マガジンのカバー画像

ツッコミ読書

11
本をクリティカルに読むには、ツッコミながら読むのが最適だと思う。自分と意見が違っていても、ツッコミどころ満載な本は良書だと思うし、ツッコミ入れているだけで、思考させてもらえている…
運営しているクリエイター

記事一覧

#10 『天才を考察する』 デイヴィット・シェンク

#10 『天才を考察する』 デイヴィット・シェンク

人の能力は遺伝と環境のどちらが重要なのか。

副題「『生まれか育ちか』論の嘘と本当」の意味

「生まれ」、すなわち遺伝的な要素の影響が大きいことが、科学的に証明されたのか?
と思い手にしました。

読むと、遺伝の要素だけではなく環境が影響するという意見でした。一般的には遺伝で決まるという認識が強いということでしょう。

確かに、
「私たちの子だから、勉強はできなくても仕方ない」
という発言を未だに

もっとみる
#10 中学受験指導をしている人間が、親目線でおすすめする中学受験本

#10 中学受験指導をしている人間が、親目線でおすすめする中学受験本

中学受験生を指導させていただいています。
一方で、中学受験生の親もしております。
両方の目線で中学受験関連の書籍は多読していますが、どちらかというと親目線でツッコミを入れます。

作品としてどうこうという評価ではなく、中学受験に役立つ度合いという一点でコメントしています。

ノンフィクション部門

これは、最難関校への「伴走」の仕方を参考にしたい親には、ほとんど参考にならないです。
「伴走」ではな

もっとみる
#9 『奇跡のリンゴ』(石川拓治)

#9 『奇跡のリンゴ』(石川拓治)

他ジャンルの本を読んでいると、教育本以上に、教育に役立つ本があります。

今回はツッコミどころはなく、賞賛しかないです。

「育てるのではなく、手助けするだけ」

『奇跡のリンゴ』で有名な、木村秋則さんの言葉です。
なんて謙虚でいい言葉でしょう。

無謀とも言われた無農薬・無肥料でのリンゴ栽培に挑戦し続けて、ついにそれを実現した方です。

農薬を使わずに、害虫や雑草と戦いますが、リンゴの無農薬栽培

もっとみる
#8 『金持ち父さんの子どもはみんな天才』 ロバート・キヨサキ

#8 『金持ち父さんの子どもはみんな天才』 ロバート・キヨサキ

社会に出てから「それを学校で教えてくれよ!」って思った筆頭は「お金」についてではないですか?

誰も教えてくれないけど、お金のことって、知っていれば得をするけれど、知らないといつの間にか損をしていることがとても多いです。

最近は、高校の家庭科で金融教育が必修化されました。とてもいいことだと思うけれど、お願いだから、楽しく、興味を持つような導入をしていただきたいと切に願います。

それでも、学校に

もっとみる
#7 『一流の育て方』ムーギー・キム ミセス・パンプキン

#7 『一流の育て方』ムーギー・キム ミセス・パンプキン

よく、「本は読むだけでなく、読んで実践しないと意味がない」と言われます。確かにな、と思うものの、読んだら忘れてしまうのも事実で・・・

子育て本、勉強本、中学受験本なども多数あります。でも、個別具体的すぎる事例の話で役立たなかったり、一般論すぎてやっぱり役立ったなかったりすることが少なくないです。

「親の教科書」として、学力だけでなく、自主性や習慣、自制心などの非認知能力の重要性に至るまで、網羅

もっとみる
#6 『数学に感動する頭をつくる』 栗田哲也

#6 『数学に感動する頭をつくる』 栗田哲也

すっごくいい本なのに、タイトルで損しているなぁという本。

タイトルだけ見たら、
「数学をどう学ぶか」
が書かれているように見えます。数学に感動できるというのは、ちょっとマニアックな印象を与えてしまい、敷居が高くなってしまいます。

内容は、本質的な教育の話で、数学に限った話だけではない。第一、冒頭で「数学力なんてものはこの世にはない」と断じていますし。

この本がいいなと思うのは、大きな言葉を分

もっとみる
#5 『勇者たちの中学受験』 おおたとしまさ

#5 『勇者たちの中学受験』 おおたとしまさ

正直、この著者のどの本を読んでも、著者自身の考えにはあまり賛同できない。中学受験に対するスタンスにしても、教育に対するスタンスにしても。

それでも、今までなかったような企画で取材して本にしてくれているので、毎回興味を引かれる。そして、取材対象の人たちの話には有意義な内容が少なくない。

主観は少なめでいいので、そういう情報を発信してほしいと思う。

この本は、実際に中学受験を終えた親を取材し、実

もっとみる
#4 『てん』 ピーターレイノルズ

#4 『てん』 ピーターレイノルズ

グダグダな子にどう対応するか

絵を描く時間に、ぐだぐだしていたり、ふざけていたりして、絵を描かずに時間が終わってしまった場合。そのクラスの先生は何というか?

ふつうの学校の先生だったら、きっと
「早く描かなきゃダメでしょ」
「なんで描かなかったの?」
「なんでもいいから描いてみなさい」
って感じの対応になる。

でも、この本の主人公ワシテの「せんせい」はちょっとちがう。

と。何も描いていない

もっとみる
#3 『SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』 佐藤智

#3 『SAPIXだから知っている頭のいい子が家でやっていること』 佐藤智

ちょうどSAPIXの入試分析会にも行ってきたので、併せてツッコんでみる。

塾はコーチか?

入試分析会は、とてもおもしろかった。やはり中学受験界のトップを走るだけあって、とてつもなく研究しているだろうことがよくわかる。親としても仕事としても勉強になる。

・・・が、子どものことはあまり知らないのだろうな、と感じた。

入試分析会の中で、中学受験をスポーツに例えていた。生徒は選手で、塾はコーチで、

もっとみる
#2  『モチベーション3.0』ダニエル・ピンク

#2 『モチベーション3.0』ダニエル・ピンク

「内発的動機づけ」
この言葉に初めて出会ったのがいつかは、忘れてしまいました。でも、仕事の中で強烈に意識し始めた時期は覚えています。
それは、『モチベーション3.0』を買ったとき。ハードカバーの初版が2010年7月6日だから、その頃のこと。

参考文献として挙げられている本を、片っ端から読んでいくと、より内発的動機について学ぶことができるという意味でも、バイブルみたいな本。

従来の動機づけとは

もっとみる
#1  『教育力』齋藤孝

#1 『教育力』齋藤孝

本はただ読むだけじゃ、身にならないと言われます。
でも実戦までには壁があります。だから、せめてはっきり同意したり、反論したり、ツッコミながら読んでいます。

結構前の本だけど、今でもいい本だと思います。

子どもと先生の関係性

先生も学び続け、成長し続けないといけない。親も。
教える人、指導する人自身が、日々成長しようと努力している、もがいている、その姿が学びに足るという信頼を生みます。
先生と

もっとみる