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詩集

44
私の紡いだ言葉たち。 全部のせ。
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#子どもに教えられたこと

【詩】ピアノの木

【詩】ピアノの木

白鍵と
黒鍵と
それらがずらりと並ぶ八十八の玉座

そして
沈んだ鍵(けん)の窪みから
人の姿に似た木が芽吹く

ピアノから生まれた木は
母なるピアノに還るべく
八十八の玉座を尋ねる

その軌跡を律とし
隠されたパターンを解き明かした時
かの扉が開くのだ

そして
浮かんだ鍵(けん)の頂から
人の姿に似た木が還っていく

私の耳に残った響きは
その生命の旅路
私の心に残った響きは
その生命の循環

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【詩】シルバニアファミリー

【詩】シルバニアファミリー

1歳の娘が
シルバニアファミリーの
パパを
しゅーっと
口をとがらせながら
背面へ放り投げた

1歳の娘が
シルバニアファミリーの
ママを
しゅーっと
元気よく発声し
側方へ放り投げた

残された
シルバニアファミリーの
娘は
家の中で
1人
散り散りとなった
家族を探さず
1人
声もあげずに
1人

突如訪れた
一家崩壊の危機に
やさしくほほえむだけ

この子の
パパと
ママが
私の
パパと

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【詩】 3歳のクリスマス ―高階様のTweetより―

【詩】 3歳のクリスマス ―高階様のTweetより―

今回はX(Twitter)で目に留まった高階様のTweetを元に作成いたしました。
御本人の承諾のもと、Tweetのご紹介も含め詩を投稿いたします。

↓元ツイートです。

【詩】3歳のクリスマス
今年もクリスマス
毎年同じプレゼントを買っていく
君の大好きなトミカ
今年で29台目

喜んだ顔を思い浮かべる
29年経った今でも
君の笑顔は3歳のまま
あの時から
永遠に

来年はどんな車がいいかな

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【詩】手を引く者

【詩】手を引く者

小さな頃の僕は臆病で
親に手を引かれ
いつも大きな背中を見て歩いていた

思春期を迎えた僕はぶっきらぼうで
親の手を離れ
脇目もふらず先へ先へと走り出した

大人になった僕は久々に実家に帰ると
親の手はしわくちゃで
大きかった背中が小さく見えた

親になった僕は子どもを見せに行くと
親をじいじとばあばと呼ぶようになり
子どもを見る2人の姿が懐かしく思えた

子どもが歩くようになると
今度は僕が子ど

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【詩】餃子

【詩】餃子

私の餃子のひだは小さくて
慣れた手つきで
これでもかと餡を詰め込む

君の餃子のひだは大きくて
慣れない手つきで
控えめに餡を乗せていく

私は美味しく作りたくて
君は作るのが楽しくて

焼き上げたあとの君の餃子は
どこか不格好だけど
たくさんの余白が大きく広げた翼のようで
私の太った餃子より
どこまでも高く飛んでいってしまいそう

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