生成AIを使いこなすのに必要な「指示する力」
生成AIを使える人、使えない人
さて、勘のいい読者の皆様はお気づきかと思いますが、
ChatGPTなどの生成AIが、
世界に大きな変化を起こしています。
この流れによって、
このテクノロジーを使えるか、使えないか
それによって、今までの比にならないほどの差が開こうとしています。
技術を使える人は、10倍100倍の生産性を手にすることになり、
使えない人は、今まで通りの生活を営むことは難しくなる可能性が高いでしょう。
現状、企業がAIを取り入れていないとしたら、
それは単に知識不足か、コストが「まだ」合わないから。
という可能性が高いからです。
知識にしろコストにしろ、近い将来解決する問題で、
逆に取り入れない道を行くのは、
企業の存続を難しくするでしょう。
今回の記事では、
そのような格差がさらに拡大する前に、
AI(特に生成AI)を使いこなす側に回る方法について考察します。
彫刻のできは削る人による
タイトルで「指示する力」という単語を入れましたが、
この意味について解説します。
ChatGPTについて、
従来の検索エンジンと同じような使い方をしてしまいがちですが、
それでは、機能を生かし切ることは難しいでしょう。
その部分では検索エンジンに分があります。
note、CXOの深津 貴之氏によると、
生成AIは、「彫刻を削りだすようなもの」とのことです。
検索エンジンが、「一つの正解を得ようとするもの」に対して、
生成AIは「間違いじゃないもの」を得ようとするものだと言えます。
それにより、
人間の従来の仕事を肩代わりさせることや、
発想の外側の出力も期待できます。
どういうことか考えてみます。
生成AIは、膨大な学習によって蓄積されたデータによって、
次に予測される確率の高い出力を出す。というものです。
例えば、
「昔々」ときたら、
次に来そうな単語は「あるところに」。
その次は「おじいさんとおばあさんがいました。」
のように、確率が高い単語を並べていって、
文章を生成します。
あくまで確率なので事実でないことも言います。
ここで重要な生成AIの特性は、
私たちの「入力(指示・要求)」から、
矛盾しない「出力」の選択肢を無数に持つということです。
分かりづらくなってしまいましたが、
良い出力を得るには良い入力が必要ということです。
良い入力とは、出力の選択肢を絞ることによって得られます。
矛盾しない、という条件を満たす出力はいくらでもあるからです。
しかし、こちらの意図を汲みとっているかはまた別問題です。
適切な入力を意識しないと、
こちらの意図に対して、
そういうことじゃないんだけど…
と感じるような明後日の方向の出力が来ることになります。
適切な出力を得るには、
これはダメ。
という条件を明確に指示する必要があります。
道に通行止めの看板を立てて、進める方向を制限するようなイメージです。
また、深津氏によると、彫刻のようなイメージとのことです。
無数の選択肢を持つAIは、
まだ削っていない原木のようなもので、
入力によって切り出していくことによって、
可能性を削っていきます。
丸かった原木を、一度四角く切ったら、
同じ直径の丸に戻すことはできません。
丸という出力を出す可能性を排除したことになります。
いらない部分(意図と異なる出力)を排除することを繰り返すことにより、
ある程度限られた(意図した)範囲で、
欲しい出力(自分の発想の内側、外側)を得ることができます。
それも、ものの数秒で得ることができ効率的です。
これが生成AIを使う時に持つべき視点です。
どのように削るかというところに、差が出るのです。
それがそのまま生成AIを使える人、使えない人という意味になります。
あなたも彫刻家になりましょう。
人間に対しての指示
この考えは、あなたが人間に対して、
指示をする場合にもそのまま有効です。
細かく一挙手一投足を支持すれば間違うことはないでしょうが、
手間が多いです。
毎度そのようにしなければいけないからです。
検索エンジン型といってもいいかもしれません。
反対に、
大きなゴールを示して、
制約条件として、
「ただし、このやり方はダメ」
というのを付与していくほうが、
指示される側が育ち、
自分で意思決定をすることができるようになります。
結果、毎度細かい指示をしなくていいように教育することができます。
注意するのは、生成AI相手と同様に、
制約が適切でないと、全く予期しないことが起きることになります。
指示側の高いスキルを要求されますが、
それくらいでないとAIが台頭した後の世界で生きるのは難しいのかもしれません。
以上のような視点を、
自分が指示するときの指標、
もしくは、
指示されたときの指標として取り入れてみて、
指示を評価し、
適切でなかったなら、
どのような要素が足りなかったか検討し、
改善するというのを習慣づけてみると、
生成AIに対しても人間に対してもうまく関われるかと思います。
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