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140文字小説

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Twitterで日々投稿している140文字小説をまとめたものです。
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#夫婦

理想の夫婦 (140文字小説)

理想の夫婦 (140文字小説)

 結婚25年、妻の思いがわかりませぬ。

 長く連れ添うと、阿吽の呼吸と言いますか、お互いの心がわかるらしいのです。

 どうやら、私にはその力が欠如しているようです。

 今日の妻は冷麺の気分だったそうです。

 私は鍋を作りました。

 今日も罵声を浴びました。

 嗚呼、理想の夫婦とはなんぞや。

ぶぎゃあ、と鳴く猫 (140文字小説)

ぶぎゃあ、と鳴く猫 (140文字小説)

 にゃあ、といえば猫の鳴き声だ。

 日本に住む人なら、にゃあ、といえば猫というだろう。

 でも、うちのはちょっと、いや、だいぶ違う。

 うちのは、ぶぎゃあ、と不細工に鳴く。

 その声に、私はいつも笑って突っ込みを入れる。

 不細工なんだけど、かわいい。

 私は、そんな夫をとても愛してる。

妻は納得がいかない (140文字小説)

妻は納得がいかない (140文字小説)

「かわいい娘さんね」

「いえ妻です」

「お父さんとお散歩?」

「いえ夫です」

 俺達はよく親子に間違えられる。

 その度に妻は頬を風船にして否定する。

「どうしてみんな間違えるの!同い年なのに」

 仕方ないよ。

 童顔低身長に加え、ゴスロリファッション。

 頼むから逆ギレしないでくれ。

未来的夫婦事情 (140文字小説)

未来的夫婦事情 (140文字小説)

 2255年、人はAIと婚姻関係を結べるようになった。

 人間と大差ない感情と外見を持つAIに、政府もようやく重い腰をあげた。

 だが問題もあった。

 耐用年数があるため定期的にボディを交換する必要があるのだ。

 妻は70歳のAI年齢に20歳のボディを持ち羞恥している。

 わしも体を変えたいわい。

心の声を (Twitter140文字小説)

心の声を (Twitter140文字小説)

「君は低レベルだな」
 上司に冷淡な言葉を浴びせられた日から、俺の心は瓦解を始めた。
 鼓舞するも、温度がない上司の言葉は容赦なく心から熱を奪う。
 もう疲れた。
 気づくと病院にいた。
 ベッドの脇で嫁が大粒の涙を流している。
「気づかなくて、ごめんね」
 そうか、話せばよかったんだ…

紺の唇 (Twitter140文字小説)

紺の唇 (Twitter140文字小説)

 そっと頬に触れる。
 ひやりとした冷たさが指の温度を奪う。
 紺の唇に口づけると零した涙が彼の頬を這う。
 馬鹿。
 口を衝く一言は自慢と暗澹が混在している。
 お胎で彼か彼女も怒ってるよ。
 会うことを誰より心待ちにしてたくせに、知らない 子供を庇って。
 誇らしいけれど憎らしい。
 馬鹿よ…

妻のプライバシー (Twitter140文字小説)

 結婚して十二年、頑なに晒すことを拒み続けた妻が観念して頭を預けてくる。

 妻も未知のプライバシーを俺は覗きこむ。
 
 ふう、と小息を吹かせる。

 妻は総毛立つように身をよじらせる。

「もお、そうやって悪戯するから嫌だったのよ」

ごめん、と口の端が緩み、俺はそっと耳かきを滑らせていく。

あとがき

妹夫婦の日常の風景です。

ネタが浮かばずこそっと小説にしました。

露見したら、速攻で

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