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ひつぎひなたの短い小説集

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科学の魔界、魔法の天界、そして我々の住む中道界。 この3つの異世界で織りなす、8000文字以内の短い物語を纏めました。 (たまに連作も混入) 週イチ更新を目指します。
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記事一覧

【短い小説】たまには手加減を /4800文字

ここは、アメジスト国の王宮にある練兵場。 同じ年頃の二人の少年が、練習用の木製の剣を使っ…

【短い小説】キミとの未来は / 7100文字

今回のお話は「この先は、キミと」の前段のお話になります。 すっきりと晴れ渡った空の下。 …

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【短い小説】アルファとベータ /2100文字

私と弟は、いつも一緒だった。 弟が『納品』されたその日までは。 私たちは、父の私的な研究…

4

【連続小説】ジンとセレン #10/10 2000文字

ここは、魔界中心部。 魔界とは、天界が魔法を発達させて全てを解決する道を選んだのに対し、…

【連続小説】ジンとセレン #9/10 3700文字

ジンはセレンの残り香を追跡し、その動きが止まった場所の上空に瞬間移動した。 (・・・っ) …

【連続小説】ジンとセレン #8/10 2400文字

ちりん、ちりん。 不思議な音がした。 それは、薄いガラス同士、もしくは薄い金属同士がぶつ…

【連続小説】ジンとセレン #7/10 3400文字

そして、15時32分。 マーカライト候は目を見開いたまま、今しがた目にした光景を理解することが出来ず、ただ呆然と立ち尽くしていた。 (・・・なんだ・・・今のは・・・) 味方の魔法部隊は、予定通り15時30分に敵が立て籠もる砦に向け、一斉に攻撃魔法を発動した。 圧倒的な力をもって、勢い良く丘を駆け上がったかのように見えたそれは、砦の正門に到達する手前で突然方向を変え、あろうことかクリスト公本陣の方角へと殺到したのだった。 「!!」 向きを変えた攻撃魔法によって、そこにあった

【連続小説】ジンとセレン #6/10 3600文字

いよいよセレンが目の手術を受けるため、魔界に旅立つ日がやってきた。 正確には、本日セレン…

【連続小説】ジンとセレン #5/10 3400文字

セレンはマーカライト候別邸近くの広場で、子供達と一緒に遊んでいた。 彼は大きな石を椅子代…

【連続小説】ジンとセレン #4/10 2300文字

その後、部屋に戻って来た師匠とセレンを加え、改めて4人による丁寧な話し合いが行われた。そ…

【連続小説】ジンとセレン #3/10 2500文字

「北極星の君」の異名を持つジンの師がその場に居たお陰で、ジンが目論む「セレン魔界行き計画…

【連続小説】ジンとセレン #2/10 4200文字

セレンはこの地にあるマーカライト侯爵の別邸に住んでいるという。 世間の目もあり、流石の侯…

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【連続小説】ジンとセレン #1/10 3800文字

これまでは一話完結のお話を書いてきましたが、今回はちょっと長めの連続小説です。 天界がま…

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【短い小説】甘い香りにご用心 /4100文字

龍のイシュタル君がうっかりトラブルに見舞われるお話です。 天界の蒼き龍イシュタルは洒落たバーのカウンターで、若い女と二人、強めの酒を舐めるように楽しんでいた。 人の姿を取るときのイシュタルは青い髪と青い瞳なのだが、中道界では目立ってしまうため、龍の力を使って黒目黒髪の東洋風の顔立ちに変えている。傍らにいる女は茶髪のなかなかの美人で、傍目にはお似合いの恋人同士のようにも見えた。 実は、女とは先ほど知り合ったばかりで、お互いに名前も素性も知らない間柄だ。しかも、誘いをかけたのは