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詩集

55
心のまゝに紡いだ言葉の断片 言の葉を磨き上げ羅列をして並べています。 詩のようなものをまとめています。
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#恋愛

詩「風花雪月」

詩「風花雪月」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

ほんの少し唇を噛んで

細い指先で洗い髪を梳かす

ほんのりと石鹸の匂いが香り立つ

凛とした仕草の君

曇りガラスの窓の外は冬化粧

幾重もの美しい結晶たちが燦ざめく

触れてはならぬ恋に堕ちて

淡い夢のつづきを確かめたくて

「今度はいつ会えるの?」

と、呟く君の横顔が

ふと垣間見せる寂しさに翳る

一緒に居ると何かが変わる

そぞろに想

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詩「きみの居ない部屋」

詩「きみの居ない部屋」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

深夜に目覚める
冷蔵庫の明かりが漏れている
喉の渇きを潤そうと開けてみる

そこに置かれていたのは
きみと過ごした沢山の
想い出たちの走馬灯

ふとした瞬間
我に返って空っぽの冷蔵庫に気付くそんなうたた寝の幻をみたんだ

きみが居なくなって
目にするもの何もかも
色褪せていくだけの日々

その優しさを懐かしむ
もう姿をみることはなく
もう手にも触れ

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詩 「交差点」

詩 「交差点」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

ふたりをつなぐ
目に見えないもの
息をするのも苦しくて
不安な想いが込み上げる

ただ答えを確かめたくて
君の下へと向かう汽車に乗る
踏み切りで待つ間
紺碧の空を見上げていた

やがて
黄昏の雲間はアンニュイに
琥珀色のため息に染めてゆく

逢いたい__
君を見失いたくない

ふたりを隔てる交差点
君の下へと続く線路を
駆け抜けてゆきたいのに

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詩 「ジェラートが溶けるまで」

詩 「ジェラートが溶けるまで」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

あたしはミルク
あなたはチョコ

あたしたちって
となりあうジェラートみたい

甘すぎなあたしを
あなたのほろ苦さで包んでね

息を止めて
こめかみが疼くような
甘いキスをして

ふたりきりのhug
時よ止まれのおまじない__
《 Non Sugar No Life 》

ふたりだけの甘い魔法の時間
ジェラートが溶けるまで__

〜°〜

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詩 「告白の月夜」

詩 「告白の月夜」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

その夜___
静寂の街並みの燈は
いつになく朧げに見えた
 
一羽の鵲が告げる
運命の人との出逢う水先案内と云ふ

内なる心は七夕の川に沿って
意識は遠のいてゆく__

白くぼんやりとした世界に目を凝らすと
乳のような脂油の球の一つひとつが
仄かな光を照らしていた

その不思議な光芒の世界では
母なる細胞が分裂を始める
そして産道

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詩 「砂のLove affair」

詩 「砂のLove affair」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

一夜千夜の時を重ねた
あなたとの想い出は砂の城

脆く儚くその形を留め
風に晒されては
崩れ落ちそうになる

そのたびに
胸は締め付けられる

あなたとわたしを
繋ぎ止めているものは何?

この世に確かなものなんてない
そんなことは解っていたけれど

会えない時ほど
ふたりを隔てる砂嵐で
あなたの気持ちが見えなくなる

高い砂丘に登

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詩 「色は匂へど 散りぬるを」

詩 「色は匂へど 散りぬるを」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

語訳;

世間に語れない 逢瀬だけど
疎遠な恋路   酔い偲ぶ
昨夜眠る間に  君はもう居ない
夢と幻を    置き残して__

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

「いろはうた」とは
47音全ての一字を重複することなく
七五調(7音・5音の順で繰り返す形式の詩のこと)で構成されています。

作者不明のこの歌は冒頭から

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詩 「くちづけ」

詩 「くちづけ」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

はじめてのキスは
シトラスの香りがした

見つめ合う瞳は潤み

その透き通るような
眼差しの中に
お互いは映り合う

そして時は止まる__

重なり合うくちびるから
宇宙は巡る

ふたりだけを残し
世界は旋回していく

シトラスが香り立つ
鮮やかなりし想い出よ

甘酸っぱく
ほんの少しだけ
ほろ苦さが残る

青春とは__
トパーズの

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詩 「両翼のEros」

詩 「両翼のEros」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

くちびるは絡み合う
脈打つような衝動の後
死んだように眠りについた二人

星降りの夢へと意識はまどろむ___

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

人は恋をする__
時に生死の隔たりを超える感情を垣間見せ
情愛へと変化していく

現世と冥府を駆け巡る
両翼のEros

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

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詩 「答えは風の吹くまゝに」

詩 「答えは風の吹くまゝに」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

晩秋の並木道を歩く
出会いと別れの物語に想いを馳せる

すっかりと落葉した
黄色い落葉のじゅうたんを踏みしめる

この世の行き交う人々の数だけ
それぞれの胸の内に秘めた
ロマンスがあるならば

二つに割れた銀杏の葉を眺め
物語の結末を問うてみる

二人の胸の高鳴りよ
その鼓動がシンクロする時
一枚の葉同士が重なり合う姿だとしたら

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詩 「恋愛小説(ロマンス)」

詩 「恋愛小説(ロマンス)」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

秋桜を夕陽にかざしてみる

夕陽の射す方に向かって
手を差し伸ばしている草木が
セピア色の切り絵のように映る

夕陽との別れを名残り惜しむ
だけどその想いは遥か___
届かないでいるように見えた

秋桜を夕陽にかざしてみる

茜さす 想い出はセピアなれど
恋愛小説の一ページは蘇る
その物語は読み終えることはなく

ページにそっとしお

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詩 「水底から満月が見える」

詩 「水底から満月が見える」

〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜°〜

水底から満月が見える

ゆらめく水面
吐く息は泡となり
水面の空に消えてゆく

人魚と恋に堕ちる__

禁断の愛に溺れて
後戻りは出来ない

彼女の孤独に寄り添い
この身を焦がすように
僕の身体は水底に沈んでゆく

この世に未練などは
あろうはずはなく

その美しさに惹かれて
果てがない夢と共に
命尽き果てるまで
混沌とした奈落の底に沈みゆ

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