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【過去作】詩…「潜在世界」

運命の道は幾千もあり
選んでどこへでもゆける
そのいばら道も 夜毎歩けば
血が血でなくなり
その道は赤く満ちる



そこにあってそこにない
歪んだ 螺旋階段の先
泥まみれ血まみれでも
恐れず怯まず 進んで 溺れ死のうとも



みるく色の寝台に倒れ伏せば
体の輪郭に合わせ
汁飴は渦巻いて 飴細工の夜始まる
纏わりつく白濁
それは透明になって
記憶を映し出す



生きたことのない
閉ざされた 機械仕掛けの街
差し出される手 黒革の手袋
繋いで絡めて 私を思い出さないで



たとえ二人の間に
海を裂く 別れがあっても
見えない体 肌色の温もり
飲み込み吐き出す 息すること忘れないで

潜在世界



初公開:2015年11月16日
詩過去作集「異世界」収録
photo by Pixabay https://pixabay.com/images/id-2622529/

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