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詩「春待ち人」

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それは突然だった__
冷たい春の嵐が
刹那に駈け抜けていった

幾重もの淡い花びらたちが
ぼくの見つめる先に在る
きみの姿を見失わせる

恋は盲目のまゝ
桜迷路をさまよっては
きみの影を探していた

その姿が見えなくても
そのささやきを感じ
その温もりが伝わるなら
それだけでよかった

だけど
きみは風のように過ぎ去って
ぼくはひとり
桜はやがて散ることを知る

ふたたび__
きみと出会うまで
雪解け水にたゆたう
夢のつぼみを秘めたまゝ
春を待ち侘びている

耳を澄ませば
小鳥たちが問いかける
(何故なにゆえに?)

それは__
初めて恋を覚えた日
きみと見つめた先にある
幸せの花びらが
四月の空に舞っていたから




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  Photograph by @bechan7
                       instagramより

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