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美味しすぎない「まえがき」
スマホひとつあれば、誰でも美味しいカレー店に巡り合える。初めての店でもオーダーすべき看板メニューを知っている。あのラーメン屋のスープは平子節がポイントだし、隣の店の主人は有名ホテルの料理長だった。業務用スープを温めたラーメンなんか食べずに済むし、冷凍食品を揚げただけの洋食はサヨナラだ。むっつりとしたスタッフのいる店は華麗にスルーしよう。
そう、世の中は美味いものに溢れている。美味しすぎる店が飽和
美味しすぎない「特製手打ち塩ラーメン」
片側三車線の大通りを西に走る。カーナビにも認識されないほどの路地を左に折れ、少しだけアクセルを踏むとドン突きにラーメンを出す店がある。
「ま心 えんどう」
満車のスターバックスの向かいにあるとは思えない昭和の空気感。時空の歪みが心地よい。店の前に車を停めて暖簾をくぐると、まるで他人の家の居間が現れる。火曜サスペンスが流れるテレビとひたすらに寝る猫。ばあちゃんに誘われながら、至極プライベートな空
人生で大切なことは、大体オリンピックが教えてくれた(仮)〜序章〜
オリンピックなんて無くてもイイんだ。
だからと言って、数年に一度の平和の祭典を無くそうというプラカードを持つつもりは全くない。寧ろテレビで放映していれば観るかもしれない。釘付けになることも、金メダルのシーンで感動する可能性も大いにあり得る。
でも私の人生においてオリンピックは必要ないんだ。
中学高校と部活に属してもスポーツに打ち込むことはなく、今もたまの休みに身体を動かすことすら億劫な人間だ
帰ってきた、美味しすぎない「ホルモン定食」
「その麻婆豆腐、ご飯にかけないんですか?」
友人にふと問われ、暫く会っていない母の顔を思い出した。食事中、厳しく躾けられた幼少期。お陰で茶椀の米はひと粒残さず食べるし、食事中のテレビはやはり悪なのだろう。両手は常に食卓の上にあるべきで、焼き魚は可能な限り骨だけを残す。納豆ご飯は茶椀を汚さずに食べ終えると褒められた。
そんな育てられ方をされたからか、どうにも白米を汚すのが苦手なのだ。
今日は仕