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所感

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エッセイやら何やら。
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卒業研究中間発表会までを振り返る

卒業研究中間発表会までを振り返る

 今年もあと数時間。例に漏れず振り返りをすると、思い出すことの大半が卒業研究に付随した話ばかりだったので、忙しさで忘れないうちに現時点での所感を残しておきたいと思う。

研究活動開始 まず真っ先に述べるとすれば、新型感染症拡大の影響を色濃く受けたということ。大学に設置されている機器の使用が難しいのはもちろん、研究そのものが通常よりも2ヶ月ほど遅れたスタートで、かつ学部棟にいる学生も少ない。人と話す

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霧たちのぼる山奥、図書館の思い出

霧たちのぼる山奥、図書館の思い出

感染症対策による規制の緩和により、後期になってようやく自由に大学図書館に入れるようになった。

水を打ったような館内、木立に見える本棚、土ともまた違う古い紙の匂い。
いつも霧のたちのぼる山奥を連想する。

この場所は、私の人生からは切り離せない場所。
久々の空間に心が踊ってしまう。

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小学校にある図書室の本の並びを、今でもありありと思い出すことができる。

貸し出しカウンターに近い入

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最後の夏休み、私たちはきっと大丈夫だと思った

最後の夏休み、私たちはきっと大丈夫だと思った

学部生最後の夏休み。
このご時世ゆえに久しぶりに仲間と宅飲みをした。

締まらない乾杯の音頭を取って、まずはそれぞれの進路について話す。
みな概ね順調で、うち一人はひとり暮らしをしている部屋をじきに引き払うそうだ。

ほろ酔いの勢いで、「今年はまだ一度もしていないから」と言って半ば強引に線香花火をした。
ぬるい夜風が強く吹くから、ろうそくに火が全然つかない。
仕方ないのでチャッカマンと花火で火を直

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知ることは生きること

知ることは生きること

理系の代表格と言っても過言ではない、数学と物理が大の苦手だ。

本当に、ビックリするほど出来ない。
中学受験で(当時の自分にしては)やたら難しい算数を叩き込まれたからか、すっかり苦手意識がついてしまっている。
あの忌々しい金色の表紙のテキストのことは忘れられない。
ゆえに高校時代はテストの結果はいつも真っ赤っか。逆に現代文と地理は絶好調。

理系/文系という概念がそもそもナンセンスだという議論はさ

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2年6組を抜け出して

2年6組を抜け出して

「…先生、この日の午後は学校の大掃除の予定ですが、早退とか…できますかね」

確か、そんな風に言った気がする。

職員室に入って左手奥。年に何度かある、進路相談という名の二者面談での出来事。

担任はわずかに怪訝そうな顔をしたけれど、私はたいへんに真面目な生徒だった(今でもそうかもしれない)から、正直に、事実をありのままに述べた。
話を聞いて少し考えたあと、私たちの早退(予定)を許可してくださった

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サイダー

サイダー

親の教育という観点で見れば、どちらかというと厳しく過保護な家庭で育ったと思う。
中学生になるまでは徒歩もしくは自転車でひとりで出かけることは暗黙の了解的に原則禁止にされていたし、高校生になるまで自分で自由に使えるお金は無かった。

だから時たま許しを得て(送迎付きで)友達の家に行ったときだけ飲める、ジュースなどの甘い飲み物は、私にとって特別なものだった。
家には麦茶か牛乳しかなく、自分でも買いに行

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