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書き物 練習

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睾丸寓話短編:北風と太陽とキンタマ

睾丸寓話短編:北風と太陽とキンタマ


北風と太陽とキンタマ
ある日の昼、北風と太陽が言い争いをしていました。俺の方が強い、いいや俺の方が強い。俺の方が賢い、いいや俺の方が賢い。ずっと前からこんな様子です。

一人の旅人が、地平線の向こうから歩いて来ます。北風と太陽は、言い争いに決着を付ける方法を思いつきました。

「あの人間の上着を脱がせた方が勝ち、それでどうだ」

「わかった。それで決着をつけよう」

上着を羽織った旅人は、ゆっく

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美味しんぼ外伝 命の味

※美味しんぼの二次創作、フィクションです
※オリジナルキャラが登場します
※人間が死にます 
※男性器が登場します
※一部性的な表現があります

雰囲気を知らない方は、公式が配信しているアニメをご覧頂くとスムーズかと思います。こんなnoteを読むより本編をご覧ください。

「今日から配属になりました。股腹拳児(またはら けんじ)です。学生時代は野球と空手をやっていました。体力が取り柄ですので、ガン

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書き物の反省と設定集等

書き物の反省と設定集等

初めまして。格ゲー中毒者の無名雑魚、星川実業と申します。別名、妖怪怪文綴り。趣味で書き物をしています。

人生で初めて小説を書いて色々と反省点があったのでその振り返りと、書ききれなかった設定ややりたかった描写をまとめて記述します。

該当記事は以下の通り

私の中では「安久首輪シリーズ」と分類している3本。貴方の暇つぶしになれば幸いです。

当記事では便宜上、上からダゴン1〜3と表記します。

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短編 仮タイトル「満月の輪郭」

短編 仮タイトル「満月の輪郭」

元気に産まれてこれますように。
元気に産まれてこれますように。
私は大きくなったお腹を何度も撫でた。
大きな月は、ぐるりと周囲を見た。
それから、真っ直ぐに私と目が合った。

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あの日は、夜が少しだけ楽しかった。

テレビからの物騒なニュースは毎日聞こえてきて、私を嫌な気持ちにさせた。不幸な話に挟まれて、間も無くスーパームーンが起きるという話。当時中学一年生

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短編 告白の儀式

短編 告白の儀式

恋愛における告白という行為は、最終確認の儀式だそうだ。一発逆転の手段でもなければ、あわよくば関係を繋ぎ止めるための申請でもないらしい。

大人になった今ならわかる。汚い表現をすると、告白が通るであろう関係性を築いた上で、意思を明確にするかどうかが告白なんだなと。

中学生の私にはよく理解できていなかった。告白をして付き合い始めて、そこから色々なことが起きたり起きなかったりするらしい。ということをな

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たった1人のパジャマパーティーズ 短編

たった1人のパジャマパーティーズ 短編

いいよな、ちいかわ

いいよなぁ

「間」がね

「間」ね…

私はどこにでもいる中年男性。学生時代から付き合いのある友人3人と、不定期に通話をする。根っこがゲーマーの我々は、数十年前と同じかそれ以上の熱量で最近のゲームの話をする。

時折、目が悪くなったとかミョウガが妙に美味く感じるようになったとか、身の上話がでる。すっかりおっさんじゃん、お前もな、と時の流れを感じていた。

誰かが言い出した。

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仮タイトル「首輪に鎖を、鎖の先には月を」

仮タイトル「首輪に鎖を、鎖の先には月を」

一章 追跡者の目首輪には鎖を付けておくべきだ。飼っているものが怪物であるならば尚のこと。鎖を握りしめている時、制御されているのは自分自身なんじゃないかと思う瞬間がある。それは怪物から来る圧力のせいだけではない。安全な場所からこちらを覗き込む、多数の目。故も知らぬ無数の目が訴えてくる。

鎖を手放すなよ、と。

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平成が終わって三年目、安久3年の春。私、神田拳児(カンダ ケンジ)

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短編 高速モダン・ピノキオ

短編 高速モダン・ピノキオ

「金?今月中にすぐ払う。大金が手に入るんだ。いつもの倍額出すから、城まですぐに馬車を出してくれ。急がないと金にならないんだ。俺の命も危ない。頼むよ。」

運送屋をやっている古い友人に必死に頼み込んで、どうにか馬車を用意してもらった。私には時間が無い。急がねば、研究の成果が無駄になってしまう。

「急いで馬車に乗れ、座ってろ、楽しいところに連れて行ってやる、着いたら両腕の拘束も外してやるから、何もせ

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仮タイトル 「ダゴンと首輪」

仮タイトル 「ダゴンと首輪」

一章 少年の目
僕は怪物を飼うことに決めた。比喩ではなく、実際に。怪物は僕のゴーストライターであり、僕の愛情を懇願する玩具でなくてはならない。飼うからには首輪を着けないと。首輪は所有の証であり、主従の証であり、愛の証でもある。

その怪物はきっと人間のような見た目をしていて、人間の世界に溶け込もうとしている。弱いフリをして、静かに生きながらえようとしている……内面には酷く醜いモノを隠しているくせに

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短編 ブルーバード・ロック 

短編 ブルーバード・ロック 

日本のTwitterから、最強のストライカー(万バズ量産する奴)を誕生させる。

経営難に追い込まれた巨大な青いSNS…Twitter社は、自身の広告効果を担保すべく最強のストライカーを欲していた。このままでは、Xという黒くて悪趣味で識別性の低い社名に乗っ取られてしまう。

社運を賭けた最後のプロジェクトは、まだ知名度が高くないツイッタラーを監禁・養成し意図的に万バズを産むアカウント作る、というも

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短編 母になる日

短編 母になる日

私は母になりたかった。しかし自分の血が入った子を産みたくないという矛盾を抱えていた。うちの家系は珍しい病気の遺伝で短命、パートナーの家系は障害の発現が多かった。子に罪はないと言うが、高確率で発生するであろう不幸を分かっていながら子を産む親に罪は無いのか。

パートナーはそんな私を押し倒して「あなたとの子供が欲しい」とはっきり言ってくれた。

娘は本当に可愛くて、大切で、すくすくと育って2歳になった

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短編 秘球・スカルハート

短編 秘球・スカルハート

高校野球はここまで進化していた。球児達は身体の8割以上を機械化し、甲子園球場は各工業メーカーのプレゼンの舞台になった。多くの球児は脳を残し、身体を改造しながら練習を重ねる。人体改造が当たり前になったこの時代でも、球児達の性能は異常に高い。

「人を殺さない兵器」と呼ばれ、そのぶつかり合いはさながらコロッセオだ。人々はどんなに進化しても、安全な席から命の奪い合いを見る娯楽をやめられないのかもしれない

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短編 さらば緑の星 後編

短編 さらば緑の星 後編

続き

居住可能な植物の星に辿り着いた個体から届いた「意思疎通可能な植物がいた」という報告は、人類に希望と不安を与えた。

X–620のレポート・この星の特徴が把握できた。南半球は緑の植物が繁栄し、酸素がある。コストを大きく抑えて人間が居住できる星になるだろう。

・大陸はほぼ陸地で、小さな湖はあるが海は無い。湖の成分は地球の水とは異なっているが、手を加えて飲み水にすることはできた。重力も地球とほ

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短編 さらば緑の星 前編

短編 さらば緑の星 前編

少し未来の話。人類は、その果てない知的好奇心と欲望と闘争本能で、居住可能な星を発見した。その星は大部分が植物のようなものに覆われている。地球の北極にあたる位置に大穴が空き、そこから無尽蔵に多様なガス成分が噴き出している。

地球の「植物」によく似た存在……便宜上「外生植物」と表記する……は、この多様なガスを主成分として繁栄した。北極の大穴付近で発生した外生植物は濃い紫色をしている。

紫色が北半球

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