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#10 中学受験指導をしている人間が、親目線でおすすめする中学受験本

中学受験生を指導させていただいています。
一方で、中学受験生の親もしております。
両方の目線で中学受験関連の書籍は多読していますが、どちらかというと親目線でツッコミを入れます。

作品としてどうこうという評価ではなく、中学受験に役立つ度合いという一点でコメントしています。


ノンフィクション部門

これは、最難関校への「伴走」の仕方を参考にしたい親には、ほとんど参考にならないです。
「伴走」ではなく、「送り迎え」をして寄り添う父の心情。

X(旧Twitter)で人気だったらしいが、なぜ書籍化までされたのか不思議。眼鏡のスペアを用意しておくという一点だけ役立ちました。

ノンフィクションでは、『下剋上受験』を越える本はこれまでもこれからも出ないのではないでしょうか。

「親塾」がにわかに流行っていますが、それがどんなものかが把握できるという実用性が高い上に、めちゃくちゃ面白い。ドラマ化されたのも頷けます。
でも、誰もここまでできないし、する必要もないと思います。だからこそ、貴重な体験記。

ドラマもたまにTVerで再放送しています。
息子と娘に見せたら、大爆笑しながらいっき見していました。

フィクション部門

4人の子どもの視点から受験を描いているのがこちら。

子ども向けだからか、大人が楽しむことは難しいし、実用的でもない。受験中の子どもが読む本としても、ちょっと浅いので国語力養成にもならないと思います。

一方、サッカー少年が小6から筑駒(作中では東駒)を目指すこちらの作品はおすすめです。

子ども、母親、塾の講師の目線から描かれる物語。
物語としても面白く、心情の移り変わりがわかりやすく、登場人物もキャラがたっていて魅力的です。中学入試問題でも使われまくっています。

読んですぐ息子に渡しました。
たぶんやる気と勇気が出ると思ったので。
即読みはじめ、1日2日で読み終わっていました。
自分ごとに近い話は興味が湧くんでしょうね。

娘も、しばらくして手に取り、すぐ読了。
それだけ、小学生が読んでも面白い内容ということでしょう。

国語指導本部門

これは久しぶりにダメだと思った本。

そもそも、筆者が「難関校に受からせている」という文脈で書かれていることが、控えめに言って好きじゃない。
なのに、実績見ると別に特筆するほどではない。

国語単科の塾で、「受からせた」とか言えるわけがない。
がんばったのは生徒で、一番フォローしたのは親。
メインの塾にも通っているわけだし、他の教科もある。

「俺が受からせた」
みたいなのは、烏滸がましすぎます。

内容はふつうなので、10日間で読解力は上がりません。
感覚としては、進学塾に行く・・・つまり中学受験の勉強をし始める前まで終わらせておくような内容です。

この人の考え方がよいでしょう。

ちょっと古いけど。
型はあるが、ハメすぎるわけでもない。

同じ著者の最新刊として、「塾技」の国語が出ています。

無理やり100に分解した感はあるけど、網羅されているとも言えます。

とはいえ、この本を使いこなすのはかなり至難。
仮に使いこなせたとして、上がるのかな?

塾選び部門

ほかにあるかな?
これがわかりやすく、とりあえず読むと良いでしょう。中学受験における進学塾の全貌が見えます。

ただ、実際に息子が通っている塾の説明を読んでいると、思い当たる部分とそうでない部分があります。

取材している以上、書けないこともあるだろうし、マイナス面を書くことも難しいのでしょう。
本からは塾の実態が見えにくいということです。

実際にその塾に通っている親で、客観的な事実と主観的な意見を分けて話せる人に話を聞くのが一番だと思います。

人に塾情報を聞いている段階で、小4スタート時点で入塾できないから難しいんですけど。
まあ、その時期から入塾しなくてもいい派なので。

中学受験概要部門

これは正直いっぱいありすぎて難しい。
知識がある今となっては、まったく知識ゼロの人にとって、何がためになるのかは、本質的にわかりません。

ただ、中学受験の状況も毎年変わっているから、新しいものがいいとは思います。

そういう意味で、とりあえずはこれを。

矢野耕平さんの本は、読んでおくといいとも思っています。

体験記部門

最近、中学受験の負の側面にスポットを当て続けている著者の本。
匿名なのに、確か中学校名も塾名も伏せてあったので、失敗談だったとしてもほとんど役に立ちませんでした。
すでに手放してしまったので、忘れている部分がありますが。

親の関わり方から学ぶにしても、どんなセグメントなのかがわからないと学べません。

もっとポジティブな事例の方が知りたいんだが・・・
と思っていたら、こっちは面白かった。

結構救われるし、プラスに変えるヒントが得られるはず。


まとめていくと、算数指導部門が作れなかった。
算数って問題集とか解説集みたいのはあるけれど、よくも悪くもこれというものがない。

「中学受験は算数で決まる」とか言うのにね。

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