マガジンのカバー画像

よるの手帳

42
生きるの下手でも、自分を愛そう! そんな想いを込めて、日々の色々なことを雑多に書いていきます。 明日が少し楽しみになれますように。 毎週水曜更新。(だったのですが、現在は不定期更… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

いつかドキドキがわたしを待っている

いつかドキドキがわたしを待っている

「うわあ、懐かしい」

 高速道路のインターチェンジを降りて、一般道に入ったところで、わたしと夫は思わず声をそろえた。

 すこし色あせた看板、ほどよい交通量の道路、趣のある建物。なにより、やわらかな町の雰囲気。

 かつて暮らしていた町が、あまりにも、昔と変わっていない風貌でわたし達を迎えて入れてくれたものだから、嬉しさと懐かしさが込み上げた。

 卒業制作展を見るために、数年ぶりにわたしと夫の

もっとみる
ハイハイレースに行ってみた話

ハイハイレースに行ってみた話

 noteに書きたいことは、実はけっこうたくさんあって、日々すこしずつメモをしているのだけれど、今日、そのメモ群たちを差し置いて何よりもまず言いたいことを見つけてしまった。

 ハイハイレース、おもしろすぎる。



 なんだかんだで娘ももうすぐ2ヶ月半(公開するころには5ヶ月になっていた)。

 おでかけもだいぶ板についたものだから、週末に親子向けのイベントがあると知って、すぐに行きたいと思っ

もっとみる
「むいちゃいました」と言ってみたい

「むいちゃいました」と言ってみたい

 
 朝起きて「あ、栗だな」と思ったので、栗の炊き込みご飯を作ることにした。
 窓を開けると、気持ちの良い秋の風が吹いていた。

 料理を苦手とするわたしが自発的に「料理をしたい」と思うことは滅多にないのだが、ごくたまに湧き上がるような熱に駆られ、いそいそと厨に立つことがある。
 それは、だいたい仕事が落ち着いていて、心に余裕があり、そしておいしそうな食材が家にあるという、この三つの条件が重なった

もっとみる
声の行方

声の行方

 これはもう性分としか言いようがないのだが、わたしは声が小さい。

 今、「え?そうかな?」と感じた人はおそらく、わたしの友達なのだと思う。
 そう、わたしは気心の知れた相手だとそうでもないのだが、初対面や職場の相手だと途端に声が小さくなる“典型的なタイプ”なのだ。
 
 声は自信の表れなのかもしれない。
 気をつけているつもりでも、職場で自信のない事柄を聞かれると無意識に言葉のお尻が小さくなって

もっとみる
「勇気をもらえる」って何ですか?

「勇気をもらえる」って何ですか?

 スポーツ選手の方などがよく言う、「国民の皆様に勇気を与えられるように……」という言葉が理解できなくて、なんならあまり好きではなかった。
 それはもちろんスポーツ選手が悪いのではなく、むしろ国民の傲慢さを感じて、すこし恥ずかしかった。
 国民の勇気の為なんかじゃなくて、自分と自分の大切な人の為だけに頑張るって言っていいんだよ!その方がいいよ!と一人憤慨するわたしを横目に、「またはじまったよ」という

もっとみる
スマホを(湯船に)落としただけなのに〜焼け石に水編〜

スマホを(湯船に)落としただけなのに〜焼け石に水編〜

 数日前、スマートフォンを水没させた。

 まず前提として、わたしは結構なスマホ依存人間である。

 家にいる時も四六時中スマホをそばに置いているし、特に用事もないのにSNSを開いて閉じてを繰り返す。スマホで有意義なことをしているのかと訊かれると、首を縦には振りづらい。
 典型的なタイプだ。

 確かにガラケーだった時代も肌身離さず持っていたが、近頃は目に余る依存ぶりだ。
 お風呂に入る際も浴室に

もっとみる
ストリートビュー帰省をしたら、優しい記憶を見た。

ストリートビュー帰省をしたら、優しい記憶を見た。

 昨年の春に新しい仕事をはじめてから、とにかくストリートビューを使うことが多くなった。
 
 ご存知の人も多いと思うが、ストリートビューとは世界中の道路や風景を360度すべての方向で見渡すことができるパノラマ写真の地図である。今でこそ皆当たり前に使っているけれど、サービス開始当初はかなり話題になったことを記憶している。
 当時、通っていた学校の先生が興奮しながら生徒に力説していた。
 わたしはと言

もっとみる
靴とわたしの物語

靴とわたしの物語



 昔からファッションが好きだけれど、中でも特に靴が好きだ。

 いつから好きなのかは定かではないが、実際わたしは服よりも靴に高いお金を支払う傾向にある。
 気づけば街中で、ネット上で、時にはドラマや映画なんかでも、心踊るデザインの靴を見つけるのが得意だ。

 つやつや光る赤い靴が特に好きだ。ヒールはなくてもあってもいい。昔はヒールのある靴ばかり履いていたけれど、最近はぺたんこの靴ばかり選んで

もっとみる
言葉に生かされる一年

言葉に生かされる一年

 物心ついたときから、周りの大人に「あなたは傷つきやすい」と言われてきた。

 たしかに、幼いころのわたしは他人が吐いた言葉に少しでも悪意が混じっていれば、すぐに傷つき嘆いた。おまけに怒りの反射神経がすこぶる悪かったので、たいていはその場で言い返すことができず、家に帰ってから親に泣きつくことが多かった。

「あなたは傷つきやすい」という言葉は、そんなわたしを哀れに思った周りの大人が「気にしなくてい

もっとみる
わたしにとって、本はお守り

わたしにとって、本はお守り

 2021年11月23日に開催された「文学フリマ東京」というイベントに出店者として参加してから、そろそろ1ヶ月が経とうとしている。

 何ヶ月もかけて準備をしてきても、いざ迎えると当日はたった数時間しかなくて、それでもわたしの心の中にはまた数年間くらいなら余裕で頑張れてしまえそうな圧倒的な充足感をもたらしてくれるのだから不思議だ。

 ここ数週間で気温が一気に下がり、黄金色に染まったばかりのイチョ

もっとみる
名字が変わったら、見える世界もちょっとだけ変わった。

名字が変わったら、見える世界もちょっとだけ変わった。

 つい先日、10月のとても縁起の良い日に結婚した。
 相手はもちろん、あの寿司を作った恋人である。

 すでに数年間同棲をしていたし、同棲をはじめる時に彼とわたしは結婚する年齢をざっくりと決めていたので、それほどサプライズ感はない。生活もほとんど変わらない。
 
 けれど、1つだけ大きな変化があった。
 それが、名字だ。

 なんとなく、わたしが結婚する頃には、夫婦別姓が選択できるようになっている

もっとみる
憧れの友達と絵本を作ったはなし 【前編】

憧れの友達と絵本を作ったはなし 【前編】

この度、前回の記事でも触れた神田瑞季さんとのコラボ作品
絵本「すてきな おとどけもの」が完成しました!
予約注文してくださったみなさま、本当にありがとうございます。
11月1日からわたしの通販でも取り扱いを開始したのでぜひご覧ください。
https://yorunotobari.stores.jp/items/617e87893303785a57c4a6bf

絵本発売を記念して、今回の絵本の制

もっとみる
わたしはわたしが好きなのだ

わたしはわたしが好きなのだ

 会社を辞めて、フリーで仕事をもらったり、作家活動に勤しんだり、今でこそ好き勝手に暮らしているわたしだけれど、考えてみれば、休職騒ぎのときはけっこう大変だった。

 どう大変かというと、恋人には「ずっと正社員として責任を持って働いてほしい」と言われたし、母からは「あなたは病気じゃないのだから、心療内科には行かないで」と泣かれた。

 恋人の言うことも、母の言うことも分かる。
分かるのだが、当時のわ

もっとみる
蝸牛邂逅記

蝸牛邂逅記

※虫の描写があります。苦手な方はご注意ください※

 野菜を洗っていたら、カタツムリがコンニチハしたので、思わず彼(彼女?)を生ゴミの三角コーナーに捨ててしまったらしい。苦笑いを浮かべる恋人に、わたしは思いっきり顔をしかめた。

 わりと嫌だけれど、仕方ない。
 その後、わたしがお皿を洗っていたら、シンクの壁にゴミがくっついていたので、流そうと思い水をかけてもびくともしない。
 よくよく見るとそれ

もっとみる