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不易流行の経営学:ビジネスの今を知る

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#経営学

海外トップジャーナル掲載!中川先生の新発見「乳母企業家」

海外トップジャーナル掲載!中川先生の新発見「乳母企業家」

自分すっかり忘れていたのですが、イノベーション分野の海外トップジャーナルのひとつ、Technovation(テクノベーション)に掲載された論文がオンラインで掲載となっていました。九州大学の高田仁先生たちと書いた論文です。大学発技術が商業化されるにあたって、研究者と企業家とをつなぐ、また別のタイプの企業家的存在Nurturing Entrepreneur(乳母企業家)があることを、事例から発見した研

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日本のホスピタリティの強みは「型」「道」「空気を読む力」。それは日本の課題とも表裏一体。

日本のホスピタリティの強みは「型」「道」「空気を読む力」。それは日本の課題とも表裏一体。

最近は天目茶碗でいただく抹茶にはまっています。今泉毅先生作の窯変天目は本当に美しい。テレワークの中で、日常に彩を与えてくれる。コーヒーばっかりの生活に変化を与えてくれます。

そんなこんなで最近茶道のこととか学んでいるのですが、この「道」たるものが、どうやら日本的なマーケティングやサービスの極意「おもてなし」の鍵であるということを教えてくれるのが、関西大の名伯楽・佐藤善信先生がお弟子さんたちと執筆

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企業家は「リスク選好的」なのか

企業家は「リスク選好的」なのか

タイトル写真は、企業家の行動理論:エフェクチュエーションの日本の第一人者、吉田満梨先生のポートレート作品です。吉田先生の弊スクールでの講義開講にあたり、受講生さんからご提供いただきました。この方、デンマークで子供たちに漫画スクールを開講されておりまして、そのスクール生が吉田先生の写真をもとにイラスト化してくれたんです。

吉田先生にも喜んでもらえたようで、良かったです!!

そんな動きはエフェクチ

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「知ってる」と「使える」で評価が全然変わる経営戦略手法、アンゾフのマトリックス

「知ってる」と「使える」で評価が全然変わる経営戦略手法、アンゾフのマトリックス

「知ってる」と「使える」の間には大きな隔たりがある…ということはよく言われますが、つくづく経営学という学問分野はこれが大きいと思います。そして不思議と「知ってる」のほうに教える側も学ぶ側もエフォートを割くのは、経営スクール学長として大きな社会問題だと思っています。

とはいえ。かくいう私も「知っている」にとどまり、過小評価をしていた理論があります。

1960年代、経営戦略論の祖のひとり、イゴール

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4つの「ワーク」のバランス。

4つの「ワーク」のバランス。

石山先生と伊達さんの本『越境学習入門』(解説noteはこちら)に学びました、チャールズ・ハンディの4種のワーク。

有給ワーク(お金のため)
趣味や学習のワーク(自分のため)
家庭ワーク(暮らしのため)
ギフトワーク(利益度外視で、誰かのため)

この4つのバランスが、私たちの「働く」を幸せにするという考え方です。

これはいい考え方だなと思って、ちょっと前から、毎日の生活を変えてみることにしまし

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マネジメントの定義:Getting things done through othersの源流を訪ねて

マネジメントの定義:Getting things done through othersの源流を訪ねて

日本でも世界でも、【マネジメントの定義】として広く知られている言葉があります。

【Getting things done through others.】
他人を使って、ものごとを成し遂げる事。

有名なこの定義ですが、メアリー・パーカー・フォレット(1865-1933)の言葉としてよく紹介されます。海外でも日本でも。

フォレットは、19世紀末に米国トップスクールを傑出した成績で卒業した当時屈

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生え抜き日本人中年男性が、自己効力感を感じながら密な連携をとり、規律を重んじて働く…が日本企業の実態。(中川の研究紹介)

生え抜き日本人中年男性が、自己効力感を感じながら密な連携をとり、規律を重んじて働く…が日本企業の実態。(中川の研究紹介)

先日、論文をひとつ発表しました。

中川功一・佐々木将人・服部泰宏・宮尾学(2022)「組織調査2020の概要と基本的発見事実」法政大学イノベーション・マネジメント研究センター ワーキングペーパー No.245.

全文はオンライン無料で閲覧することができます(こちらのリンクになります)!

これは、中川が30名近いメンバーで進めてきた「組織調査2020」の概要をまとめたものです。総ページ数も63

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若手プレーヤーが経営学を学ぶ意味。

若手プレーヤーが経営学を学ぶ意味。

先日。某所で入社2-3年目の若手の方々に「マネジメント研修」。
ここで起こる問題が、マネジャーの技能や考え方を、入社直後に学ぶことに、どのような意味があるのか?という問題。

私はこの点にごく明確な答えをもっておりまして、それを共有したいと思います。

若手プレーヤーこそ経営学を学ぶべき意味。それは、将来のマネジャーを育てるためというより、本人が今の仕事を自分の【働く】にするためです。

というの

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組み合わせで発想する。

組み合わせで発想する。

先日、海外産業人材育成協会(AOTS)で、海外の方々に日本発のイノベーションの方法論を解説させていただきました。

AOTSさん

実は、日本型イノベーションには時代を問わずひとつの特徴があります。

一例を挙げてみましょう。

ウォークマン
プリウス
任天堂Wii
漫画
AKB48
vtuber

大小さまざま、採り上げさせてもらいましたが(ちょっと恣意的笑?)、共通項は、「既存のものに、何かを

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三方良しというのは別にキレイゴトじゃない。

三方良しというのは別にキレイゴトじゃない。

先日、某所での新規事業育成の支援において、新規事業ほど三方良しを考慮すべきだという話をしてまいりました。

私の講演や講義などを聴いた方なら、ああ中川のいつものやつね、と思われてしまうところではありますが。機能するビジネスモデルの真髄は、やっぱりこれなんですよ。

三方良し。
近江商人の経営哲学のひとつとして知られる。 「商売において、売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよ

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コーチングの科学的裏付け

コーチングの科学的裏付け

一部において急速に興味関心を高めているコーチングですが、これがもう一歩大きな動きにならないのは、科学的にそれがどういう原理に基づくものなのであるのかが定義されていないところにあるように思います。

コーチングが科学的な行為だと見られていないことが、アカデミアにおいては学術的調査対象に積極的にされない原因のひとつであり、実務界においても、エビデンスが弱いとみられてしまう原因だからです。

その意味で

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私達はそれを、愛、夢、伝統、意地などと呼ぶ。「サンクコスト」

私達はそれを、愛、夢、伝統、意地などと呼ぶ。「サンクコスト」

先日、サンワード貿易さんにて、投資・経営の意思決定理論のタイトルで、講演をさせていただきました。

意思決定の基本理論から始まり、
その後は「私たちはなぜ間違うのか」の理論解説をしながら、
投資や経営の判断を誤らないためのポイントをお伝えしました。

そんな中から、当日も一番反響の大きかった、「サンクコスト」についてお話しします。

***

宮迫博之さんは、なぜ焼肉店にこだわってしまうのか。有識

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日ハム新庄監督はアリなのか?を経営学者が解説する

日ハム新庄監督はアリなのか?を経営学者が解説する

先日YouTubeのほうでも解説させていただき、好評でしたこのテーマ、経営者の仕事とは何なのか?ということについて、大切なポイントが詰まっていると思いまして。文字にも、しておきたいと思います!!

YouTube「日ハム新庄監督ってあれでいいの?経営学者が解説してみる」はこちら!

連日、話題をさらっている新庄監督ですが、話題先行で、本当にあれでよいのか?と疑問をもつ方は少なくないのではと思います

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スケールするものを、スモールスタートで始める。

スケールするものを、スモールスタートで始める。

日本では、実感値、半数以上のものごとが4月から始まります。
で、その仕事が1年プロジェクトである場合、1月頃からはクロージングに進んでいきます。ですので、実質的な取り組みのハイライトはもっぱら12月になる。というわけで現状、毎週のようにビジネスコンテストの発表会に参加しています。

ビジコンそんだけやってて、ベンチャー育たないなんて、ビジコンは意識高い系の奴らのポーズじゃんm9(^Д^)、というシ

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