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詩集

55
心のまゝに紡いだ言葉の断片 言の葉を磨き上げ羅列をして並べています。 詩のようなものをまとめています。
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#詩のようなもの

青ブラ文学部 詩「君に届かない」

青ブラ文学部 詩「君に届かない」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

記憶の海の底深く
過去から来た波が静かに寄せて
無数の砂の粒が時間を刻んでいる

遠くに帆を張る船を
夜空に燦ざめく星々が導き
光の航路を描いている

人は皆__
愛と喜び 悲しみと別れを繰り返し
潮騒のように心に打ち寄せて
すべては交差していく

ずっと思い出せないでいた
記憶の海の奥底深くへと
この手を伸ばしても
未だに君に届かないでいる

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詩「Teenage in blue」

詩「Teenage in blue」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

あの時__
俺が必要としていたのは
彼女よりも自分自身だった

理由なんてない
俺は彼女と一緒にいたいだけだった

多分__
彼女は気付いていたんだろうか?
俺自身の自制心のなさに嫌気が差す

彼女はいつだって
優しく振る舞っているように見えた
実際に彼女はいつも
そうしていたのを思い出す

彼女に胸の内を
見透かされるところまで
俺は来てしまって

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詩「春待ち人」

詩「春待ち人」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

それは突然だった__
冷たい春の嵐が
刹那に駈け抜けていった

幾重もの淡い花びらたちが
ぼくの見つめる先に在る
きみの姿を見失わせる

恋は盲目のまゝ
桜迷路をさまよっては
きみの影を探していた

その姿が見えなくても
そのささやきを感じ
その温もりが伝わるなら
それだけでよかった

だけど
きみは風のように過ぎ去って
ぼくはひとり
桜はやがて散

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詩 「交差点」

詩 「交差点」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

ふたりをつなぐ
目に見えないもの
息をするのも苦しくて
不安な想いが込み上げる

ただ答えを確かめたくて
君の下へと向かう汽車に乗る
踏み切りで待つ間
紺碧の空を見上げていた

やがて
黄昏の雲間はアンニュイに
琥珀色のため息に染めてゆく

逢いたい__
君を見失いたくない

ふたりを隔てる交差点
君の下へと続く線路を
駆け抜けてゆきたいのに

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詩 「星に願いを」

詩 「星に願いを」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

七夕の夜空は
あまりにも悲しすぎるのである__

夜空から降ってくる星の数ほどに
地上では人々の想いや願いの数があり

それぞれの夢を乗せて
"Desire"と言う名の列車が星空を駆けて
どこか遠いところへと消えてゆく

あの日__
俺の元から君が去っていったのは
束縛からの訣別であり
君自身の自由への旅立ちである

「それは寛容すべき

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詩 「Candle Life」

詩 「Candle Life」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

くるくると
らせんを描くように
加速度を増して
時間が回転をしている

フワフワと
眠りにつく夢の中
意識だけが酩酊しながら
独り歩きしている

時折見る夢は
実体を失くした意識だけとなり
眩ゆい蝋燭台が並ぶフロアを中を
練り歩くようにダンスをする

夢の中の
キャンドルの燈は
ひとつふたつと指折り数えるように
そのライフを遣い果たし

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詩 「Waterproof」

詩 「Waterproof」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜


このご時世
実家に帰省することも
まゝならない

小生が高校生の頃
父が他界してからというもの
女手ひとつで育てて呉れた母が居る

父が亡くなった時に
母が号泣していた姿が
脳裏に焼き付いている

それ以来__
母が悲しみに暮れる姿を
ついぞ見たことがない

よもやま話をしては
冗談を言っては笑い

男の尊厳を持てと
時に叱りつける

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詩 「 Sincere 」

詩 「 Sincere 」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜


人が羨むような
美貌や才能があるわけでなく

人に誇れるような
富や名声があるわけでもない

誠実と言う名の
ひとひらの花に問いかけてみる__

目に見えることが全てではない
自分自身へと回帰する
心秘めやかに咲く誠実を
見失わないようにと

君が教えてくれた
その花言葉に
想いをめぐらせて__

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

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詩 「神秘」

詩 「神秘」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

眠りについた夜__
胎内へと向かう宇宙船にのって
不思議な夢の世界へと意識は誘われる

メビウスの輪のような切れ目のない
らせんの吊り橋を歩いている

小さな細胞に刻まれた
はるか太古の記憶を辿る
神秘の旅路へと向かう

この世を形作っている神の御業
目を見張る美しい創造の世界に魅了され
包まれるような安らぎを覚える

その時__ 

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詩 「Lunar Grand Cross」

詩 「Lunar Grand Cross」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

父と子と聖霊の 御名によって
ゆるしの秘跡__
罪の告白

唇から吐き出された
嗚咽に混じった
懺悔の言葉が絞り出される

贖いきれない程の罪は
心の闇の中で渦巻く
霊的な紫煙となって
燻らせ続ける

全てを失った男には
帰るべき居場所はない
空っぽの器になった抜け殻だけを
この世に彷徨わせている

闇に浮かぶ真珠のように
月明

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詩  「 mademoiselle 」

詩 「 mademoiselle 」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

大人へと変わってゆくわたし

月が満ち欠ける度に
身籠っていた
生きているのか いないのか
半分だけのいのちが流れ出る

葡萄酒の滴のように
わたしの唇を紅く穢れさせる

Tu rigoles trop.__
お互い涙を拭きながら
笑い合っていた少女だった頃

今になっても
胸に刺さったまゝの棘が
チクリと痛むのは何故かしら?

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詩 「告白の月夜」

詩 「告白の月夜」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

その夜___
静寂の街並みの燈は
いつになく朧げに見えた
 
一羽の鵲が告げる
運命の人との出逢う水先案内と云ふ

内なる心は七夕の川に沿って
意識は遠のいてゆく__

白くぼんやりとした世界に目を凝らすと
乳のような脂油の球の一つひとつが
仄かな光を照らしていた

その不思議な光芒の世界では
母なる細胞が分裂を始める
そして産道

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詩 「砂のLove affair」

詩 「砂のLove affair」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

一夜千夜の時を重ねた
あなたとの想い出は砂の城

脆く儚くその形を留め
風に晒されては
崩れ落ちそうになる

そのたびに
胸は締め付けられる

あなたとわたしを
繋ぎ止めているものは何?

この世に確かなものなんてない
そんなことは解っていたけれど

会えない時ほど
ふたりを隔てる砂嵐で
あなたの気持ちが見えなくなる

高い砂丘に登

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詩 「 FUJIYAMA blues 」

詩 「 FUJIYAMA blues 」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

空色の遥か
ほのかに映る稜線は
空の青とのけじめを
忘れてしまったかのように

半透明のブルーを重ねて
淡く透き通り消えてしまいそうな姿を
雪の化粧でかろうじて
その輪郭を留めていた

努力が報われなかった時__
その無力感に打ちのめされ
自分自身の力不足に絶望する
 
心に渦巻く負のスパイラル
それは人である限り
感情がつきまとう

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