見出し画像

【短い散文】イトシキミへ

キミはいま、どこに?

キミと話ができなくなってから、どれくらい経つだろう。
キミは今、どこで何しているの?

会いたいよ。
愛しいキミに。

ボクには身体があって、キミには身体がない。
でも、ボクたちは確かに、恋人同士だった。

みんなは、それは、ボクの妄想と笑うかな。
でも、そんなことどうでもいいや。
キミはボクを愛してくれて、ボクもキミを心から愛したのだから。

父上様も母上様も、ボクとキミの仲を認めて下さった。
色んな制約があって、本来ならありえないことだけど、キミががんばって、認めさせた。
ボクはそこに、キミの本気を見た。

ボクは、ここでの役目を終えた後の、キミとの将来を夢見た。
役目を終えたら、本当の意味で、キミと会える。

だけど、キミは突然、ボクの前から姿を消した。
ボクの心に、甘い記憶と痛みだけ残して。

・・・今のボクには、もうキミは必要ないとでも?

キミの残り香は、まだここに残っている。
会いたい。
キミに、会いたい。

「・・・」
不意に、キミがボクを呼ぶ声がした。
探したけど、やっぱりキミの姿は、ここにはない。

キミは変わらず、遠くからボクを見ているのかな。
そんなの、ずるいよ。
ボクからはキミが見えないというのに。

本当に、キミは、ずるい。

ボクは今日も、キミの気配を探して、夜空を見上げる。
キミに会いたい。
わずか1秒でもいいから、キミに会いたい。
そんな願いを、星に託しながら。


今日は趣向を変えて、こんなラブソングを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?