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#40 トーク&トーク&トーク
ある日の新幹線内での出来事。
夏休みのせいか席が取れず、仕方なく、三席並びの最前列、真ん中席を予約。
乗車して見れば、真ん中の席を空けて、両サイドにご婦人の姿。
どうやらお二人は友人のようで、仲良く談笑中。
ご友人同士の真ん中に、わたしが座るのかしら……?
と思いながら、その席に座ります、と目で伝え、笑顔で挨拶。
すると、通路側のご婦人が席を立ち、身辺整理をしながら、前テーブルをもとに戻してい
#39 抱きしめてもらったのはわたしの方だわ
先日、外食に出かけた日のこと。
席に着き、しばらくすると、小さな男の子の泣き声が店内に響き渡った。
だんだんとヒートアップしていく声に、他のお客さんの視線が、その席へ集中していくのが分かる。
子どもたちがまだ小さい頃、我が家の長男の着席時間が、わたしの着席時間でもあったから、正直外食は楽しめなかった。
メニューをゆっくり見ることも、届いた食事を温かいうちに食べることも、ましてやゆっくり食べるこ
#38一度、死んでみたらいいんじゃない
「来た……」
6月のはじめ。
わたしの中に、それは訪れた。
来たもの。
それは、創作の始まりの一文。
長く脳内で探り、消し、また探っても見つからずに手放し、いつか訪れたら書こうと思っていたものが、6月の頭に不意に訪れたのだ。
わたしは、来たものを逃したくなかった。
来た、と思ったその後に「書きたい」という衝動に呑み込まれるのを知っていたから。
しかも、2週間後に締め切りの文学賞があると知り、書
#37 蛇は苦手でした。
蛇は苦手でした。
感情の見えにくい目と、割れた舌先が苦手だったのです。
ですが、昨年、伊勢神宮で蛇を見たのですが、その話をした時に、「おい、キミ、それはすごいことだぞ」みたいな反応を多くもらうようになってからというもの、蛇への苦手意識が薄らいでおりました。
ですが、以来、なかなか遭遇することもなかったのですが、昨日、家の庭に現れたのです。
ギーギーと鳴く鳥の声に引っ張られるように庭に出てみれ
#29 何かが少しでもずれてたら、逝ってたかも……
何かが少しでもずれていたら、逝ってたかも……。
程度の差こそあれ、誰でもこのような体験のひとつやふたつあるだろう。
わたしの中でもそのような体験はいくつかあり、そのどれもが幼少期であるにも関わらず、記憶が色濃く残っていたりするのが不思議だなぁと思っているのだが、
「なぜ、他の記憶よりも残っているのだろうか……」
と考えると、おおむね、ぼんやりと空想にふけって生きていた幼少期(今もほぼ変わらないが