『生まれた時からアルデンテ』を読んだ。 作者の脳みその中をそのまま読んでいるようで、今まで読んできたエッセイの中で(そんなに沢山読んできた訳ではないけど)1番好きだった。 嫌いなものは嫌いなままで良くて、多数派に埋もれに行くような訳の分からんマネをしなくても良いんだなと思えた。
解散しても音楽は聴けるし、画家は死んでも絵は残る(『生まれた時からアルデンテ』p171より)。けれど飲食店はそうもいかない。昨日、閉店まで残り1週間となった前職の居酒屋を訪れた。薄暗い階段を降りるとき、込み上げるものがあった。終わるんだ。再会できる場所が、消えてなくなるんだ。
『美味しいものをただ食べさせて一丁上がりっていうのは、エサだと思うんですよ』(『生まれた時からアルデンテ』p46より)ドキッとした。エサと料理の違いって、「美味しい」のその先なんだ。今まで私はエサを提供していなかったか。エサを食べていなかったか。これは全飲食人に考えてほしいな