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映画と本のこと

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#本

NETFLIX コンテンツ帝国の野望

NETFLIX コンテンツ帝国の野望

日本には、未だ街のあちこちに、TSUTAYAやゲオなどのレンタルビデオ屋があるが、ちゃんと営業しているということは、そこに借りにくる客が、それなりにいるのであろう。

俺も昔は、レンタルビデオ屋にはけっこうお世話になった。週に一回、7泊8日のものを5、6本借りて、それを一日に一本見て、翌週返却ついでに、また5、6本借りたりしていた。

ただもう今は、借りることは全くなくなった。
ネットフリックスが

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投資家のヨットはどこにある?

投資家のヨットはどこにある?

ゆうちょ銀行が、不適切な手続きで、高齢者に投資信託を販売していたのだそうだ。この問題は、約230ある直営店のうちのおよそ9割の店舗で発覚していて、社内ルールへの抵触は、1万5千件以上にのぼるのだとか。

漏れ聞くところによると、ゆうちょ銀行はそれで、購入手数料を3パーセント取っていて、おまけに販売員おすすめのアクティブファンドに至っては、信託報酬が年3パーセントというのだから、開いた口が塞がらない

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投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント

投資の大原則 人生を豊かにするためのヒント

ウォーレン・バフェットは、あるインタビューで、「ゆっくり金持ちになるのはかなり簡単です。しかし、だれもが早くお金持ちになろうとする」と述べている。

ここで声を大にして言いたい。それは当たり前なことで、今すぐ金持ちになりたいか、それともある程度時間が経ってから金持ちになりたいかと、道行く人に質問したら、答えは決まっているだろう。

本書『投資の大原則』は、そんな庶民のはかない(?)願いを打ち砕く内

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レッド・プラトーン 14時間の死闘

レッド・プラトーン 14時間の死闘

『あらゆる場面にジョークは必要である。ジョークが必要ないのは、敵国に対する戦線布告の瞬間だけだ』という、イギリスのジョークがあるぐらい、この世界を生きていく上で、ジョークは欠くことのできないものであろう。

ジョークは、人生に鮮やかな彩りを与えてくれるものだし、逆に言えば、粋なジョークを全く理解できない人は(日本人のおっさんに多い)、それだけ不幸で救いがない、とも言える。

本書『レッド・プラトー

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筋トレが最強のソリューションである

筋トレが最強のソリューションである

 今年になって、突如、肉体改造に目覚めた。
 筋肉に、筋トレに目覚めた。
 ジムにも通いだした。
 とりあえずの目標は、ベンチプレスが体重の1倍、スクワットが体重の1.5倍、デッドリフトが体重の2倍、それぞれ挙げられるようになることだ。
 現状では、デッドリフトだけが、このラインをクリアしている。
 デッドリフトが、楽しくて仕方がない。

 本書『筋トレが最強のソリューションである』によると、世の

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バブル 日本迷走の原点

バブル 日本迷走の原点

 漏れ聞くところによれば、先の国会での、カジノ解禁法案のニュースが、ずいぶんと世間の話題になったのだそうだ。
 だがそんなこととはお構いなしに、現代人は皆、資本主義経済の中で生きている限り、カジノの中にいる。
 永野健二著『バブル 日本迷走の原点』は、そのことを改めて認識させてくれる良書だ。
 1971年のニクソン大統領が行った金とドルの兌換停止によって、スーザン・ストレンジが言うところのカジノ資

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寝るまえ5分の外国語

寝るまえ5分の外国語

 黒田龍之介の著作は、『羊皮紙に眠る文字たち』を読んで以来、ずっと追っかけている。読むとやる気が出てくるからだ。
 今回の新刊『寝るまえ5分の外国語』は、語学書の書評という、一風変わった体裁になっている。
 言われてみれば、たしかに語学書の書評なんて読んだことがない。本書は、著者のそんな不満から生まれた。

 本文中、さまざまな言語の語学書が登場するのだが、俺が使っていた『中級タイ語総合読本』が出

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いつも旅のなか

いつも旅のなか

 角田光代の著作は、かなり読みこんでいるつもりだった。
 ところが、である。まだ未読の本があることを知って、少なからず驚いた。しかもそれが、俺の好きなジャンル、紀行本だったのだから、なんだか狐につままれたような思いすらした。
 大好きな角田光代の書いた、これまた大好きな紀行本をまだ読んでいない。それで、本人はこの作家をかなり読みこんでいると自負していた。
 『いつも旅のなか』は、著者の趣味である旅

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外道クライマー

外道クライマー

 坂道が苦手だ。 
 下りの方が、自分の体重をもろに受けとめるので、そのぶん辛いと聞いたことがあるが、俺は上りの方が疲れるとおもう。
 なので、渋谷駅のハチ公口から東京メトロ銀座線に乗るときに、三階まで階段を上らされるのが億劫でならない。メトロの名を返上してほしいと、一段一段踏みしめながら、心の中で呟かずにはいられない。
 
 宮城公博著『外道クライマー』は、そんな俺からしたら卒倒してしまいそうな

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すごいぞ!私鉄王国・関西

すごいぞ!私鉄王国・関西

 高校の修学旅行は、京都、大阪だった。
 しかし、そのころの俺は、金閣寺や清水寺には、1ミリも興味がなかった。
 そこで俺は、自由行動になると、半ば確信犯的に自分の班からはぐれて、一人で関西の鉄道に乗りまくった。
 今頃あいつらは、神社仏閣行脚でさぞかし退屈してるだろうと列車の中で想像すると、妙に清々しい気分だった。

 『すごいぞ!私鉄王国・関西』は、根っからの東京人である著者が、阪急、南海、阪

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満州国演義

満州国演義

 直木賞作家の船戸与一は、71歳で亡くなった。
 胸腺癌だった。
 癌が見つかったときに、医者から、余命1年と言われたのだそうだ。
 その宣告を受けて、船戸与一が何をやり始めたかというと、本当に書きたかった小説の執筆だった。
 それが『満州国演義』である。
 最終的に『満州国演義』は、四百字詰め原稿用紙で7500枚の大長編となったが、これだけの仕事を、闘病生活の中で成し遂げたのだ。
 命を使い切っ

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辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生

 少し考えれば、すぐにわかりそうなものなのだが、いままでずっと気付かなかった。
 現在、日本で一番売れている国語辞典である、新明解国語辞典の名前のことだ。
 新明解国語辞典が世に出る前に、明解国語辞典というものがあって、その新装版だから、「新」がついているのだ。
 本書「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」を読んで、初めてそのことを知り、自分の鈍感さに対して、なんともやるせない気がした。
 そ

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家康、江戸を建てる

家康、江戸を建てる

 家康が駿府から江戸に国替えで移ってきて、先ず初めにやったことは、「治水」だった。
 当時の江戸は、北から何本もの川が流れ込んでいたので、大地は、ほとんどが水浸しだった。そこに海からの水が混じり合い、米も育たなかった。
 その地ならしから、家康の国造りは始まった。
 そのころの利根川は、現在の群馬県利根郡みなかみ町の山深くを水源として、江戸湊(東京湾)に注いでいた。
 にわかには信じられないことだ

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さいはて紀行

さいはて紀行

 金原みわ著「さいはて紀行」は、著者が自身のブログで書き溜めた文章を、再編して一冊の本にまとめたものである。
 著者は、その旺盛な好奇心を武器にして、さまざまなさいはての地を渡り歩く。本書はその記録の物語だ。
 各章それぞれとても面白いのだが、俺は、淀川河川敷で暮らす人々の生活に迫った章を読んでいて、おもわずはっと息を呑む箇所があった。
 この本を読んで初めて知ったことなのだが、ホームレスになって

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