見出し画像

バレンタインデーと精神医学: 2月14日の心理的ダメージからの回復は男女で違う?〜海外文献の紹介〜

皆様、こんにちは!鹿冶梟介(かやほうすけ)です。

今日はバレンタインデー❤️

ご存知のように、女性が男性にチョコを渡し愛を告白する日です。

皆様もバレンタインデーには様々な思い出があるのではないでしょうか。

女子であれば、好きな人に想いを伝え両想いになった思い出、手作りチョコを受け取ってえず悲しんだ思い出、自分の想いを伝えられず後悔した思い出…🥲

男子であれば、好きな子からチョコを貰い欣喜雀躍した思い出、友達と思っていた子から本命チョコを貰い妙に気まずくなった思い出、好きなあの子が他の男子にチョコを渡すところを目撃した悲しい思い出…😭

このようにバレンタインデーは(少々おげさかも知れませんが)若人にとって「人生の分水嶺」となりうる一大イベントであり、したがって告白の結果次第ではメンタルに大きな影響を与えるのです(深刻)!

…ということで、今回の記事ではバレンタインデーと精神医学に関する海外文献をご紹介しましょう。

そして今回は余計なお世話かもしれませんが、「バレンタイン傷心の回復方法」もご紹介いたします!

バレンタインチョコを貰った方はチョコを齧りながら、そして貰えなかった方はやけ酒でも煽りながら本記事を読んでいただければ幸いです!

なお、本記事は論文データの一部のみをご紹介しておりますので、さらに深堀したい方は是非原文をお読みください!


【研究紹介】

Do the ‘Valentine’s Day Blues’ Exist? A Legacy Report on a Purported Psychological Phenomenon. Lange R et al.,J Sci Exploration, 2002

https://www.researchgate.net/publication/360786537_Do_the_%27Valentine%27s_Day_Blues%27_Exist_A_Legacy_Report_on_a_Purported_Psychological_Phenomenon


<目的>
バレンタインデーブルー”が本当に存在するのかを検証し、またその時間的経過を調べる。

<方法>
Queendom.comというウェブサイトを介して2070人より回答を得た(女性1033名、男性394名)。参加者はバレンタインデーから概ね2週間後(mean = 14.9日、SD=5.21)34項目からなる「バレンタインデー・ブルー・テスト」を実施した(表1)。回答項目をラッシュ評価尺度モデルを用いた解析した。

表1: バレンタインブルーテストの質問項目
日本語版はないため直訳しております。

<結果>
男女の全般的抑うつ状態(前述の4つの項目の組み合わせ)は、バレンタインデーのプレゼントをもらえなかった人の方が、もらえた人よりも大きかった。しかし、男性が2週間後に回復したのに対し、女性の落ち込みの大きさは3週間後も続いた(図1)。

図1: バレンタイン後の男女別うつ症状の変化

<結論>
バレンタインブルーは存在し、かつバレンタインによって生じた苦痛の経時的変化は男女によって異なる。


↓バレンタインに黒毛和牛!?小生は大歓迎です😍


【鹿冶の考察】

少し補足をいたします。

まず本研究対象者数をみて「あれ?なんで女性の方が多いの?」と思った方もいると思いますが、実は欧米ではバレンタインデーは男性が女性にプレゼントを渡す」というのが習わしだそうです。

つまり本研究は「バレンタインにプレゼントをもらった/もらえなかった乙女心の推移」がメインテーマなのです!

ということで実際の男女別のデータ(図1)を見ると、男性はバレンタイから2週間後に「うつ」が強まった後、すなわち3週間後には症状が改善しておりますね。

一方、女性の場合はバレンタイン後から徐々に「うつ」症状が高まり、なんとバレンタインデー後3週間たってもうつ状態は持続するどころか悪化しております!

このことから、男性はプレゼントを貰えなくても比較的すぐ立ち直り、一方女性の方は貰えないとその時生じたネガティブ感情を蓄積&悪化させる…、ということが分かりますね。

<日本でやったら逆の結果に?>

しかし、ここで注意したいのはこの研究は欧米で行った研究であり、「バレンタインに男性から女性へのプレゼントが一般的な社会」での話なのです。

この研究に参加した男性は「バレンタインに女性からプレゼントを貰う方が珍しい」と認識し、この日にプレゼントをそれほど期待していないが故に貰えなくてもそれほどショックではないのでしょう。

一方、女性の場合は「ひょっとしてプレゼントが貰えるかも」という期待があるため、実際貰えなければそのショックは大きなくかつ長引いてしまうのではないでしょうか。

つまり、バレンタインの風習が真逆である日本でこの研究をやったら、男女の結果は逆になっていたかもしれませんね

しかし、残念ながら日本において「バレンタイン傷心」に関する大規模な研究は行われていないため、比較することはできません。

(どこかの社会心理系の研究室で是非やってくれないかな〜🤔)


<バレンタイン傷心の回復方法>

さて最後に余計なお世話かもしれませんが、バレンタイン傷心からの回復方法をご紹介したいと思います!

もしバレンタイン傷心が思いの外長引いた場合(男性なら2週間以上、女性なら3週間以上ショックが続くなら)、是非この方法をお試しくださいな。

本日チョコを貰えなかったそこの人!あなたもこれを読めばきっと元気になりますよ😉

1.自分自身へプレゼント!

バレンタインデーとは愛する誰かにプレゼントを送る日。
それは男女という性別だけでなく、自他という枠すら関係ありません!
この1年頑張ってきた愛すべき自分自身にご褒美のプレゼントを買いましょう!
プレゼントはチョコじゃなくても勿論ok。
お酒、ケーキ、本、アクセサリーなどの物以外、たとえば小旅行、映画、温泉なんかも良いと思います。

2."好きな人"ではなく"大切な人"へプレゼント送ってみよう!

日本ではバレンタインデーを「女性が男性に愛の告白をする日」なのですが、愛だけでなく「感謝」を伝える日にしても良いかも知れません。
例えば、バレンタインカードを家族や友人など大切な人に送ってみませんか(バレンタインが終わっても遅くない😆)?
送られた方は驚くかも知れませんが、ひょっとするとホワイトデーにお返しが来るかも知れませんよ。

3.マインドフルネスをはじめてみる!

最近流行りのマインドフルネスですが、バレンタイン傷心にも一定の効果があると思います。プレゼントを貰えなかったという「過去」に囚われるのでは無く、「今」の自分に集中してみましょう。
最近のRCT研究ではマインドフルネスを取り入れた認知行動療法が治療抵抗性うつ病に効果があると報告されております!

4.ソーシャルメディアをオフにする

X(旧:ツイッター)やインスタグラムでバレンタインデーを謳歌する人々の様子は、傷心中の方にとっては「やっぱ、つれぇわ…😭」っていう思いになるかも知れません。
そんな場合は思い切ってSNSから離れるのも良いかも知れません。

5.誰かに話を聞いてもらおう

バレンタインで傷ついたら、一人で抱え込まず誰かに話を聞いてもらうことも一つの方法です。友達や家族など気の置けない人に話をしたら、胸のモヤモヤがスッキリするかも知れませんよ。
しかし、もしもバレンタイン傷心により、不眠、食欲低下などが続き、学業や仕事に身が入らない日々が続くようでしたら、カウンセラーや精神科医にご相談してください。
症状が長引く場合は、うつ病などに発展している可能性もゼロではありませんからね…。
余談ですが、米国ではバレンタインデーの前日に「ギャレンタインズデー(Galentine’s Day)」という女子会があるそうです。
もしバレンタインが不首尾に終わった場合、男女問わずパーティーをしてみて愚痴を言い合うのも手かもしれませんね。

6.次いってみよ〜!

いかりや長介さんではありませんが、ご縁がなかったと諦め次の恋愛に準備しましょう。
もっと素敵な彼(彼女)が現れる」と切り替えるもよし、「見返してやる」と思い自分磨きに励むもまたよし。
しかし、やけになって「誰でもいいや」と自暴自棄には決してならないでください
人から好かれる最初のステップはまず自分自身を大切にして自分を好きになることだと小生は考えます。


↓8時だヨ!全員集合


【まとめ】

・バレンタインデーとメンタルヘルスに関する海外文献をご紹介しました。
・研究によるとバレンタイン傷心は男性が2週間後に回復したのに対し、女性の落ち込みの大きさは3週間後も続きました。
・しかし、海外のバレンタインデーでは「男性が女性にプレゼントする」ことが一般的なので、日本で同じ研究をした場合結果は違うかも知れません。
・バレンタインデー傷心から回復する方法を6つ挙げました。
・たとえ傷心してもヤケにならず自分を大切にして自分磨きをしましょう!


【参考文献など】

1.Do the ‘Valentine’s Day Blues’ Exist? A Legacy Report on a Purported Psychological Phenomenon. Lange R et al.,J Sci Exploration, 2002

https://www.researchgate.net/publication/360786537_Do_the_%27Valentine%27s_Day_Blues%27_Exist_A_Legacy_Report_on_a_Purported_Psychological_Phenomenon

2.5 mental health tips to take on Valentine’s Day. Embark.

3.A Randomized Controlled Trial of Mindfulness-Based Cognitive Therapy for Treatment-Resistant Depression. Eisendrath SJ et al., Psychother Psychosom, 2016


【こちらもおすすめ】


この記事が参加している募集

至福のスイーツ

記事作成のために、書籍や論文を購入しております。 これからもより良い記事を執筆するために、サポート頂ければ幸いです☺️