【米国株式投資】Q2ホールディングス / QTWO / 中立:最新の23年度第4四半期決算分析と今後の株価見通し(Q2 Holdings)
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本日のアナリストは、🇺🇸米国を拠点に活動しているドノヴァン・ジョーンズ氏です。
自己紹介
ジョーンズ氏は、米国を拠点とする株式リサーチのスペシャリストであり、15年にわたり、米国のソフトウェア関連企業やIPO企業の投資を分析してきた経験を持っております。
主に、「高成長テクノロジー銘柄」、「消費者関連銘柄」、「資本財・サービス関連銘柄」、「メディア関連関連」、「ライフサイエンス銘柄」に焦点を当て、ファンダメンタル分析を用いて企業分析を行っています。
最新のレポート紹介
【米国株式投資】Q2ホールディングス / QTWO / 中立:最新の23年度第4四半期決算分析と今後の株価見通し(Q2 Holdings)
Ticker: QTWO / 3464文字 / 所要時間7分程度 / 強気
サマリー
Q2ホールディングス(QTWO)は、米国の中小銀行にデジタル・バンキング・ソフトウェアを提供しているテクノロジー企業である。
同社は2024年2月21日に23年度第4四半期決算を発表しており、トップラインの売上高の成長は低下し続けており、営業損失は依然として大きい。
経営陣が営業損失を減らしながら、より良い売上高の成長を実現できるまで、私の同社株価に対する見通しは「中立」である。
Q2ホールディングスについて
Q2ホールディングス(QTWO)は、米国の中小銀行にクラウド型デジタル・バンキング・ソフトウェアを提供しているテクノロジー企業である。
同社は、2024年2月21日に2023年第4四半期決算を発表し、コンセンサス売上高予想を上回った。
しかし、売上高の伸びは引き続き下落傾向にあり、営業損失は依然として大きい。
そのため、経営陣が損失を削減しながら売上高成長を改善できるまで、私の同社株価に対する見通しは「中立」である。
Q2ホールディングスの概要と市場
テキサス州オースティンを拠点とするQ2ホールディングス(QTWO)は2004年に設立され、金融サービスやITプロセスの近代化を目指す地域金融機関(RCFI)に幅広いソフトウェア機能を提供している。
最高経営責任者(CEO)のマット・フレーク氏は、2005年にVP Salesとして入社して以来、同社を率いている。
それ以前は、S1 Corporationで地域営業部長、Q-Up Systemsで地域営業部長を歴任していた。
そして、同社は主に以下のサービスを提供している。
デジタル・バンキング
デジタル・レンディング
顧客インサイト
アナリティクス
イノベーション・スタジオ
同社は、社内での直接営業やマーケティング活動、パートナーからの紹介を通じて顧客を獲得している。
Mordor Intelligence社の2024年の市場調査報告書によると 、世界の金融サービス・アプリケーション市場は2024年に推定1470億ドルで、2029年には2720億ドルに達すると予測されている。
これは、2024年から2029年までの年平均成長率(CAGR)13.1%の予測に相当する。
この成長が期待される主な要因は、金融機関が若い層のユーザーに対して競争力を維持するためにインフラ・スタックを近代化する必要があることである。
また、新興のフィンテック企業からの競争圧力が高まる中、業界はビジネス・インテリジェンス・ソリューションの改善を必要としている。
そして、同社の競合他社やその他の業界参入企業は以下の通りとなっている。
大手コンサルティング会社
システム・インテグレーター
金融機関向けソフトウェア会社
Q2ホールディングスの最近の財務動向
Q2ホールディングス(QTWO)の四半期別の総収入(黄緑色の列:Total Revenue)は、急速ではないにせよ着実に伸びている。
一方で、四半期別の営業利益(青色の線:Operating Income)は、損益分岐点に向けていくらか前進しているが、依然としてマイナスである。
実際に、フリー・キャッシュ・フローを生み出し、営業損失をカバーする一方で、売上高の拡大と事業規模の拡大に焦点を当てている企業も多く存在する点にはご留意いただきたい。
四半期別の売上総利益(黄緑色の線:Gross Profit)は上昇を続けているが、四半期別の販売費および一般管理費(青色の線:Selling General & Admin Expenses)は、経営陣がコスト削減圧力をかけているため、それほど急速に上昇していないことが分かる。
一方で、希薄化後1株当たり利益(EPS)はマイナスのままだが、損益分岐点に向けて一進一退を続けている。
(上記グラフのデータはすべて百万USD単位・GAAPベース)
また、過去12ヶ月間、Q2ホールディングスの株価は43.4%上昇したのに対し、iシェアーズ・エクスパンデッド・テクノロジー・ソフトウェアETF(IGV)は55.4%上昇している。
Q2ホールディングスのバリュエーションとその他の指標
以下は、同社に関連するバリュエーションの表である。
また、40%ルールとは、ソフトウェア業界の経験則であり、売上高成長率とEBITDA成長率の合計が40%以上であれば、その企業は、ソフトウェア企業として、許容できる成長とEBITDAの軌道に乗っていることを示すものである。
下表のように、同社の直近の調整前40%ルールの計算値は、2023年第4四半期の決算時点でマイナス0.6%であったため、下表の通り、この点では改善が必要であることが分かる。
Q2ホールディングスへの見通し
市場のアナリストとの直近の決算電話会議では、経営陣の準備発言として以下の点が強調されている。
売上高の伸び
Non-GAAPベースの売上高は1億6,220万ドルで、前年同期比11%増、前四半期比5%増となった。
サブスクリプションの年間経常収益(ARR)は約4,700万ドル増加した。
第4四半期の総受注実績は、好調な営業遂行と過去最大規模の2案件の成約に牽引され、過去の記録を75%以上上回った。
受注残
当四半期の受注残は過去最高の2億6,900万ドルとなり、金融機関の規模やセグメントを問わず、販売面で大きな成功を収めた。
費用・経費の変化
より利益率の高いサブスクリプション収益の機会に焦点を当て、事業全体でコスト効率化を実行することにより、収益性の改善を達成。
通期では調整後EBITDAが600bp近く改善した。
キャッシュフロー
通年のフリー・キャッシュフローは3,000万ドル以上改善し、年末の現金残高は3億2,400万ドル超となった。
第4四半期の営業キャッシュフローは3,660万ドルで、これは運転資本管理の強化および季節性の好影響によるものである。
貸借対照表項目
年末の現金残高は3億2,400万ドルを超え、好調な業績とキャッシュフロー管理を反映している。
アナリストは同社経営陣に対し、受注高の伸び、最近の大型案件、2024年の見通しについて質問している。
そして、経営陣は、同社の過去最高の受注高実績と将来の売上高成長への影響について説明し、サブスクリプション経由の年間経常収益と総受注残の大幅な増加を強調した。
また、経営陣は、最近の大型案件の戦略的重要性と、デジタル・バンキング分野における同社の競争上の位置づけを強調している。
さらに、収益性向上の原動力として、コスト管理戦略と利益率の高いサブスクリプション経由の売上高への注力についても言及している。
加えて、収益ガイダンスやデジタル・バンキング・ソリューションに対する継続的な旺盛な需要の見込み等含め、2024年に向けた同社の見通しについても話し合われていた。
そして、経営陣は、競争上の優位性を維持し、将来の成長を促進するためには、AIと製品イノベーションが重要であることを強調していた。
売上高ガイダンスとトレンド
2024年のNon-GAAPベースの売上高は6億8,300万ドルから6億8,900万ドルの範囲で、前年比9%から10%の成長を見込んでいる。
今後3年間のサブスクリプション経由の売上高の平均成長率は約14%を目標とし、サブスクリプション経由の売上高は売上高全体の構成比として引き続き増加すると予想している。
しかし、以下のグラフが示すように、四半期ごとの売上高成長率は引き続き低下傾向にあり、これは、経営陣が収益性改善のために会社経営を強化する一方で、その過程で成長率を低下させていることを示している。
以上より、トップラインの売上高成長率が鈍化傾向にあることから、同社が営業損失を削減しながら売上高成長率を改善できるまでは、私のQ2ホールディングスに対する見通しは「中立」である。
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