何もかも便利さを優先させると、ある日、自分の手先から受ける肌感覚が失われつつあるのではないかと。そんな瞬間がくる前に、時に立ち止まって文字を書き、一呼吸おいてメイクを施す時間を。豊かさを原始的なところに、振り戻してみる。
美文字に触れ、カリグラフィーを書く時間をとる中で、1日毎に感じる変化がある。肩に力が入っているうちは字も、硬い印象のまま。流れる様に書いてみたり、しっかり角を取ってみたり。縦横のバランスやカーブの曲がり具合で、表情が変わるのが面白い。そうだ、まったくメイクアップと一緒なのだ。