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いつも旅のなか

 角田光代の著作は、かなり読みこんでいるつもりだった。
 ところが、である。まだ未読の本があることを知って、少なからず驚いた。しかもそれが、俺の好きなジャンル、紀行本だったのだから、なんだか狐につままれたような思いすらした。
 大好きな角田光代の書いた、これまた大好きな紀行本をまだ読んでいない。それで、本人はこの作家をかなり読みこんでいると自負していた。
 『いつも旅のなか』は、著者の趣味である旅行を題材にした、旅行エッセイだ。
 多くの国を、角田光代の文体と共に訪れることができる。
 ところどころに、旅先で撮ったスナップ写真が挿入されていて、それを見るたびに、何故いままで未読だったのだろうと、不思議で仕方がなかった。特にラオスの章では、旅と年齢についての考察がされているのだが、それが俺のために書かれたとしか思えない分析であり、それをいままで読まずにきた事実に、読者として、申し訳なくすら感じてしまった。

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