MBA Essentials 2021<総合コース>春 第6回 アフターコロナ時代の日本企業イノベーション創出への示唆
みなさ~ん、今ビッグチャンスらしいですよ!でも、ラストチャンスなんですって!どうしましょう!?
最近メディアへの露出も多い入山先生の回です。
「人はしゃべらないと理解しない」。と、ディスカッションの時間を多くとっていただく予定でした。
結局は、先生熱くなっちゃってディスカッションはだいぶ少なかったです。
でも楽しかったのでヨシです。何に熱くなったか気になりませんか?
一緒に学びましょう!
第6回 概要
イノベーションと組織学習 ~世界の経営学の視点から~
入山 章栄 先生
日本企業に求められるイノベーション・組織学習の能力向上のために求められる施策について、世界の経営学の知見から議論します。
※本記事のタイトルは、講義資料タイトルにあわせました。
先生の強み
先生の現在の活動は、
①②のツッコミどころはおいとくとして、③では大手/中小/ベンチャー関わらず経営者と話(相談等)をしているそうです。
ただ学者としての話をするのではなく、一緒に悩まれているのだとか。このつながりが先生の面白いポイントかなと思います。
正解や答えはない!
コロナ、VUCA、こんな変化の激しい現実を目の当たりしても「正解を求める」企業がまだ多いそうです。だけど、
正解はないし、答えもない
のです。先生もしつこく言っていました。
先生の著書にも正解が書いてあるわけではありません。本が与えてくれるのは、1つの「切り口」です。
変化の時代に求められる経営
とはいえ、「意思決定」はしないといけません。
正解も答えもないのにどうしたらいいのか?
腹をくくる
と先生は言います。今、人事が悩んでいるのが、まさにここです。
「これができる経営者候補がいない」のです。
答えがなくても、腹をくくる。腹をくくったら「やりぬく」「撤退する」。そういう人がいないし、育ててもいない。
これから「すぐに」起こる大崩壊&大変革!?
コロナでいろんなことが変わりました。でもまだまだなんです。
数年の間に大変革が起こる
あのトヨタでさえも、経営層は「20年後にトヨタはないかも」という危機感であたっているそうです。
✅日本の製薬会社がヤバい!?
コロナの対応(ワクチンの周回遅れ)で弱さが露呈してしまいましたね。
✅Zoomに自動翻訳!?
「すぐにくる」。そういう意識でいた方がよさそうです。
キーワードは、「デジタル破壊」
✅サービス業/メディアが大崩壊!?
無料で便利な自動翻訳が出てきたら、「言語で守られている」分野は大崩壊します。
✅大学も崩壊!?
どこからでも、言語の壁もなく、つながる世界。「どこにいるか?」は問題ではなくなります。「日本の大学に行く」必要もなくなります。
少しでも「危機感」を感じていただけたでしょうか?
日本のマーケット感
もう一つ日本の弱さとして、このマーケット感の話がありました。
国内の1億のマーケットだけで日本が世界で勝てる時代がありました。これは過去の話です。「終わっている」のです。
日本にGAFAがいないのは、単純な話で、マーケットの差です。
GAFAが見ているのは世界です。国という単位ではありません。
最近インドネシア等の東南アジアの企業が熱いと聞きますが、彼らも東南アジアをいう面で見ているそうです。
少なくとも3~4億以上を見ていないといけませんが、日本にそういう企業は少ないようです。
変化とイノベーションが勝負を分ける
なんで今まで変化しなかったのか?
2つあります。
①危機感の欠如
②経路依存性
①は説明済みですね。今後の状況にも注意です。
②の「経路依存性」とは何でしょうか?
経路依存性
「人材」「働き方」「評価制度」「採用」「雇用」はガッチリ噛み合わさって動いています。これを経路依存性というそうです。
「同質人材」を「ダイバーシティ」に変更するとして、この歯車だけを変更したところで全体がうまくまわるでしょうか?
これが今の日本企業がやろうとしていることです。だからうまくいかないのです。
→「全体(全部の歯車)」を変えなくてはいけない
今、ビッグチャンスでラストチャンス!
「ダイバーシティ」「評価制度の見直し」「働き方改革」「ジョブ型雇用」「新卒一括採用の終焉」が今、全部言われていることです。
今まさに「全体を変えるチャンス」なのです。奇跡的にピースがそろったのです。
だけど、ラストチャンスです。
ここを逃すとどうなってしまうのでしょうか?
変化しない企業 → 崩壊
そうならないために、具体的にどう変わっていけばよいのでしょうか?
役員の兼任
変わっていくための1つとして、役員の話がありました。先生は、企業の悩みを直接聞かれているので問題点がよく見えているようです。
日本は役員が多すぎ
↓
役員会でにらみ合い
↓
決まらない
この解決として「役員の兼任」を提案されています。兼任することで、にらみ合いも発生せず「決められる」会社になります。
おすすめは「デジタル役員と人事役員の兼任」だそうです。世の中に数少ない優秀なデジタル人材を獲得しないと生きていけません。
両利きの経営
変わるためにはイノベーションへと舵をきる必要があります。イノベーションのためには「知の深化」→「知の探索」へ傾きを変えないといけません。
探索し「儲かる」と感じたら深化で深掘りする。
これが両利きの経営です。が、実際は探索をせずに深化の方へ傾きがちです。
短期的には深化のみもよいのですが、長期的には探索をしておく必要があります。これを怠ると何度も出てくる「崩壊」につながってしまいます。
「知の探索」とは
「遠くの知」を持ってくる。これが「知の探索」です。
もちろん、持ってくるだけではいけません。組み合わせて新しい知をつくる。それがイノベーションにつながるのです。
どうやったら知の探索ができるか?
「個人」「戦略」「組織」「人脈」の4つのレベルで「知の探索」を進めます。
✅①「個人レベル」の知の探索
PingというアップルのSNSをご存じですか?
スティーブ・ジョブズ…成功ばかりに目がいきがちですが、実は「大失敗王」です。そう、失敗は不可欠なのです。
どれだけ失敗を受け入れられるか?ただの精神論ではダメで「評価制度」を変えなくてはいけません。
キーワードとして「ノーレーティング(成功/失敗の紋切り型をやめる)」「OKR(Objectives and Key Results)」が話に出ました。
そうは言っても、「失敗は怖い」「忙しい」。「知の探索」なんてやってられない!のが現実かもしれません。
だから「働き方改革」がすごく重要!
副業/複業を解禁する企業も多くみられます。これも①個人レベルや後述の④人脈レベルの知の探索につながります。
✅②「戦略レベル」の知の探索
知見(新しい知を生み出すためのよい知)をもっているところと本気で組む必要があります。
キーワードとして「オープン・イノベーション」「CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)」が話に出ました。
これらは予算を削られがちですが、それは長期的にはNGなのです。
✅③「組織レベル」の知の探索
同質の人材ではなく「バラバラの人が働いているのがよい」と言います。バラバラの知を組み合わせてイノベーションを起こします。
一方で、「イントラパーソナル・ダイバーシティ」という言葉があります。一人の中でいろんな知見がある人、ひとりダイバーシティです。
面白い会社は人事が面白い。
と先生は言っていました。バラバラの人、ひとりダイバーシティな人を獲得するために、具体的にはどんな人事であればよいのでしょう。
✅④「人脈レベル」の知の探索
強い結びつきの人脈、大事ですね!
…本当ですか?
実は「弱い結びつきの人脈の方がよい」ことがわかっているのです。ルートに無駄がなく、ネットワークが伸びやすいのです。※詳細は先生の著書にて
アダム・グラントの『GIVE & TAKE』(与える人が成功する話)にも弱いつながりがよいという話がありました。
グローバル企業のイノベーションを起こすしくみ
経路依存性の歯車の絵でも説明したように、日本はイノベーションを起こすしくみとは真逆になっています。
逆に言うと、今、全部変えてしまえばイノベーションを起こす人材育成のしくみになれるわけです。
最後に、経営理論の視点から「イノベーションを起こすしくみ」を見てみましょう。
もっとも大事な経営理論
数ある経営理論の中で入山先生がもっとも大事だと言う経営理論が、①両利きの理論(経営)、②センスメイキング理論、③SECIモデルです。
この①~③がくるくるまわって循環している会社が強いと先生は言います。
②センスメイキング理論では、10/20/30年先の遠い未来への社員の腹落ちが大事です。腹落ちさせるには「言葉」になっていなくてはいけない。
だから、③SECIモデルで暗黙知の形式知化をするのです。知的コンバットとは個々人の暗黙知のぶつけ合いです。これが共感を生みます。
3理論の共通項は「全部人間じゃないとできない」ということ
これ以外はデジタル(RPA、AI)で代替できます。この「人間じゃないとできないこと」にみんなを集中させることが大事です。それがDXなのです。
まとめ
変わるなら今!ビッグチャンスでありラストチャンスでもありました。
個人/戦略/組織/人脈のレベルで「知の探索」をしましょう!
これを読まれているあなた!まさに知の探索ですね。👍
「両利きの理論」「センスメイキング理論」「SECIモデル」をぐるぐる回しましょう!
デジタルをつかって「人間じゃないとできないこと」にみんなを集中させる。それがDXでした。
世界は正解がないから楽しい
本日の学びはここまで。また来てください。👋
先生が10回以上「詳しくは本を読んで」と言っていた本がこちらの
『世界標準の経営理論』です。
『両利きの経営』も紹介しておきます。
この記事を書いている「高橋ひろあき」とは?
最後までお読みいただき、本当にありがとうございます! 楽しく、読みやすいnoteになるように今後もがんばっていきます。