飯野っち

中年男。「話はそれからだ…」と中年男は言った では小説のようなものを書いてますが高尚な…

飯野っち

中年男。「話はそれからだ…」と中年男は言った では小説のようなものを書いてますが高尚なものではありません。 よろしくお願いします。

マガジン

  • 白ブリーフの夜明け「話はそれからだ…」と中年男は言ったS-3

    忘却のいうひと時の休息から目覚め、 男がたどり着いたのは賽の河原か 石塔は崩され、再び振り出しへと戻る 暗転か、流転か、捻転か、 混迷を極めた時、男は言った 「俺の白ブリーフはどこだ⁉︎」と…/ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

  • 飯野っちの無頼控

  • わらの豚「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン2

    風間詩郎、21歳。職業、大学生。 闇の中に飲み込まれた先は天国か?地獄か? 不穏な何か、見えない力に翻弄され、彼は運命に悪戯され続ける。 屈辱、恥辱、凌辱、あらゆる辱めのコース料理を喰わされながら。 彼は足掻く。 甦る過去の亡霊につまずきながら、現在を今夜を、そして明日を生きるために。 この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 小説のようなものです。 私の好きなものや事を集めて混ぜ込み吐き出したものです。 高尚とは無縁のものですが、お楽しみいただけたら幸いです。

  • 飯野っちの短編

  • 「話はそれからだ…」と中年男は言った。

    風間詩郎、17歳。職業、高校生。 日常という現実は時として理不尽な牙を剥く。 彼は通学の途中、事故で大怪我を負い車椅子生活を余儀なくされる。 それは日常の裏に潜む、非日常と不条理の罠であった。 彼は足掻く。 甦る過去の亡霊につまずきながら、現在を今夜を、そして明日を生きるために。 この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 小説のようなものです。 私の好きなものや事を集めて混ぜ込み吐き出したものです。 高尚とは無縁のものですが、お楽しみいただけたら幸いです。

最近の記事

自分らしさの大学デビュー「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その31

「榎本さん、何で正体を隠していたんだ」  俺たちは一旦、事務所を後にし、学食に来ていた。 「私は正体を隠してなどいない」  榎本の、さも当然かのような物言いに俺は驚く。 「え?それなら、その格好は」 「これは自分らしさを表現しただけのことだ」  榎本は俺の一言へ、食い気味に言葉を重ねてきた。 「なんだよ、それ。大学デビューか」  と西松は笑う。 「西松。君も似たようなものだろう。  大学入学と同時にカツラデビューしたのか?」  榎本も負けじと反論した。  

    • 掟、二次元の嘘 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その30

      「ジェフ、君に用はない。安子を呼んでくれないか」  大尉がジェフの前に立ちはだかる。 「安子のことを未だに呼び捨てにしているのか。  もう、お前にはその資格が無いことを理解したらどうなんだ」  ジェフが毅然とした態度で言ったその刹那、その声に衝撃を受けた。  さっきは一言のみで気づかなかったのだが、ジェフの声は格好良い。  イケボってやつだ。変に作ってたり、雰囲気で誤魔化しているようなやつじゃない。言葉が流れるようで滑舌も良い。  俺は声だけは格好良いと自負しているのだ

      • 秘密諜報員 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その29

         狭山ヶ丘国際大学は埼玉県入間市の丘陵地を切り開いて作られた。  東京ドーム何個分の敷地があるのかは知らないが、結構な広さがある。  丘陵地であることからして、校舎ごとに高低差があり、敷地内を移動するにも坂道があるのだ。  狭山ヶ丘国際大学を運営している、青梅財団の本部はこの大学の敷地の一番奥にある。  俺たちは大学内の一番大きな校舎を抜け、差し掛かった緩やかな上り坂を見上げると、そこに青梅財団の法人本部とされる建物が見えた。  白い壁の三階建ての古さを感じる建物だ。  そ

        • はみ出しは罪、それを見てしまう罰 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その28

           バスは到着時間を2分ほど過ぎてからバス停へ到着した。  この前のようにバスの車内では、他の客たちが互いに席の譲り合う光景が繰り広げられていたのだが、そんな光景を横目にして、俺たちは当然の如く着席する。  また道の譲り合いで渋滞に巻き込まれるのでは、という危惧をしていたのだが、それは杞憂で済んだ。  思いの外、バスは到着予定時刻通りに、狭山ヶ丘国際大学の最寄りのバス停へ着いた。  狭山ヶ丘国際大学へと続く長い坂道を前にして、言いようのない感情が湧いてきた。  ついこの前まで

        自分らしさの大学デビュー「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その31

        • 掟、二次元の嘘 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その30

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          31本
        • 飯野っちの無頼控
          27本
        • わらの豚「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン2
          49本
        • 飯野っちの短編
          4本
        • 「話はそれからだ…」と中年男は言った。
          24本

        記事

          大尉 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その27

          「“奴”がいたんだ」  と西松は呟いた。  午前10時。  俺は“奴”と遭遇した後、自宅へと戻り、夜が明けてから西松と約束した時間に所沢駅へ来ていた。  俺と西松は所沢駅前で狭山ヶ丘国際大学最寄りへ行くバスを待っている。 「でも、大丈夫なの?  “奴”ってペヤングの男だろ。今頃、これから俺たちが来るって話でもしてるんじゃないの?」 「“奴”は俺たちと一緒にペヤングが飲み込まれた話をしても、表情一つ変えなかったし、ペヤングの話をしてもまるで他人事のようだった。  しかも

          大尉 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その27

          ペヤングは焼きそば 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その26

           “奴”はいつも全身、赤い服なのだが、今日は同じ赤でもいつもと雰囲気が違う。  服が赤い軍服の様なデザインなのだ。しかも制服の袖が無く、髪はプラチナブロンドへ染められ、さらに“奴”のトレードマークとも言えるサングラス。  露骨なまでにアレを意識している。  某大尉だ。  しかし某大尉と違う点があるのだが、まず全身から放たれる“奴”の細くて貧相な雰囲気。袖無しから露出している“奴”の二の腕は細く艶なく、生白く弛んでいる。  決定的に違うのはズボンを含めた下半身だ。  “奴”は膝

          ペヤングは焼きそば 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その26

          異世界 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その25

          「だとしたら…、  この前、俺たちは所沢駅前で処刑されただろ?あの一件をきっかけに俺たちは異世界にでも飛ばされたのかな?」 「かもしれん」  俺の一言の後、西松の顔色は見る見るうちに蒼ざめていく。 「この前も言ったけど、俺たち本当は死んでるんじゃないのか?」  西松は消え入りそうな声で呟いた。 「それは考えられない。死んだ奴らばかりが存在しているのなら、それもわかるが、死んでいない奴らも存在している」 「それは?」  西松は希望を見出したかのような眼差しを投げ掛

          異世界 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その25

          ストリートピアノの闇

          街を歩くとどこからか聞こえてくる、ピアノの素敵な音色。 素敵な音色っていいですよね。 まるで空から音色の帳が降りてくるみたい。 一瞬で異世界に誘ってくれる。 それはどんな世界かしら? くすんだ桃色で栗の花の臭いがする、人の不埒な欲望が、まきぐそのようにとぐろ巻いた世界。 皆様の地元にストリートピアノってありますか? 僕の地元にもあるんです。 場所によっては全く相手にされていないピアノもあるのですが、僕の地元はわりと人気なのです。 人気になって人が集まると何が起こるのか。

          ストリートピアノの闇

          赤い稲妻、マリアージュ 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その24

           朝だ。  昨晩、ホテルへチェックインする前に、朝食用で買ってあったパンを食べている。  全粒粉とかってやつの固くて味の無いパンだ。  言うまでもなく不味い。  西松も同じパンを買い、食べている。 「素材の味が生かされていて、美味しいねぇ」  西松はしたり顔で呟いた。そのしたり顔が癇に障る。  さらに癇に障ることがある。  俺はホテルにあったインスタントコーヒーを飲んでいるのだが、西松は湯を飲んでいるのだ。  何の味もない、ただ沸かしただけの湯。  こんなもの、敢えて飲む

          赤い稲妻、マリアージュ 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その24

          全裸だけど 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その23

           あの不快な微笑みは何だ。  パリスの微笑みと違い、植村のものとも違う。  ただひたすら、虫唾が走る。 「キズナ ユキトさんの講演会にお二人も参加してはいかがですか?」  中年教師だ。 「僕たちはこれから用があるので、これで失礼します」  俺はそう言い残すと踵を返し、歩き始めた。  中年教師が俺の背中に向かって何か言っていたが、それに耳を傾けずに職員室から立ち去る。  校内はすっかり無人となり静まり返っていた。  俺たちは裏口に向かって歩いていた。 「西松、あのキ

          全裸だけど 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その23

          スパンコールの煌めき 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その22

           ここで感情を爆発させたところでどうにもならないのが虚しい。  そして、その虚しさが余計に腹立たしい… 「それはそうと先生、僕らが卒業した後に、先生方もかなり入れ替わりがあったみたいですね」  西松だ。 「そう見えますか?多少入れ替わりがあった程度だと思いますよ」  と中年教師は何の気無しといった感じに言った。 「植村先生の姿が見えないのですが」  西松だ。西松の野郎、また植村の話題を蒸し返すつもりか。 「うえむら先生?うえむら先生ならあそこにいますよ」  と

          スパンコールの煌めき 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その22

          いつも笑顔で 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その21

          [黒岩さんと西松さん、コーヒーを淹れましたので、職員室にいらして下さい]  校内放送が流れた。  それを聞いた学生たちが一気に盛り上がる。  早く行って飲んでみてくれだの、俺たちが栽培しただの、美味いだの、口々に俺たちを急かし始めた。 「旧校舎を確認する前に飲みに行くか?」  西松だ。  そんな学生たちの様子を見た西松は困惑気味だ。 「それもそうだな。ここで急がなきゃならない理由はない」  俺のその言葉に学生たちは大歓声をあげる。  こいつらは何故こんなことでここま

          いつも笑顔で 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その21

          粗末なお宝 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その20

           俺たちの後を学生たちが列をなしている。  西松が途中で用を足したくても、学生たちはその後に付いて来るものだから、西松は“邪魔だ”と言葉を荒げつつ、トイレへと入って行った。  その様子を見て、俺は学生たちへ疑念を抱き始めていた。  もしかして、この学校には俺たちに見られてはならないものがあり、その監視の為に学生らは使われているのではないか、という疑念だ。 「あっ!でっかい!」 「西松先輩、デカいですね!」  トイレから学生らの声が響き渡る。  何がデカいのか…  俺

          粗末なお宝 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その20

          帰れコールを浴びたくて 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その19

          「ありがとう」  エレベーターへ向かうと、学生の一人が戸を開け待っていた。  その学生へ礼を言うも、俺はここまで他人から親切にされたことがないせいか、どこか気不味い。  俺たちがエレベーターに乗ると、大勢の学生たちも乗り込んできた。  せいぜい十人乗りぐらいのサイズのせいか、すぐに満員となり、それを知らせる警報が鳴ると数人の学生が降りる。 「何階まで行きますか?」 「屋上まで頼む」  学生の問いかけに答えると、学生の1人がRボタンを押し、閉ボタンを押す。  誰も他の階

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          プラスチックな卒業生 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その18

           窓から顔を出していたのは見たことのない中年男だ。 「こんなところで、どうされました?」 「あっ…  僕たちはここの卒業生なんです」  と咄嗟に嘘を付いていた。  いや、俺たちはここの卒業生だ。  嘘ではないか… 「そうでしたか、どうぞ中に入って下さい」  中年男は満面の笑みを浮かべた。  その愛想の良さに少々、拍子抜けな気分だ。  俺たちは勝手に敷地に入り、敷地内をちょっとばかり掘り起こしていたのだからな。俺たちは完全に不審者だ。  中年男は窓から姿を消したと思

          プラスチックな卒業生 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その18

          三つ以上は沢山 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その17

           俺たちは入間川高校へ向かって歩き始めていた。  入間川高校への道のりは入間川駅から、徒歩でおよそ15分から20分の距離だ。  入間川駅から入間川高校近くまで行くバスがあるのだが、本数は少なく入間川駅から高校へ行く場合はほとんど徒歩であった。  所沢駅からのバスの方が本数が多かったことから、ほとんどの学生が所沢駅からバス通学をしていた。  入間川高校への道のりに続く風景は昔と何一つ変わりなかった。  住宅地か田園地帯といったところか。  そんな片側1車線の市道を歩き続け、入

          三つ以上は沢山 「話はそれからだ…」と中年男は言った シーズン3 その17