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【日本保守党4】「池内・飯山戦争」の目的は「本を売るため」? ネットで伸びる右翼本

日本保守党界隈で勃発している「池内恵・飯山陽戦争」だが(これまでの経緯は下の参考記事を参照ください)、その本質の一端が見えてきた。

「本を売るため」の戦争である可能性だ。

(以下敬称略)


飯山は、22日午前に、Xでこうポストした。


飯山陽の新著『ハマス・パレスチナ・イスラエル』が予約開始段階でアマゾン総合7位につけました!しかも総合9位は先日予約開始された百田先生と有本さんの『日本保守党』です!予約して下さったみなさま、ありがとうございました!現在、ゲラの校正中です。(22日9:10)


飯山が戦争を仕掛けたのは、結局は本を売るためか! と思ったのは私だけではない。

「本を売るタイミングで炎上させてるとしか思えない」というポストに対して、戦争当事者の池内も反応した。


出版界も本がとにかく売れないから禁断症状が出ている。(22日10:02)



そして22日午後、飯山陽は、この疑問に先回りするような内容の動画を公開した。


【ハマス本総合7位!】岸田政権、東大教授、ハマスのウソを全部まくるよ!


この動画で、飯山は以下のようなことを述べている。

「今回の騒動と新刊の発売が重なったのは偶然」

「アマゾンのベストセラー上位は、全体でも、イスラム関連本でも、飯山の本が占めている。ちなみに日本保守党の本も上位」

「池内は、飯山攻撃によって日本のファシズムを止めるなどと言っているが、わけわからん」

「池内はもしかして、本が売れる私を嫉妬しているのか。それなら、お前も売れる本を書けばいい、ちゅー話だ」


アマゾンのランキングを示す飯山(タイトル画像ともにYouTube「飯山陽のいかりちゃんねる」より)



日本保守党の結成や、飯山陽の池内攻撃などが、新刊の発売と連動しているのは事実だ。

そして、それが、まるで考え抜かれたようにうまくいっている。それも事実である。

なにしろ、日本保守党は、党首がミリオンセラー作家であり、日本随一のベストセラー製造人、見城徹・幻冬舎社長が味方についている。(その意味で、日本最強の編プロである)


日本出版販売は11月10日に2022年度の出版物販売統計を発表したが、


それを見ても、本が売れない時代に、ネットから入って本を買う層がふえているのがわかる。

これは、私が現役時代からすでに顕著になっていた。

ネットで知って、そのままネット書店で注文する人もいれば、リアル書店で本を買う人もいる。


このネットを入り口にしたマーケティングが最も効果を表すのが、ビジネス本と、右翼本だった。

つまり、これらの本の読者である若い層は、かつてのようにリアル書店で本を探したり、新聞の広告や書評を頼りにしたりしていない。

新聞の広告や書評で本を買うのは、年寄りと、左翼と、学者で、それはそれで紙の本の固い顧客層だが、しだいにネットに圧倒されていた。

(ちなみに、学者や文化人が新聞のことを悪く言えないのは、本の宣伝をいぜん新聞に依存しているからだが、それについては別の機会に書きたい。)



そして、仮にそれが本を売るためのマーケティングだったとしても、それ自体が悪いわけではない。

人が本を買うのも、「投票」と同じ、民主的意思表示である。

本を買わせることで、主張を広める、というのは、正当な表現・政治行為で、そもそも、それを目的に、表現や出版の自由が保障されている。

その点では、上の動画で飯山が言っている、

「文句があるなら、より売れる本を書け」

というのは、もっともなのだ。

そして、もちろん、それは出版業者にとっても(右翼出版社のみならず、リアル書店や取次にとっても)ありがたい。


この出版市場での「選挙」結果を見れば、この戦争、池内の完敗であることは明らかだ。

以下の、23日未明の池内のポストは、飯山らの「マーケティング」の片棒を心ならずも担がされた、悔しまぎれの負け惜しみに聞こえる。


とにかく本が売れない、ネットもページビューや再生回数が伸びないと尻を叩かれ、やぶれかぶれで極右商売に手を染めようとしているメディア業界のみなさん、あなたのお客さんはこういう人たちですよ。その先には何もありませんよ。(23日2:58)


池内について言うなら、「ネットイナゴ」を、「法的措置」をちらつかせながらなぎ倒すのはいいが、あまり見ていて気持ちいいものではない。

法的措置というなら、まず飯山陽を名誉棄損なりで訴えるのが筋だろう。そうなれば、新聞ダネになる。それを避けて「小物」だけを脅しているように見える。アンフェアな印象だ。飯山については、池内が推薦して世に出した責任もある。

細谷雄一は本来、池内の味方だが、次のポストは、そんな池内に、遠回しに警告したものではなかろうか。


なんだか最近の(前から?)Twitter(X)では頭の良い方々が、頭の良さをフル回転させて全力で他人を攻撃し、批判している気がします。人間の価値は、どれだけ激しく、効果的に他者を攻撃し、傷つるかによってではなくて、どれだけ他者を幸せにし、多くを提供できるかによって測るべきだと思います。


細谷の言は、飯山陽や日本保守党員にも向けられているのかもしれない。

しかし、今のところ、飯山陽は、「大物」や外務省だけを相手にし、読者含めた一般人には喧嘩を売っていない。それも1つのポイントだろうと思う。




なお、日本保守党周辺は、22日夜、参政党の神谷宗幣代表が、

「武田邦彦を介して日本保守党=減税日本が参政党分裂を画策した」

というような動画を公表したため、風雲急を告げている。




展開が早くて、とても追っていられないが、なにかすべてが「話題作りのため」「本を売るため」の壮大な仕掛けに見えてしまう・・・


<<23日10時過ぎの増補>>

池内も本の売れ行きで対抗。


私の本は『現代アラブの社会思想』が2002年に5万部売れて今も20刷以上で売れ続けているし、『イスラーム国の衝撃』は10万部売れてこれも今も売れている。しかし世の中の大部分の本は全く売れていない。そこで際物に手を出す出版社が出てくる。





<参考 これまでの経緯>



<メディアについての参考>



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