(小説)ショートカットキー覚えたら人生変わった話
「お前、まだ議事録終わってないのか?」
すいません、と唇の隙間から恐る恐る声が逃げ出した。すきま風のようにその場を冷やしたが、ぷりぷりとした先輩は依然と熱を帯びたままだ。まだ若いのに、眉間にしわが寄っているせいで老けこんで見える。
私はやることなすこと全てが遅い。物心ついた頃から察してはいた。母が私を生んだ時、私はしばらく泣き出さなかった。そのため、病室はてんやわんやの大騒動だったという。すると、「あ、忘れてた」と言わんばかりに、私は産声を上げたというのだ。私はその話を聞