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2021年7月の記事一覧

ガビチョウ

ガビチョウ

テラス席に次に登場したのはガビチョウ。

しろく眉を画いたような目元が名前の由来。

地味な茶色の衣装を纏っているけど

その優美な歌声はみんなを惹きつける。

南国の雨林を思わせる美しい声

次々に繰り出すレパートリーの多さ

遠くまで聞こえる圧倒的な声量は

さながらオペラ歌手。

その美声ゆえに異国から連れてこられ

飽きられ捨てられ野森に逃れ

挙句声がデカいと邪魔者扱い

なんとも哀れな

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蝉時雨ー7月の星々ー

蝉時雨ー7月の星々ー

お社の大樹が参道に濃い影を作る。

短い命を燃やす蝉時雨が

容赦なく鼓膜をつんざく。

からん、からんと鳴る錆びた鐘の音。

ぱん、ぱんと響く乾いた柏手。

まるで映画のように蝉の声が一瞬鎮まり、

深い海の底のような蒼い静寂が支配する。

深く一礼をして祈りを解いたその人は

ひとつ深呼吸をして歩き出した。

麦わらの相棒たち

麦わらの相棒たち

酷暑続きの夏の日々。

炎天の昼間を避けて、朝と夕に畑に出る。

この時期、仕事は生育管理。

適期を迎えた夏野菜、その成長を手助ける。

朝は収穫・草むしり、夕の仕事は水やり・除虫。

同じルーティンの繰り返しでも畑の様子は刻々変化。

野菜の機嫌を伺いながら、虫や草とも言葉を交わす。

いい仕事にはいい準備。どんなことでも基本は同じ。

今日やるべきことをイメージし、道具を整え畑に向かう。

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花粉団子

花粉団子

梅雨明け三日の猛暑のさなか

休む間もなく飛び回り

せっせと蜜を集める

働きもののミツバチ

両脚にたくさん抱える

黄色いかたまりは花粉団子

集めた花蜜と一緒に持ち帰り

ミツバチたちの保存食

花粉団子は豊かさのあかし

たくさんの花が咲き

たくさんの花蜜があり

ミツバチが元気に働ける

畠の子たちが花咲かせ

ミツバチたちを働かせ

ミツバチたちの働きが

畠の子たちを実らせる

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金色のアマガエル

金色のアマガエル

早朝の畑仕事を終えた後

水場で泥落としていると

草むらの中から小さな影が

ぴょんと足場のコンクリに

影の主は金色のアマガエル

一瞬、我が目を疑った

誰かに悪戯されたのか

はたまた夢でも見ているか

全身見事な金箔のよう

朝日を浴びてキラキラと

調べるまでもなく

これは吉兆間違いなし

梅雨明け直後の抜ける青空

今年の夏は絶対に

いい夏になるとお墨付き

Close to you

Close to you

いつもご愛顧いただきありがとうございます。

梅雨が明けて抜けるような夏空が広がる本日、

大変人気の高い、当店のテラス席について

素敵なエピソードが舞い込んでまいりました。

昨日、この席でプロポーズをされたキジバト(雄)さまが

キジバト(雌)さまの心を見事射止められたと、

嬉しいご報告を証明写真付きで頂戴致しました。

店主及びスタッフ一同、大変嬉しく思うと共に、

お二方の末長いお幸せ

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枝豆とビール

枝豆とビール

憂き世のうさは色々あるし 

蔓延る病も心配だけど

まあまあそんなしけた顔せずに 

さあさ、一杯やりんしゃい

獲れたて茹でたてあつあつ枝豆 

さっとひとふり粗塩振って

プチッと弾けりゃ 口中が 

濃ゆい甘味に満たされる

難しいことはわからんけれど 

手間暇かけてちゃんと世話すりゃ

畑の野菜は実ってくれる 

そんな暮らしもよかろうて

枝豆に蟷螂

枝豆に蟷螂

収穫直近の枝豆の葉の上 颯爽と構える小さな蟷螂

葉陰に隠れた獲物を見据え 鋭い鎌を中段に 

気配を消して忍び寄る

果てしなく続く除虫戦 頼もしい援軍の登場に

しばし作業の手を止めて 最敬礼でエールを送る

がんばれ カマキリ

がんばれ わたし

美味しいビールが待っている

ご来店のお客さまへ

ご来店のお客さまへ

本日昼過ぎ、当店入り口にお立ち寄りいただきました

新しいお客さまにお伝え申し上げます。

遠目に拝見しただけではございますが、

小柄な身体に滑らかなフォルム

艶やかな黒の翼に鮮やかな黄色の胸は

キビタキ(オス)さまかと存じます。

数日前から森に聞こえていたよく通る美しい声は

貴方さまの歌声だったのですね。

貴方さまのような新規のお客さまのご来店を

かねてより心待ちにしておりました。

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森と畑の話:バトンリレー企画

森と畑の話:バトンリレー企画

穂音さんから思いがけずにバトンを受け取りましたので、いつもの詩的なものとは違う、長めの文章にチャレンジしたいと思います。

といっても、現状、わたしの生活・わたしの頭の中は、森と畑のことで大部分が占領されてしまっているので(笑)、それ以外のことが書ける訳もなく、いつも書いている森とか畑の話です。つまんなかったらごめんなさいw。

ご存知の方はご存知ですけど、わたしは今、森のそばの小さな古家に住んで

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甘唐辛子

甘唐辛子

飾り気のない力強さを感じさせる白い花が

わさわさと伸びた緑の幹枝のあちこちで

われさきに虫を呼ぼうと咲き誇る

よく見ればすでに花びらを落として

小さな実を結んでいる子もちらほらと

久しぶりに降った本気の雨を

思う存分吸い上げて

夏の食卓を彩る元気印が

もうすぐ出番を待っています。

甘唐辛子:ピーマンの和名。ナス科トウガラシ属。唐辛子から辛味を抜いて品種改良された種。青椒。一年中流

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