解決篇・3

どうして昨日の新聞が、ここに…?

「皆さんの疑問はわかっています。どうしてここに昨日の新聞があるのか、と。携帯電話も使えずラジオの電波も入らないような絶海の孤島に、新聞配達など来るわけがありません。ですからこいつは、誰かの手によって持ち込まれたわけです」

冷静を保とうとするが、心臓は意志に反して大きな鼓動を続けている。この男は一体どこまで真相を掴んでいるのだろう。

「さて、話は変わって中庭の

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ほんをたべる人

既に三十分経過。

僕はスマホの画面を見る。そしてあいかわらず同じ棚の前にいる人に目を向けた。彼女の目は、絶えず無数の紙面上を彼方此方に滑らせ、眼前の黄ばんだ紙束たちを吟味していた。既に鞄の中には先程駅前で買った新刊が数冊、左手にはすでにこの店で見繕われた未会計の文庫本が数冊抱えられている。だが彼女は、本を選ぶ手を止めようとはしない。先程から店中の棚からお気に召したジャンルの数棚に、数棚からひと棚

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ありがとうございます、よい一日を!
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こちら異世界商工会出張相談窓口

そこは昭和最後の年に建てられた古いデザインの鉄骨造りの施設だった。

 なかでも一際目を引く、ひどく古びた木製扉。

 かかっている看板にはこう書かれている。

【青石スタンプ会館 別館】

 扉の前に立った中老の男は取っ手に据え付けられている年季のはいった錠前を、鞄から取り出した鍵を使って解錠した。

「さぁてと……」

 明るい紺色のスーツに身を包んだ彼は袖を引いて腕時計を確認する。針が指す時

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君の命を僕に下さい

単刀直入に意味はそのまま

˚✧༚・゜゚・*:.。..❇︎。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*❇︎˚⁺˳✧

正面から君を見つめる

ああ、なんて

続く言葉を君は知ってる

ガラスだ

このキラキラとした美しく光り照らすものの正体。上から燦々と光が投げ込まれて行く。

人々は好奇心に負けたが最後。

窓際には煙を上げた人型の肉が転がっている、説明はいらないだろう

虫眼鏡で太陽の光を集め

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世紀の対決   (ショートショート)

(ショートショート小説)
 
 
 投了が告げられ、取材陣がなだれ込む。
 
 勝った棋士に喜びの表情はない。髪は逆立ち、顔には脂が浮き、目は落ち窪んでいる。夕食休憩に着付けし直したというのに、羽織袴は乱れきっている。元より棋士という職業に、スポーツのような勝利後の歓喜はない。相手を慮る、将棋独特の風習がある。勝利後もじっと難しい表情を浮かべ、一拍置いたのちに静かに感想戦を始める。それが常だ。しか

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紙芝居屋  (ショートショート)

(ショートショート小説)
 
 
 おじいさんが買ってきた飴玉の袋を、おばあさんはやんわりと取り上げた。
 
「ほらほらおじいさん、子どもたちへの景品はこちらにしましょうね」
 
 おばあさんは買ってきたマシュマロの袋を渡す。
 
「しかし紙芝居屋と言えば飴玉って、昔から決まっとるんだがのう。こんなフワフワのもんじゃなくて」
 
「ホント、今どきの子は硬いものがねぇ。それよりホラ、早く新作に取りか

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Cпасибо!(ありがとう) ニコ(^▽^)ライ・ヨロコブスキ~
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