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カガリビ書房

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火の暖かさに誘われて、着いた先には小さな書店。あなたにとって大切な一冊が見つかりますように。
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#毎日note

衝撃の新人類史~「地球星人」を読んで~

衝撃の新人類史~「地球星人」を読んで~

私は、人間を作る工場の中で暮らしている。
私が住む街には、ぎっしりと人間の巣が並んでいる。

上記は、芥川賞受賞作家の村田沙耶香さん著、「地球星人」より。

今回は、「衝撃的傑作」と呼び声高いこの作品について、ご紹介していきたいと思います。

どんなお話か
一言で言うと「世間の常識からの脱却、その新人類史」と言ったところでしょうか。異論は認めます。
村田沙耶香さんの物語には、毎回驚かされているので

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熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~

熱く、毒のある。~芥川賞受賞作「彼岸花が咲く島」を読んで~

今回は、李琴峰(り ことみ)さん作、「彼岸花が咲く島」について紹介してまいります。
こちらは、2021年第165回芥川賞を受賞し、大きな話題を呼びました。

装丁の絵が美しうていたり。いと好き。

李琴峰さんは台湾出身の作家さんです。台湾出身というだけで、冷たい批判の声を浴びたことがあるという李さん。そんな李さんが紡ぐ文章には、不当な差別に対する是非を、私たちに考えさせるような箇所も見受けられまし

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「暑い」なら「暑さ」を読んでみて。~星新一「暑さ」より~

「暑い」なら「暑さ」を読んでみて。~星新一「暑さ」より~

以前、夏の終わりだなんだ散々書いて参りましたが、僕の住んでるクマモトタウンの昼はまだ、いと、蒸し暑うしていたりです。

太陽もその鋭意を綻ばせることなく、燦々とこの身を焼き付けます。
残念ながら暦の上では十分「秋」でも、十二分に「暑さ」は健在です。

そうそう「暑さ」といえば、
ショートショート界のパイオニア、星新一先生の「暑さ」というお話を思い出します。

星新一先生はご存知ですか?星新一先生は

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