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【日本保守党7】池内・飯山戦争、最終局面で浮かぶ「3つの疑問」

(タイトル画像はYouTube「百田尚樹・有本香のあさ8時」より 敬称略)

*池内・飯山戦争の経緯は、いちばん下の参考記事を参照ください



最終局面か


日本保守党界隈で起こっている、池内恵・東大教授と、飯山陽・麗澤大客員教授とのバトル。

だいたいいつも、日中に飯山・百田(尚樹党代表)・有本(香党事務総長)らが発言し、深夜から朝にかけて池内が怒涛のポスト連投をする。

この戦争のウォッチャーとしては休む暇がない。

そんななか、27日には、百田・有本が重要なポストをした。


(百田)
飯山さん、もう、それくらいにしといたり。 それ以上やったら、池内さん、死んでしまうよ。


(有本)
池内恵 東京大学教授にぶら下がるリプライこそ、こういう何の根拠もない酷い中傷だらけよね。まあ御本尊が「日本保守党は拝み屋」「日本保守党は幸福の科学の後継」「日本保守党は学歴コンプレックスが核」という、何の根拠もない悪罵をばら撒いているわけだから、フォロワーが倣うのも無理はないか。


(有本)
1ヶ月近く黙って見てたんだけど、いやぁ酷いのはどっちよ。


これまで、池内と飯山のバトルをどちらかと言えば静観していた百田、有本が、そろって池内の名を出して直接の言及を始めたことで、「最終戦争か?」の声が出ている。

池内VS百田・有本の直接対決が、いよいよ始まるのか。

まあ、こっちの体がもたないから、早く終わってくれるか、どっかの戦争みたいに、ここでいったん休戦してほしいのだが。


池内らはリベラル、飯山らは保守だから、その点では対立するけど、「反左翼」という点では同じはずだ。

一緒になって、たとえば辻元清美的な左翼を叩いてほしいのに。

私は、池内側と飯山側、どちらにも少しずつ共感するから、「喧嘩をやめて」を歌いたい気持ちなんですけどね。


以下、現時点で、私の3つの大きな疑問をまとめておきたい。


疑問1 日本保守党は「組織的に」池内を攻撃したのか


池内が体験したように、自分を攻撃するポストが突然大量に送られてきたら、それは恐いと思う。

それら個々に反撃し、場合によって法的措置をとるのも当然だと思う。

しかし、それは日本保守党が「組織的に」おこなった「ネットリンチ」なのか。

攻撃的ポストのプロフィールにはたいがい「日本保守党員」とあった、と池内は言う。

でも、だからといって、日本保守党の責任と言えるのだろうか。


池内はあくまでそう考える。



日本保守党を名乗る大量の変質的な嫌がらせアカウントが襲ってきたことから始まっている。(11月27日22:57)


日本保守党を名乗る大量のアカウントによる変質的なつきまといが発端です。(28日0:37)


まあそうなんだけど大規模に組織的に虚偽の風説を流布しているから、個人への名誉毀損を超えて、組織背景から調べることになりますよ…(28日2:42)


まあ、「組織的な扇動」の証拠を残しているのは、どちらかといえば池内の仲間の篠田英朗・東京外大教授だ。

「日本保守党の皆さん、飯山陽氏にクソリプを大量に送ってください!!!」

と篠田はポストし(23日5:01)、それに百田が「目を疑うポスト」と反応した。


篠田は、これを「冗談」だとして、自分のポストを削除した。

篠田の「冗談」の意図は、「このように日本保守党は組織的に扇動しているはずだ」と示すことだったろう。


百田・有本は、日本保守党の組織的関与を否定している。

だが、「私は指示していないけど、なかには血の気の多いのがいるからねえ」みたいな、やくざの脅しもある。

池内が想定しているのは、そういう婉曲の教唆だと思われる。


実際、27日の百田の「飯山さん、それくらいにしといたり」についても、池内はその真意をこう解釈する。


しかもさあ、もう表現を選ばずに言うよ。こいつらのさ、「死んでしまうよ」っていうのは、止めてるんじゃないんだよ。フォロワーへの「もっとやれ、自殺させるまでやれ」という符牒なんだよね。こんなやつらがいじめをやり、人を自殺に追い込み、正義を語ってノーノーと生き延びる。許せない。(27日21:48)


池内の解釈を信じるなら、百田の態度は「悪魔的」で、私に麻原彰晃を思い出させる。

麻原は、坂本弁護士「失踪」事件のあと、事件への関与を問われて、

「オウム真理教は愛の宗教団体だから、人に危害をくわえることはありえない。でも、団体も大きくなっちゃったから、私の目のとどかないことがあるかも。そんなことがあったらう、僕は困っちゃう」

みたいなことを、中沢新一かなんかを相手に言って、「笑い」をとっていた。

実際には、麻原は自ら指示して坂本弁護士一家を惨殺していた。

百田を麻原と同一視するわけではないが、最近の百田のポストを見ると、ちょっと誇大妄想的、自己陶酔的なきらいがあり、それをギャグのようにみせているあたりは、麻原とカブる。

「教祖」のように振る舞い、麻原と同じように政治に乗り出している。少し不気味な感じがするのは事実。


とはいえ、私の目からは、今のところ、日本保守党の「組織的なリンチ」の証拠は見えない。

そもそも、池内に攻撃的ポストを送ってきた党員は、飯山陽の影響を受けている。

飯山は、日本保守党シンパではあるが、日本保守党の正式なブレーンではない。日本保守党の指示で動いているように見えないし、その動画内での主張も、日本保守党とは独立している。「日本保守党員なら当然これらの学者を攻撃すべし」のように言っているわけではない。

百田・有本が、党員に「秘密指令」で池内を攻撃させたり、飯山に攻撃させるよう指示したりすることが本当にあったのか。

「慎重な捜査」が必要だ。


疑問2 なぜ池内は飯山に「まともに」応えないのか


飯山が、公然と池内含む日本の中東学者を批判・攻撃しているのは本当だ。

それにたいして、池内らは、その内容に反応するのではなく、「誹謗中傷」と跳ねのけている。

学者として論戦してほしい、という声にたいして、池内はこう答えている。


誹謗中傷とは論戦などできません。あなた方は勘違いしている。(28日3:02)


べつに論戦する義務はないとしても、「誹謗中傷」で片づけられるのも納得がいかない。

われわれ素人は、イスラム思想や中東政治について、この機会に勉強したいと思っているのだが、その願いがかなえられない。

飯山の発言のどこがどう間違っているのか、説明して納得させるのが、ことの解決としていちばん適切だと思うのだが。

池内は国立大学の教員だし、外務省を通じて国の外交に影響力があるのだから、公の立場として、社会に自らの考えを説明する責任もある。


私のような素人から見ても、飯山の議論は極端に思える。

飯山が27日に公開した動画では、「ハマス憲章によれば、ハマスは世界のイスラム化が目的なのだから、妥協の余地ないテロ組織だ」と言っている。


そうかもしれないが、そういう「原理」を持っているということから、ただちに「妥協の余地がない」かどうかはわからない。

たとえば、私は、天皇制はおかしいという「原理」を信じているが、だからといって、ただちに天皇制を廃止しろとか、天皇制を大事だと思っている人たちの意思を無視していい、と思っているわけではない。「政治」のプロセスがあるのだから、主張はしても、妥協もする。

ハマスにだって、当然「政治」の論理はあるはずで、そのあたりこそ、池内の領分のはずだ。

「飯山の言うように単純ではない。実際の政治では・・」と説明してくれればいいのに、と思うのだ。

博士号が偉いとか、東大教授が偉いとかではなく、同ジャンルの研究者どうしで、対等な議論ができないものだろうか。


池内の態度は、以前、篠田英朗にたいして、井上達夫がとった行動を想起させる。

井上と篠田は、同時期に「反・護憲派」として話題になったが、論拠に相違があるようだった。多くの人は2人の対談や論戦を期待したと思う。

篠田は井上に論争をしかけ、応答を待っていた様子だ。

しかし、篠田がいくら井上にラブコールを送っても、井上はそれを無視した。

篠田は2019年に、以下のポストを残している。


何人もの方に井上達夫先生と対談したりできないだろうかと相談したことがあるが、もうダメだと思い始めている。(2019年9月8日19:35)


井上には井上の理由があったのだろうが、第3者にはわかりにくかった。このときも、学者なら公に議論してほしい、と思ったものだ。

池内の態度を、井上と同じといいたいわけではないが、篠田がかつて味わったような思いを、飯山も味わっているかもしれない。


疑問3 2人は何を「守って」いるのか


池内は再三、自分のために戦っているだけではなく、「より大きなもの」を守るために戦っている、という風なことを言っている。


もっとヤバいものと正対している時には、定番のヤジもどこか心安らぐものとなる。君たちがボケていられるこの国を守らないといかん(26日18:01)



一心に働いてくれている仲間たちを危険な目に遭わせるわけにはいかない。(27日22:19)


上の26日の池内のポストは、飯山にネタにされていたが、それはともかく、池内は何を守ろうと奮闘しているのか、わかりにくいのも確かだ。

池内が、高橋和夫や篠田英朗といった「仲間たち」を守りたい、というのはわかる。しかし、それ以上の大義はあるのか。

日本保守党がファシズムの兆しと言うなら、もう少し詳しい説明が必要だろう。


いっぽう、飯山のほうも、こうなった以上は、日本保守党との関係を明確にすべきだ。

飯山が、本当に学問的信念にもとづいて池内らを攻撃しているのなら、百田が「そのへんにしといたり」と言っても、聞かないはずだろう。

しかし、飯山は、日本保守党を「守る」ために、百田の指示に従うのだろうか。

もしそうなるとすれば、飯山も、本当に守りたいのは何か、問われるだろう。


私としては、いまの戦争の形は、どうしても歪んでいると見えてしまう。「日本保守党」の関与が曖昧だからだ。

・池内 VS 日本保守党員

と、

・飯山 VS 池内ら中東研究者

の2つを、分けて戦ってくれればわかりやすい、と思うのだが、まあもう遅いだろう。


<参考 池内・飯山戦争 これまでの経緯>



<この記事の続報>


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