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映画感想

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『ミッドナイトスワン』とLGBTQについて※若干のネタバレあり

『ミッドナイトスワン』とLGBTQについて※若干のネタバレあり

まずはじめに、草なぎ剛さん「第30回 日本映画プロフェッショナル大賞」の主演男優賞おめでとうございます!

【映画の内容】トランスジェンダーとして身体と心の葛藤を抱える凪沙は、母に捨てられた少女 (一果)と出会い、母性に目覚めていく。「母になりたかった」人間が紡ぐ切なく衝撃のラブストーリー。

【LGBTQについて】L:レズビアン※レズと短縮した言い方は差別的だとされています
→女性の同性愛者(心

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強さの裏側を想像する『ココ・シャネル 時代と闘った女』

強さの裏側を想像する『ココ・シャネル 時代と闘った女』

『20歳の顔は自然からの贈り物、30歳の顔はあなたの人生。でも、50歳の顔はあなたの功績』

彼女が残したことばの中で、わたしが最も好きなことば。
常に頭の片隅にあって、時々このことばを思い出しては自分を奮い立たせる。

10年前のあるキッカケから”ココシャネル”という人物を知り、興味がわき、映画や本を通して彼女のことを知るようになったのだけど・・・

今まで観てきたものは、美しいものだけが、美し

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くそ暑い夏に、自転車で全力坂したくなる余韻『サマーフィルムにのって』

くそ暑い夏に、自転車で全力坂したくなる余韻『サマーフィルムにのって』

今、もしわたしの目の前に坂が現れたとしたならば、今ある力を振り絞って青空に向かって自転車をこぐ。
そして下る時は、できる限りブレーキに触れず、風と重力に身を任せる。

ウオーーーーーーーーー!!!!!

って叫びながら。
出来れば、隣に仲の良い友人がいて欲しいですね。

そんな、青春映画の登場人物になったような気持ちにさせてくれる映画・・・見つけましたーーーーー!

おすすめの映画ある?

と聞か

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夏の終わりに感じる漠然とした切なさは、この映画で解消『summer of 85』

夏の終わりに感じる漠然とした切なさは、この映画で解消『summer of 85』

夏vs秋。
この夏の終わりの切なさについては以前の記事でも書いたこと。

この感情をどこにぶつけたらいいのかと思い、noteに書き出した。
この漠然とした感情、どちらかといえば苦手だと思っていたのに、浸っていたくなるような映画があったので、感想とともに。

『Summer of 85』
『ほんの一瞬も離れたくなかった。』
『一緒にいるのに、満たされなかった。愛していたから。』

16歳のアレックス

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日本ではあり得ないことが、ある国では日常的であること『アナザーラウンド』

日本ではあり得ないことが、ある国では日常的であること『アナザーラウンド』

高校の卒業式で、生徒と先生が乾杯し、多少ハメをはずしてどんちゃん騒ぎ!
生徒が先生に、のーんでのーんで飲んで!のーんでのーんで飲んで!って煽っちゃったりして!(笑)

これはデンマークの映画。
こんな世界線は日本にはない。

逆にデンマークの人から見れば、卒業式に好きな人の第二ボタンをもらうなんて世界はないのかもしれない(というか、今時古い?笑)。

デンマークでは、16歳から飲酒が認められている

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全く共感できないからこそ、興味が湧くサイコパス。『永遠に僕のもの』

全く共感できないからこそ、興味が湧くサイコパス。『永遠に僕のもの』

はじめに、『サイコパス』と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

“凶悪な連続殺人事件に加担する人“

そんなイメージではないでしょうか?
わたしはそうでした。これはきっと、ドラマや映画などの影響で。

でも実際は、サイコパス気質を持って生まれてきた人で、こういった殺人などの犯罪に加担することは稀だとか。

まず、人口の1%ほどいると言われているサイコパスは、非サイコパスの人と脳の作り、機能が異

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理解することはできないけど、想像してみることは出来るかも。『空白』

理解することはできないけど、想像してみることは出来るかも。『空白』

わかる!この言葉を乱用していた過去。
本当にわかることにしか、この言葉を使わなくなった現在。

日常会話で、相手の言葉の意味を深く考えながら会話をすることはしないけど(考え出すと時間がかかって会話にならない)、映画や読書をする中で、普段の何気ない言葉や行動について深く考えてみることがある。

『わたしは、沖縄が好きなんだよね』

例えば、友だちのこの言葉に対して、わたしも同じ気持ちだと伝えたとする

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12歳で両親を告訴する世界線。『存在のない子供たち』

12歳で両親を告訴する世界線。『存在のない子供たち』

中東貧困を描いた物語で、とても重い映画。
こころのコンディションが良いときに観ることをおすすめしたい!

両親が出生届を出さなかったことで、誕生日や年齢が不明、自分が何者かわからない状態で生きている、主人公のゼイン。
しっかりと存在しているのに、もしいなくなったったとしても、だれも気にしなければ気づかない。

でも、ゼインは大人以上に必死に生きていて、社会的過ちを犯し、最終的に両親を告訴。

『僕

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話してもきっとわからない。それでも向き合って話そう。『カモンカモン』

話してもきっとわからない。それでも向き合って話そう。『カモンカモン』

白黒映画をみたのはたぶんはじめてだったけど、大好きな映画のひとつになった。
というかわたしの中では、今年イチかもしれない。

NYでラジオジャーナリストをやっているジョニーと、9歳の甥っ子ジェシー。
この二人の突然はじまった共同生活を描いた物語。

特別何かが起こるわけでもなく、日々の何気ない場面がほとんどなんだけど、観終わったあとにほわほわと考えを巡らせてしまうような。
この映画に出てくる言葉の

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“事実“と“真実“は似ているようで全くの別物『流浪の月』

“事実“と“真実“は似ているようで全くの別物『流浪の月』

なんと言うか・・・・150分の映画を観終わったあと、パッと感想が出てこなかった。

「わたしは何を感じたんだっけ?」「何に共感したっけ?」
このことについて、ゆっくりと、じっくりと、頭の中で思考を凝らしてから何かを言いたいような。

登場人物に対して、「なんでこんな酷いことするんだろう」「どうしてそんなふうに考えるのだろう」とか、反発感情が生まれて、「悪者だ!」と言いたくなるシーンがあったし、実際

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80%理解しているだろうの実際はその半分説『彼女が好きなものは』

80%理解しているだろうの実際はその半分説『彼女が好きなものは』

親しい人ががいる。

もう長いし、その人がどんな性格で、どんなものが好きで、嫌いか、周りにどんな人がいるかとか、大体のことはわかっていると思ってたの。

っていうか、たぶんその辺は把握している。
それを「理解度80%」だと思ってた。

でもね、全然!!!!!だった。

お酒の力を借りて本音で話してみたら、全然!
実際は、その半分、下手したらそれ以下だったのかもしれない。

その日話したことによって

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敵を許す力、愛の力は偉大『レ・ミゼラブル』

敵を許す力、愛の力は偉大『レ・ミゼラブル』

「長所や短所、善悪の定義はそもそも存在しない。それは、それを見る人や状況によって変化する。」
「不正のために生きる人もいれば、正義のために死ぬ人もいる。」

というようなコトバを本で読んだコトがあるけど、そのコトバが、何となくイメージとして繋がってきた映画だった。

あと、敵を許す力。
これ、もしかしたら責めるコトよりも、何倍もパワーがあるコトかもしれない。経験外だけど。

日常には、何か嫌なコト

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