いつも自由な彼女を閉じ込めておきたくて小さな黒薔薇が描かれた傘を贈った。思惑を知らない彼女はそれを気に入ったようで、雨予報の日にはいつも持ち歩いていた。勿論夕立に見舞われた今も。 彼女は二人の上に傘を掲げて「やっと君を閉じ込められた」と笑った。僕らはどこまでも似たもの同士だった。