジかよ。可愛いとこあンな福ちゃん」
東「しかし日本人として呼ぶのをためらうキャラ名だな」
モーテルに到着した。
小高い丘の頂上に建ち、数々のテーマパークやワールド内を網羅するモノレール、大きな湖、フリーウェイが見渡せる。
モーテルと言ってもネズミー直営なので充分な設備が併設されている。
レストランもプールもショップも充実のラインナップだ。
一行はチェックインを済ませた。
ツインルーム2部屋だ。
荒「オレ福ちゃんと一緒の部屋ネ」
新「うう……」
しょんぼりする新開。
空港に着いたのが夕方だったので、もうすっかり日が暮れている。
移動疲れと時差ぼけ解消のため今夜は早目に休み、明日から本格的に遊ぶこととした。
各々の部屋で荷物を解き、シャワーを浴びてベッドへ入る。
福「……」
福富はソファーに座りテレビをつけ、次々と流れるCMを興味津々に眺めている。
荒「……福ちゃん」
荒北は毛布を被り、話し掛けた。
福「ム?眩しかったら消すが」
荒「いや、全然構わねェ。……」
荒北は少し寂しそうな表情をしている。
福「どうかしたか?」
福富はテレビを消し、荒北の方に向き直って尋ねた。
荒「ン……。もうすぐ大学生だねェ……」
福「そうだな」
荒「オレ達……敵になっちまうンだねェ……」
福「……荒北」
福富は荒北の顔を覗き込む。
福「確かにレースでは敵になるが、オレ達はずっと親友同士だ。一生な」
荒「ン……。それ聞いて安心したよ福ちゃん……」
……スゥ。
荒北はそのまま眠りについた。
福富も自分のベッドへ入り、明かりを消した。
新「……は~」
うなだれて溜め息をつく新開。
持参したパワーバーをボリボリやけ食いしている。
東「……隼人よ」
バスルームから出て髪を拭きながら東堂が尋ねた。
新「なんだい」
東「貴様……以前からそんな気がしていたのだが……」
新「だからなんだい」
少しイラつきながら答える新開。
東「……荒北と付き合っておるのか?」
新「ブホッ!ゲホッ!」
新開はパワーバーを吹き出した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?