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エッセイを書きたかったけど、書けずに、行き着いた場所。

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フィクションです。
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#書くこと

書きながら考えてるんだわ!

書きながら考えてるんだわ!

ものごとを論理的に考えられる人に憧れがあった。喋る時も「結論から申し上げると」などと言える人になりたかった。だから、努力した。会話をする時も、一度、頭の中で整理をして喋ったり、台本を作るような感覚で自分の意見が短くストレートで伝わるように工夫した。実際に、台本を作ったこともある。頭の中だけでなく、文章も論理的な構成にしようと、アレコレ試してみた。

でも、無理だった。

まとまっているようでゴチャ

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「イメージュ」を追い越したい!

「イメージュ」を追い越したい!

人間に与えられた最も優れた能力は「想像力」だと思ってる。イマジネーションだ。たとえば小説を読んでる時は、登場人物の姿、形、声、姿勢、歩き方などをイメージしながら読み進める。すごい能力だと思う。頭の中の世界には限界がなく、どこまでも想像力の世界は広がっていく。

もちろん、人間であるウチの中にも想像力はある。でも、実は「想像する」という行為にたどり着く前に出来上がってるような、もっとぼんやりとした、

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「ゴミ」の基準。

「ゴミ」の基準。

 ゴミは捨てる。当たり前の行為だ。そして、ゴミじゃないものは捨てない。これも当たり前の行為だ。つまり、捨てたいときは「ゴミ認定」してあげる必要があるし、捨てたくないときは、その反対をしてあげればいい。

 この「ゴミ認定」がむずかしい。ゴミって、いつからゴミなんだろう。少なくとも、ゴミ箱に入る前には「ゴミ認定」されている。ゴミじゃなかったら、捨てないからね。

 じゃあ、いつ「ゴミ認定」してるんだ

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ビビるなよ、わたし!

ビビるなよ、わたし!

ビビるなよ、わたし!

これが最近の自分のテーマだ。なにかにつけて頭の中で呟いている。ついつい自分で自分を縛ってしまう時には、やけに大きく叫んでる。

たとえば文章を書くとき。

これは、もう、しょっちゅう叫ぶ。書きたくて書きたくてたまらないし、どんどんアイディアが生まれてくるはずなのに、いざ書き出そうと思ったら手が進まない。たのしい時間なのに。もっと突き進めばいいのに。

自分の見られ方を気にし

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習慣の自然淘汰。

習慣の自然淘汰。

ウチにはいくつか朝の習慣がある。

目覚めてすることといえば歯磨きだ。

「朝の歯磨きが習慣?」と疑問に思わないで欲しい。ウチにとっては立派な習慣なのだ。なぜなら朝の歯磨きは幼少期から続いているモノではなく、後天的に身についたものだから。

それまでのウチは、朝ご飯を食べてから歯を磨く、というルーティンで朝を過ごしていた。それが高校生のときに変化した。

「朝の口腔内って、お尻の穴と同じくらい汚い

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旅に求めるもの。

旅に求めるもの。

「6号車の、14の……」

新幹線に乗り込みながら呟いた。もう切符はポケットの中にあるため、何度も呟いて自分の席を頭に刻み込む。誰かと電話している時と同じくらいの声の大きさだった。

席を見つけると、隣には髪の毛がブロンズの女性が座っていた。目の色が青く、眉毛が低い位置にある。半袖の下から伸びる腕には、金色に染まった産毛が生え揃っていた。

彼女はウチをみると、足元にあった大きなリュックを自分が座

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雨の日。

雨の日。

雨が降る。コンクリートに水が当たる。パチパチ鳴る。炭酸みたいな音だ。傘をささなかったから聞こえてきた音だと思った。

ビニール傘をさすと、ポツポツいう。その音も悪くない。でも、この日の帰りは傘をささずに歩いた。一番好きなのは、木々の葉から滴るジョロロという水の音かな。

街頭に照らされた雨を見るのが好き。だから上を見る。すると口の中に雨水が入ってくる。雨水って汚いんだよ、と恋人が言っていたのを思い

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【エッセイ】 文章の香り。

【エッセイ】 文章の香り。

パソコンの前でウンヌン唸って、もう何分が過ぎたのだろうか。せっかく早起きをしているというのに、時間だけが過ぎていく。目の前の四角い窓からは、鳥たちが上から下へ、下から上へと飛び回っている。歌っているかのようにピイピイ騒いでいた。

この部屋は南西向きなんだろうか。陽光は四角の左奥から街を照らしているため、朝だというのに部屋が暗い。こういう部屋で過ごすと、朝の目覚めが悪くてダメだ。太陽を浴びていない

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【エッセイ】 縦書きか、横書きか。

【エッセイ】 縦書きか、横書きか。

間違えて本の最後のページを開いてしまった。「ああ、もう」と口の中で呟く。プログラミングされたロボットのように、手が勝手に動いていたのだ。

本が嫌いになったのは、そんな些細な理由がキッカケだったかもしれない。国語の教科書と、他の教科書では読み方が全然違う。「縦書き」と「横書き」になっている。なんでなのか凄く不思議で、気持ち悪かった。でも、誰も納得いく答えを言ってくれなかった。今だに納得はいっていな

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【エッセイ】 書くようになっておもったこと。

【エッセイ】 書くようになっておもったこと。

ここ、二、三年で、文章を書くようになった。

厳密には、書いているわけではなく、キーボードを叩いて、文字を打ち込んでいるだけなんだけど。

それでも、それまでの生活とは一変したという実感がある。

「楽しい世界、見つけちゃった!」って感じ。

キャリアで言ったら、まだ二、三年の、素人の趣味!

そんな人間の文章なんて、物好きの、たぶん、社会的な少数派と呼ばれるであろう人たちの中から、さらに厳選され

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【エッセイ】 スキル。

【エッセイ】 スキル。

心の裡を言葉にできる人が羨ましくて仕方ない。
ここのところ自分なりに文章を書いているんだけど、どうしても自分と文字との間に距離を感じてしまうんです。書いてはいるけど、うまく表現できてないなって思ってしまう。

それでも、話すことよりはよっぽどラクなの。書くことのほうが、自分の気持ちを伝えられていると思っちゃう。会話の速度よりも、書いてる時のほうがうゆっくり時間が進むから、こんなウチでも言葉にできる

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【エッセイ】 好きと仕事と体力と。

【エッセイ】 好きと仕事と体力と。

友達から「やっと本が好きだという気持ちに正直になれた」というメッセージが届いた。彼女は幼い頃から読書家で、夢であった出版社に入社したはずなのに、ここ数年、仕事のために本を読むことが苦痛なんだと悩んでいた。それが、この度めでたく、長年の悩みから脱することができたということだ。

これまでウチは、特にアドバイスもせずに「出版社に入れるなんて読書エリートだよお。羨ましいなあ」と無神経に言い続けてきた。だ

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【エッセイ】 エッセイって、なんだっけ?

【エッセイ】 エッセイって、なんだっけ?

エッセイの語源は、“試み”とか“実験”なんだって。
日本では、エッセイを随筆なんていったりする。

でも、エッセイと随筆って、少しニュアンスが違う気がするんだよね。

エッセイは、

「私が書いていることは、正しいわけではないですが、だからといって間違っているわけでもないのかもしれません。もちろん、それを誰かに強要するような態度もなく、あくまでも、その時、私が思った『世界に対する反応』を感想として

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【エッセイ】 落とし物①

【エッセイ】 落とし物①

「警視庁」その文字を見たとき、あたしは無意識に毛を逆立てていたと思う。ポストに投函された茶封筒。そこには右肩上がりの筆圧の強い文字で、あたしの名前が書かれていた。

かくばったインクたちの裏側に、書いた人物を想像してしまう。止め、跳ねの部分のインクが異様に濃い。強い意思を感じる。自我が強そうだ。上昇志向が強くて、曲がったことが大嫌いで、規律性を重視する人。しなやかの「し」の字もない、あたしの苦手な

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