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レントよりゆったりと〔随想録〕

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#詩

自薦あれこれ2023

自薦あれこれ2023

めまぐるしく過ぎていった2023。過去10年でもっとも書を開かなかった1年だったかもしれない。逆説的に「書を開かないと生が擦り減る」ことがよく分かった1年でもあつた。
毎年「今年の10冊」的なものを考えるのだが、読書量が少なすぎてイマイチな結果に終わってしまった。
そこで今年に限らずに最愛海外文学10選を考えてみたら、心に血がふたたび通うような感覚を得た。やはり本を読むことは僕の人生に必須なのだな

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8年目の自己紹介と自選作品

8年目の自己紹介と自選作品

まずはご挨拶として、牧歌的雰囲気の漂うパンケーキと、牛飼いの少年たちの物語を。

こんにちは。矢口れんとです。馴染みの方も初めましての方も、お越しいただきありがとうございますm(_ _)m
先日、note運営より7周年のバッジを頂き、晴れて8年目に突入しました。毎年、1年間の活動報告も兼ねて自己紹介記事を更新しています。

冒頭の掌編小説『賛歌と鼻唄』は、本来は活動時代地域の全く異なるふたりの宗教

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今後の個人活動についてのご報告

今後の個人活動についてのご報告

いつもお世話になっております、矢口れんとです。

創作にまとまった時間を取れず、やきもきする日々が続いています。せっかく記事にリアクションをいただいても、相手方の記事まで読みに行くことも難しく、note内の活動が広がっていかないことに悔しさを滲ませています。

創作者として死活にかかわる問題かも、、、などと考え始めてから、そう短くない時間が経過しました。文芸を中心に据え、音楽や絵画や舞踊などの芸術

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詩の敵はやはりアイツだった 【エッセイ】

詩の敵はやはりアイツだった 【エッセイ】

珍しく夜更かしをしている。夜番の最中で寝るタイミングを逸してしまったのだ。
生活の変化により細切れに寝ることが多くなり、目を覚ますたびにスマホの通知を見て「おぉ、またか」と思う。
詩作品や詩に関するエッセイに対するリアクションが来ている。noteは以前にも増して詩作ユーザーを獲得し、コミュニティを拡大しているようだ。

端的に言うと「新規の詩人が増えた」

決して新規に対して古参がマウントを取ろう

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デュフィ《パリ》を忍ばせて

デュフィ《パリ》を忍ばせて

部屋の片付けをしていたらこんなものが出てきた。

ラウル・デュフィという画家のプリントハンカチ。原画《パリ》は四面の屏風仕立てで描かれたもので、縦は身長を越えるくらい大きなものだ。

箱根のポーラ美術館所蔵の作品。記憶は定かではないが、原画を観たのもハンカチを買ったのも、その場所でだったと思う。おそらく10年以上前。

ちゃんと調べないで行ってバスの時間と噛み合わず、箱根の山道をひとりで歩いた。標

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詩の神さまに顔向けを 【エッセイ】

詩の神さまに顔向けを 【エッセイ】

少し前に、とある詩誌をめぐっての諍いを目撃した。僕はその雑誌に投稿したことがなかったので傍観していたのだが、テーマ自体は看過できないものだった。
概要はこうだ。詩誌Aで詩人Bの作品が受賞した。詩人CがBの作品について「あれは詩ですか?」とSNS上で疑問を投げかけた。Bがそれに気づき、まずCと穏やかに議論していた。そこに詩誌Aの運営者が割り込んできて、Bを擁護しつつCにやや批判的な言葉を投げた。そこ

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7年目の自己紹介と自選作品

7年目の自己紹介と自選作品

まずご挨拶として、どデカいいちごパフェと希望の詩を。

 こんにちは。矢口れんとです。馴染みの方も初めましての方も、お越しいただきありがとうございますm(_ _)m
 先日、note運営より6周年のバッジを頂き、晴れて7年目に突入しました。毎年、1年間の活動報告も兼ねて自己紹介記事を更新しています。

 冒頭のパフェの写真は河口湖湖畔で食べたいちごパフェ、神話詩「暁」は昨年書いた詩作品の中でもっと

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note近況【2022年4月】

note近況【2022年4月】

年度も新たになりましたので、最近の活動を紹介させて頂きますm(_ _)m ご興味を持って頂けたらたいへん嬉しいです。

【詩作品】Ripple詩作品を集めたマガジンです。週に1作は新しい詩を投稿するよう心がけています。



【連載中】葬舞師と星の声を聴く楽師中世西アジア風の架空世界を舞台にした小説です。伝統的な舞師と楽師の過去の因縁、或る宮廷舞師の思惑と暗躍、国家間の闘争。様々な運命に翻弄さ

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詩にLINEを送れたらいいのに【日記】

詩にLINEを送れたらいいのに【日記】

課題として書かなくてはならない詩を1件抱えている……のだが、とても大事にしたい詩なので時が来るのを待っている。半生かけて大事にしてきた本と今の自分との間に生みだす詩を、適当には書けない。実は締め切りはとうに過ぎているのだが、先方は待ってくれる団体なのでとても助かっている。これまでも何度か謝罪のメールを入れたのだが、「全然大丈夫ですよ〜期日は目安です!」といった軽い返信。同じメールを何度も送らせるの

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【詩】次元キャンバス

【詩】次元キャンバス

 「次元キャンバス」

 わた菓子を連ねたような林だ

 毎朝 差し込まれるわずかな時間

 視界の水平120°に手を広げ

 意識と向き合う 静かな林だ

 わたしはその奥行きを未だ知らず

 ましてや 時の奥行きまで知るすべもなく

 それは遠いキャンバスに描かれた

 小さな樹海の油絵に過ぎないのか

 ふと 林の手前で

 青田に隠れて青鷺のこうべが揺れた

 林を見つめる後ろ姿は 心細そ

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それも私【エッセイ】

それも私【エッセイ】

先日、妻が入院をした。
コロナウイルス感染ではない。生命にかかわるような重篤な疾患でもない。ただ一泊二日の入院が必要な処置があったためだ。既に退院して元気にしているのでどうかご心配なく。

入院日に奇異な感情を覚えた。それは妻が処置室へと運ばれるのを見送った際のことだった。
ストレッチャーという搬送器具に乗せられ、病衣をまとう見慣れない妻の手には点滴の管。
ただそれだけのことなのに、僕の心はたまら

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6年目の自己紹介と自選作品

6年目の自己紹介と自選作品

こんにちは、矢口れんとです。馴染みの方も初めましての方も、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m

【創作活動とnote】興味のあることはまずやってみるというスタンスで生きてきたため、自身の創作活動はかなりとっ散らかっています。詩と音楽が中心にあるのは間違いないのですが、小説やショートストーリー、戯曲風作品などにまで手を出し、うまく書けないたびに凹むことになります。

未成熟な作品や挑戦を受け入

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【エッセイ】セーラーマーズ考

【エッセイ】セーラーマーズ考

パズルのラストピースを見つけたような感覚を得たときの独特な喜びがある。過去の体験や蓄積のなかで解決しなかったモヤモヤした領域、そこにピッタリとハマる、他の新体験や未知の知見を得たとき、全ての図柄が揃って積年の霧が晴れていくことがあるだろう。本日はそのようなお話で、お分かりの通りテンションが少し前のめりである。暴れ馬の手綱を引くような気持ちでこの文章を書いている。僕がどこかへ飛んでいってしまってもど

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牧歌【エッセイ】

牧歌【エッセイ】

積読(つんどく)が増えている。一方で過去の膨大な積読の山から役立つ本が出てきたりする。これだから積読はやめられない。コ口ナ禍で図書館に行けなくなり、家に増えていく一方だ。

ある日(積読を増やすために)書店に足を運んだ。僕の住んでいる市にはなかなか充実している書店が1軒だけあり、田舎暮らしの退屈を慰めてもらっている。その日も思想哲学のコーナーを何往復もしており、シリーズになっている伝記の書棚で何冊

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