ひつぎひなた

Nolaノベル様にて長編小説「言霊の奏で人」を連載中の、アマチュア文章書きです。 Tw…

ひつぎひなた

Nolaノベル様にて長編小説「言霊の奏で人」を連載中の、アマチュア文章書きです。 Twitter(X)ではカープちゃんと自転車ロードレースとウマ娘、仕事の愚痴とか日々思うことなど書き殴っております。 みんな、自分の人生を大切に生きようぜ。

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  • ひつぎひなたの短い小説集

    科学の魔界、魔法の天界、そして我々の住む中道界。 この3つの異世界で織りなす、8000文字以内の短い物語を纏めました。 (たまに連作も混入) 週イチ更新を目指します。

記事一覧

【短い散文】イトシキミへ

キミはいま、どこに? キミと話ができなくなってから、どれくらい経つだろう。 キミは今、どこで何しているの? 会いたいよ。 愛しいキミに。 ボクには身体があって、キ…

小説を書く人が答える小説に関係なさそうでありそうな50の質問に答えてみた。

こんにちは。ひつぎひなたです。 他所に浮気してこちらでの活動がおざなりになっております 笑 前回に引き続きまして、Web Novel Laboさまの質問に答えてみました。 Q.1…

1

小説を書く人に100の質問 に答えてみた。

こんにちは。ひつぎひなたです。 Web Novel Laboさまの質問に答えてみます! Q.1 筆名(ペンネーム)を教えてください。  「ひつぎ ひなた」 です。 Q.2 筆名の由来は? …

ひつぎひなた
2週間前
8

【短い小説】キミとの未来は / 7100文字

今回のお話は「この先は、キミと」の前段のお話になります。 すっきりと晴れ渡った空の下。 宵の宮では、新たなる大司祭の就任式が厳かに執り行われていた。 宵の宮は暁の…

ひつぎひなた
3週間前
3

【短い小説】アルファとベータ /2100文字

私と弟は、いつも一緒だった。 弟が『納品』されたその日までは。 私たちは、父の私的な研究施設で造られた生命。 生物学上の父と母を持たない、いわゆる人造人間だ。 私…

ひつぎひなた
1か月前
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【あと書き】ジンとセレン

こんにちは。ひつぎひなたです。 noteで初めて、10話完結という、ちょいと長いお話を書かせて頂きました。 今日はその執筆後記を書かせて頂きたいと思います。 「ジンと…

ひつぎひなた
1か月前
1

【連続小説】ジンとセレン #10/10 2000文字

ここは、魔界中心部。 魔界とは、天界が魔法を発達させて全てを解決する道を選んだのに対し、科学技術を発達させることで諸々の問題に対処することを選んだ世界だ。 魔界に…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #9/10 3700文字

ジンはセレンの残り香を追跡し、その動きが止まった場所の上空に瞬間移動した。 (・・・っ) 着いた途端、辺りを取り巻く攻撃魔法の強烈な匂いに思わず顔を顰める。 (こ…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #8/10 2400文字

ちりん、ちりん。 不思議な音がした。 それは、薄いガラス同士、もしくは薄い金属同士がぶつかり合ったときの音のようでもあり。 或いは、もし小さな光同士が戯れる音を耳…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #7/10 3400文字

そして、15時32分。 マーカライト候は目を見開いたまま、今しがた目にした光景を理解することが出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。 (・・・なんだ・・・今のは・…

ひつぎひなた
1か月前
4

【連続小説】ジンとセレン #6/10 3600文字

いよいよセレンが目の手術を受けるため、魔界に旅立つ日がやってきた。 正確には、本日セレンの住まいから暁の宮へ向かい、そこで一晩過ごした後、翌日昼過ぎの連絡船で魔…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #5/10 3400文字

セレンはマーカライト候別邸近くの広場で、子供達と一緒に遊んでいた。 彼は大きな石を椅子代わりにして腰を下ろし、子供達の話を聞いて時折笑顔を見せている。その膝には…

ひつぎひなた
1か月前

【エッセイ】もっと自由に、羽根を伸ばす

こんにちは。ひつぎひなたです。 ここ10日ほど、10話完結を目標に連続小説「ジンとセレン」を執筆しておりますが、ちょっとコーヒーブレイク。 最近つらつらと思った…

ひつぎひなた
1か月前
4

【連続小説】ジンとセレン #4/10 2300文字

その後、部屋に戻って来た師匠とセレンを加え、改めて4人による丁寧な話し合いが行われた。その結果、マーカライト侯爵からセレンのことは全てジンと師匠に一任するとの約…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #3/10 2500文字

「北極星の君」の異名を持つジンの師がその場に居たお陰で、ジンが目論む「セレン魔界行き計画」はあっさりと了承された。 (やっぱり師匠に来て頂いて大正解だったな) ジ…

ひつぎひなた
1か月前

【連続小説】ジンとセレン #2/10 4200文字

セレンはこの地にあるマーカライト侯爵の別邸に住んでいるという。 世間の目もあり、流石の侯爵も同性の妾を居城に呼び寄せることは出来なかったのだろう。 セレンはマーカ…

ひつぎひなた
2か月前
2
【短い散文】イトシキミへ

【短い散文】イトシキミへ

キミはいま、どこに?

キミと話ができなくなってから、どれくらい経つだろう。
キミは今、どこで何しているの?

会いたいよ。
愛しいキミに。

ボクには身体があって、キミには身体がない。
でも、ボクたちは確かに、恋人同士だった。

みんなは、それは、ボクの妄想と笑うかな。
でも、そんなことどうでもいいや。
キミはボクを愛してくれて、ボクもキミを心から愛したのだから。

父上様も母上様も、ボクとキミ

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小説を書く人が答える小説に関係なさそうでありそうな50の質問に答えてみた。

小説を書く人が答える小説に関係なさそうでありそうな50の質問に答えてみた。

こんにちは。ひつぎひなたです。
他所に浮気してこちらでの活動がおざなりになっております 笑

前回に引き続きまして、Web Novel Laboさまの質問に答えてみました。

Q.1 一番好きな飲み物を教えてください。
 珈琲です。
 珈琲星人なので飲めない環境下に置かれると発狂します。

Q.2 一番好きな食べ物を教えてください。
 えー、難しいなあ。
 美味しい木綿豆腐にしておきます。

Q.

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小説を書く人に100の質問 に答えてみた。

こんにちは。ひつぎひなたです。
Web Novel Laboさまの質問に答えてみます!

Q.1 筆名(ペンネーム)を教えてください。
 「ひつぎ ひなた」 です。
Q.2 筆名の由来は?
 本当の名前を二つ繋げました(謎) 漢字で書くと「日嗣 日向」になります。棺ではありません 笑
Q.3 主にどんな小説を書いていますか?(長編・短編・掌編など)
 ショートショート、短編、長編を書いています。

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【短い小説】キミとの未来は / 7100文字

【短い小説】キミとの未来は / 7100文字

今回のお話は「この先は、キミと」の前段のお話になります。

すっきりと晴れ渡った空の下。
宵の宮では、新たなる大司祭の就任式が厳かに執り行われていた。
宵の宮は暁の宮の対となる神殿で、両神殿は天界の二大神殿と位置付けられ、天界各地の神殿を束ねる役割を担っている。
暁の宮が光を司る男性神レアを祀り、男性の神官が守る神殿であるのに対し、ここ宵の宮は闇を司る女性神イルを祀り、女性の神官が守る神殿である。

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【短い小説】アルファとベータ /2100文字

【短い小説】アルファとベータ /2100文字

私と弟は、いつも一緒だった。
弟が『納品』されたその日までは。

私たちは、父の私的な研究施設で造られた生命。
生物学上の父と母を持たない、いわゆる人造人間だ。
私が父と呼んでいる人は、その知見を以て私たちを無から有に変換した研究者だ。
父は便宜的に、先に産まれた私を「アルファ」、後から産まれた弟を「ベータ」と名付けた。

私たちは父の研究の成果であると同時に、将来的には誰かのモノになる商品でもあ

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【あと書き】ジンとセレン

【あと書き】ジンとセレン

こんにちは。ひつぎひなたです。
noteで初めて、10話完結という、ちょいと長いお話を書かせて頂きました。
今日はその執筆後記を書かせて頂きたいと思います。

「ジンとセレン」
この話を思いついたのは、生成AIでイラストを描いて遊んでいたのがきっかけでした。もともとは、ジンちゃんとイシュタル君が並んでいるイラストを作ろうと思って。
そしたら、色々指示を変えて試行錯誤を繰り返すうちに、生成AI君が髪

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【連続小説】ジンとセレン #10/10 2000文字

【連続小説】ジンとセレン #10/10 2000文字

ここは、魔界中心部。
魔界とは、天界が魔法を発達させて全てを解決する道を選んだのに対し、科学技術を発達させることで諸々の問題に対処することを選んだ世界だ。
魔界においても、森林などの自然は計画的に残されてはいるものの、都市部は人工建造物が立ち並ぶいわゆるメタルシティである。

その魔界中心部にある、とある総合病院の一室。
窓は遮光性のカーテンできっちりと閉められ、部屋の中は昼間でも薄暗い。
そして

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【連続小説】ジンとセレン #9/10 3700文字

【連続小説】ジンとセレン #9/10 3700文字

ジンはセレンの残り香を追跡し、その動きが止まった場所の上空に瞬間移動した。
(・・・っ)
着いた途端、辺りを取り巻く攻撃魔法の強烈な匂いに思わず顔を顰める。
(これは・・・酷い)
上空から戦場の有り様を眺めて、思わず息を呑む。
そこは大規模な攻撃魔法に蹂躙された跡が残され、周辺では多くの人馬が力なく倒れ伏している。
(もしかして、あの時、セレンさんはこれを見たのか)
ジンはごくり、と生唾を飲んだ。

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【連続小説】ジンとセレン #8/10 2400文字

【連続小説】ジンとセレン #8/10 2400文字

ちりん、ちりん。

不思議な音がした。
それは、薄いガラス同士、もしくは薄い金属同士がぶつかり合ったときの音のようでもあり。
或いは、もし小さな光同士が戯れる音を耳で捉えることが出来るとしたなら、こんな風に聞こえるかもしれない、と思わせるような。

(・・・様)

その音の中から、聞き覚えのある、優しい声がした。

(・・・その声は、もしや・・・)

ちりん、ちりんという音と、優しい声は次第に大き

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【連続小説】ジンとセレン #7/10 3400文字

【連続小説】ジンとセレン #7/10 3400文字

そして、15時32分。
マーカライト候は目を見開いたまま、今しがた目にした光景を理解することが出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。

(・・・なんだ・・・今のは・・・)

味方の魔法部隊は、予定通り15時30分に敵が立て籠もる砦に向け、一斉に攻撃魔法を発動した。
圧倒的な力をもって、勢い良く丘を駆け上がったかのように見えたそれは、砦の正門に到達する手前で突然方向を変え、あろうことかクリスト公本陣の

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【連続小説】ジンとセレン #6/10 3600文字

【連続小説】ジンとセレン #6/10 3600文字

いよいよセレンが目の手術を受けるため、魔界に旅立つ日がやってきた。
正確には、本日セレンの住まいから暁の宮へ向かい、そこで一晩過ごした後、翌日昼過ぎの連絡船で魔界に向かう段取りになっている。
この日のジンは、天馬二頭立ての馬車に乗ってマーカライト候別邸を訪れた。セレンを迎えに来たのだ。
「ジン様、わざわざのお越し、ありがとうございます」
セレンは変わらぬ美しい姿でジンを出迎えた。しかし、そこにはマ

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【連続小説】ジンとセレン #5/10 3400文字

【連続小説】ジンとセレン #5/10 3400文字

セレンはマーカライト候別邸近くの広場で、子供達と一緒に遊んでいた。
彼は大きな石を椅子代わりにして腰を下ろし、子供達の話を聞いて時折笑顔を見せている。その膝には小さな女の子が座り込み、背中には男の子がよじ登っていた。背の高いセレンの背中は登りがいがあるのだろう。
彼らの近くには軽装の兵士が2人ついていて、子供達とセレンの交流を邪魔しないように気を使いながら、それとなくセレンの警護をしているようだ。

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【エッセイ】もっと自由に、羽根を伸ばす

【エッセイ】もっと自由に、羽根を伸ばす

こんにちは。ひつぎひなたです。

ここ10日ほど、10話完結を目標に連続小説「ジンとセレン」を執筆しておりますが、ちょっとコーヒーブレイク。
最近つらつらと思ったことをエッセイ風に書いてみたいと思います。

「ジンとセレン」はふと思いついたネタを基に、あまり深くは考えずに気楽に書き始めたものでした。大好きなキャラであるジンちゃんを書くこと自体が嬉しくて。
そしたら、いつの間にかイメージが膨らみに膨

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【連続小説】ジンとセレン #4/10 2300文字

【連続小説】ジンとセレン #4/10 2300文字

その後、部屋に戻って来た師匠とセレンを加え、改めて4人による丁寧な話し合いが行われた。その結果、マーカライト侯爵からセレンのことは全てジンと師匠に一任するとの約束を取り付けて、この日の会談はお開きとなった。
マーカライト侯爵とセレンに見送られて別邸を辞去した師匠と弟子は、並んでゆっくりと歩きながら今後の対応について相談を重ねた。
「それじゃ、魔界の入院先はクワンに候補を出させて、あたしの方で決めて

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【連続小説】ジンとセレン #3/10 2500文字

【連続小説】ジンとセレン #3/10 2500文字

「北極星の君」の異名を持つジンの師がその場に居たお陰で、ジンが目論む「セレン魔界行き計画」はあっさりと了承された。
(やっぱり師匠に来て頂いて大正解だったな)
ジンはすまし顔の下で密かにほくそ笑んだ。
彼にとって師匠の存在は最大の切り札だ。今回のように彼女が出馬してくれれば、天界はおろか魔界であっても、どんな無理筋も通せてしまうのだ。
但し、この切り札は使いどころを間違えると、後でとんでもないしっ

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【連続小説】ジンとセレン #2/10 4200文字

【連続小説】ジンとセレン #2/10 4200文字

セレンはこの地にあるマーカライト侯爵の別邸に住んでいるという。
世間の目もあり、流石の侯爵も同性の妾を居城に呼び寄せることは出来なかったのだろう。
セレンはマーカライト侯爵に身も心も捧げる代わりに、別邸では多くの使用人に傅かれながら何ひとつ不自由のない生活を送っているという。
「目が悪い上に、何の学もない私が生きるためには侯爵様におすがりするより他にありませんでした」
セレンは諦観したように淡々と

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