希望、あるいは連鎖の物語。
目の前には扉があった。
無色透明、ノブさえ付いていないのに、それはどうしてか扉にしか思えなかった。
透けて見える向こう側には空が広がっている。
柔らかな風が肌を撫でる。
その心地よさにゆっくりと目を閉じた。
生まれてから今まで、どれだけの優しさをもらって、どれだけの優しさを渡せただろう。
一番返したい人は決まってる。
誰より愛して、信じて、そばにいてくれた人。
それなのに、「いつか」と交わした約束を破ってしまったのは私のほうで、それを謝ることすらできなかった。
せめて代