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上鄉

いつか、と思っていた。
車窓を流れる山々は見慣れないもので、遠く離れたことに安堵する。
ずっとあの街が嫌いだった。
隙間なく並んだビル、人が溢れる街は何でも揃うのに空虚で酸素が薄い。
だからいつか、とずっと。

空の匂いがする。笹鳴りが笑う。
誰もいない駅のホームで、生まれてはじめて息をした。


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