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岐阜県庁〈GALLERY GIFU〉 詩とカリグラフィーを担当しました

昨年、完成したばかりの、新しい岐阜県庁舎。

一階にある「GALLERY GIFU」の中央に、インスタレーション「和紙の川」が完成しました。2024年7月16日より公開されています。


岐阜県庁「GALLERY GIFU」和紙の川

ゆらぎのある曲線が美しい、和紙でできたスクリーン。
「ひとつながりの川」をイメージしたインスタレーションです。

岐阜県は、旧「美濃の国」と「飛騨の国」に分かれています。
美濃と飛騨に流れる清流はそれぞれの文化を育んできましたが、その源流は「分水嶺」から分かれています。
その、ひとつに繋がっているイメージを抽象的に表現したのがこの「和紙の川」。
一本の川とその流れをイメージして、空間がデザインされています。

内部に照明があるので、和紙越しに感じる柔らかい光が行灯のようにやさしく灯って、幻想的な空間に。
そしてこのスクリーンの下部には、川をイメージした流れが、絵で表現されています。

空間デザイン・設計は、ELEPHANTdesignの門脇 和正さん
パース見せていただいた段階からすごくいいなと思ってましたが、実際の空間になって、その美しさに感動。さすがすぎる。


ギャラリーの天井には、美濃和紙で川の上流、中流、下流を表現。
美濃和紙の有機的な質感と、紙ならではの柔らかな風合いに、川底を泳いでいる鮎をはじめ、岩魚やアマゴ、サワガニやヤマメなどの水生生物が波間に現れるように描かれています。

まさに、岐阜の川です。

スクリーンの下部には、「ひとつながりの川」をイメージして、水の流れが連続して描かれています。

こちらの川の表現と、水中生物たちは、岐阜在住の渡辺悠太さんによって、現場で(!)和紙に描き入れて完成したという、大きな作品。
すごい…… 美しい。

「分水嶺」を中心として「飛騨」「美濃」に水が流れ、文化も一つに繋がっているイメージが、抽象的に表現されています。


詩のような、岐阜の自然を表現することばを

私は今回、「清流」「飛山」「濃水」「分水嶺」をキーワードに、四篇の短い詩を担当しました。

岐阜は古くから「飛騨の山、美濃の水」という意味で「飛山濃水の地」と呼ばれてきました。
県北部の飛騨地域は、夏は涼しく冬は寒い、積雪量の多いエリア。
御嶽山、乗鞍岳、奥穂高岳などの山々が連なる、山の国です。

対して県南部の美濃地域は、比較的温暖で穏やかな気候。のどかな濃尾平野に木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)に恵まれた、水の国です。

そのイメージをふくらませて、ふらりときてふっと読めるような、短い詩のようなコピーのような…という文を書いてほしい、というお話をいただき、岐阜県民として、そのアイデンティティも象徴的に盛り込みながら、私なりに岐阜のことを書き綴ってみました。

ここはギャラリーなので、文字の存在感はぐんと控えめがちょうどいい。近くに行くと読めます


和歌を日本語のカリグラフィーで表現しました

そしてもうひとつ。
飛騨と美濃のことを詠んだ和歌を二首、それぞれスクリーンの一部に入れたいということになりまして。

私がいつも書いている 俳句カリグラフィー のような感じで、和歌を描かせていただきました。

飛騨人の真木流すといふ丹生の川言は通へど舟そ通はぬ 詠人不知〈万葉集〉

和紙に川の和歌が、私のカリグラフィーで載っているなんてもう、感激すぎて…
ありがとうございます。うれしい。

とても貴重な機会をいただき、ありがとうございます!
岐阜県庁に立ち寄る機会のある方は、ぜひ覗いてみてくださいね。


*写真はすべてELEPHANTdesignさんよりいただきました


岐阜県庁舎
住所:岐阜県岐阜市薮田南2-1-1
開庁時間:開庁日の7:30から5:45
*GALLERY GIFUは県庁舎一階にあります。閲覧自由。


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