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追想

雨音はどうして記憶を連れてくるのだろう。
あの緩やかな上り坂が、濡れた草木の匂いが急勾配の階段がフェンスに寄りかかるタイヤが、砂利の駐車場が目の前に引きずり出される。
もう歩くことのない道は何処よりも遠い。
置き忘れた感情も連れてきてくれればいいのに。
雨は答えず、ただ降り続けるだけだ。

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