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思い出

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あおいの「思い出」に関する記事をまとめています
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人生で一番の映画

人生で一番の映画

ドラマは苦手でここ数年全く観ていない私だが、映画は好きである。毎週続くドラマとは違って、2時間なら2時間、ぐっとその世界に入り込んで出てくるあの感覚が性に合っているのだ。

そんな私が
「今まで観た中で一番よかった映画は何ですか?」と訊かれたら、これを挙げる。

『ボヘミアン・ラプソディ』(2018年)だ。

映画を観るまで、クイーンについての知識はほぼなかった私。かろうじて聞いたことのある曲が何

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映画館で大人になった

映画館で大人になった

私の生まれ育った町は、田園風景の広がる田舎だった。
そんな田舎で「遊ぶ」と言えば、友達の家に行ってゲームをするか、公園に行って遊ぶか、そのくらいしかなかった。

中学生になり、不登校のち相談室登校になった私に、相談室仲間ができた。
1人は同じ学年のYちゃん。もう1人は学年がひとつ上のRちゃん。
私たち3人は相談室で過ごすうちに意気投合して、休みの日も遊ぶようになった。

「映画、観に行こうよ」

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「眠り姫」な高校時代

「眠り姫」な高校時代

高校時代は、とにかく眠かった。
夜しっかり眠ったはずなのに、日中とても眠い。
1日6時間ある授業の全てで居眠りをする日もしばしばあった。
高校3年間で一度も居眠りしなかったのは体育だけだ。

予習はちゃんとするし、テストの点も中くらいだし、ノートもとっているし、居眠りを除けば真面目な生徒だったと思う。
でも、授業中は眠くて眠くてたまらなかった。
授業に興味がないわけでも、寝不足なわけでもない。ただ

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妹が「妹」じゃなくなった夜

妹が「妹」じゃなくなった夜

高校1年の冬だった。

帰宅したら、こんな書き置きがあった。
「お父さんが怪我をしました。病院に行ってきます」
“母”という言葉も抜けるほどの走り書き。
ただごとではないとすぐに分かった。

中2の妹と2人、私たちは家で待ち続けた。
何か連絡が来ないか。

家電も、私のスマホも鳴らない。

私の心の中で、だんだん不安が増幅していく。
どこを怪我したんだろう。
お母さんが呼ばれるってことは大きな怪我

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面談場所は理科準備室

面談場所は理科準備室

我ながら、学生生活で先生に恵まれるタイプだったと思う。
嫌いな先生もいたにはいたけれど、学生生活を思い返すと好きな先生が数えきれないくらい出てくる。

そんな中でも、一番お世話になったのが、中学2、3年生で担任をしてくださったN先生である。
N先生は理科担当の男の先生で、ソフトテニス部の顧問。ソフトテニスと解剖を愛する、フレンドリーで面白い先生だった。

N先生との出会いは中学1年のとき。
当時私

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文化祭に出た母

不登校だった中学1年生の頃。

母は無理に学校に行かせることはなく、いつも私の味方でいてくれた。
頑張れそうな日は仕事の合間を縫って学校まで送ってくれたし、無理な日はそっと見守っていてくれた。

そんな母が、「学校とのつながりを絶やしたくない」と始めたのが、PTA合唱団だった。
小学校のときは、PTAには人並みに参加して、任意の集まりに出かけていくことはなかったから、本当に私のためだけに参加してく

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淡いこの感情を将来の恋人に話すのかな

淡いこの感情を将来の恋人に話すのかな

先日、推しの=LOVEのライブに行ったときに、この曲が披露されました。

切ない片思いを歌った曲です。
その中に、こんな歌詞があります。

この部分を聴いたときに、ふと頭の中に淡く切ない思い出が蘇ってきました。

今回は私の片思いのお話です。

高校2年のクラス替え。
名簿順に座った生徒たち。
私の前の席はテニス部のS君でした。

私の学校は1学年に280人もいたので、S君のことは同じクラスになっ

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青春はツインテールと共に

青春はツインテールと共に

2月2日はツインテールの日。
Twitterを見ると私の好きなアイドルちゃんたちがツインテールの写真をいっぱい上げてくれている。
可愛い写真が目白押しで、ファンとしては嬉しい限りだ。

それはそうと、私の小さい頃の定番の髪型はツインテールだった。
当時は「ふたつむすび」と呼んでいた。

アルバムを見ると、物心つく前からツインテールをしているので、母も気に入っていたのだと思う、たぶん。

保育園も、

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節分の思い出

節分の思い出

街に貼られた恵方巻きのポスターを見て、ああ、明日は節分なんだと気づいた。

ふと、小さい頃の節分を思い出した。

私の母は年中行事をちゃんと実施するタイプだった。

桃の節句には雛飾りを出してちらし寿司を作ってくれた。
端午の節句には菖蒲湯を用意してくれた(うちは男の子がいないので五月人形と鯉のぼりはない)。
七夕にはみんなで小さな笹を飾った。
冬至の日にはかぼちゃ料理が食卓に並び、お風呂に柚子が

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父とわかさぎ釣りをした日

父とわかさぎ釣りをした日

前職を辞めてから結婚するまで、実家の厄介になっていた。

ある日、私は言った。
「お父さん、私もわかさぎ釣りについて行っていい?」

父は多趣味である。
釣り、日曜大工、手芸、パン作り、蕎麦打ち、庭仕事…。
多分これでも全ては列挙できていないだろう(しかも知らないうちに新しい趣味ができていたりする)。

中でも釣りは長年愛好している趣味の一つだ。
夏は海で鯛やイカを釣ってくる。
冬は夏みたいに海に

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