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完結編:清廉潔白、正直で働き者の日本人妻による復讐が始まる。。。
最後に、これらの経験から私が学んだ教訓とは何か。
それは「うちに現金を置かない。(頑丈な金庫でもあれば話は別だが)」ということ。なあ~んだ、すごく当たり前のことじゃん、と思われるかもしれない。でも、お金が失くなるまではわからなかった。失くなってみてはじめて、その当たり前を痛感したのである。
「あ~、今、あのお金(円)があれば、、、」
そう。。。残念なのは、「円」が失くなったことだった。私がバリに
あれから10年、これが死ぬまで逃れられない聖水パワーの威力か???
それは、Mのダンナの「ある行動」によって明らかになった。その注目すべき「ある行動」とは、、、私が息子の中学の保護者会に参加して、顔見知りの父兄(となり村のバリ人)と立ち話をしている時、やはり保護者会に参加していたMのダンナが、私の存在に気づいたとたん、逃げるようにこそこそと姿を消すという、、、おかしな動きをしたのである。
このとき、私は運命のいたずらの意味を理解した。Mのダンナにとって、この状況(
村から罪人を出さずに、村の金庫にお金が戻った。めでたし、めでたしで、一件落着???
しかし、事件はここでうやむやになったわけではなかった。8人で「聖水」を飲んだ日から約5日後、思いがけない、ある「事実」が発覚した。
その事実というのは、、、Mのダンナには賭け事でつくった借金があった。ある村人の話によれば、長い間、返済の滞っていたMのダンナの借金(村の互助組合から借りていた)が全額、返済されたというのだ。Mのダンナの借金は村人の間でも有名で、村の集会で何度も返済を催促されていた。と
でもねぇ、バリの妖精が「聖徳太子」を盗むかね?盗まないと思うよ。ぜったいに!
結局、最後までMはお金を盗ったことを認めなかった。妖精トゥユールを犯人に仕立て上げ、「知らぬ、存ぜぬ」を押し通したのである。
でも、こういう結末が最初から予想できないわけではなかった。
そうだよな~ 飲んだら罪を自白する水なんて、あるわけないよなあ~
いや、もしかして、8人で分けたから量が少なかったのかな。4人くらいで分けていたら、効いていたかも。それとも、別の賢者のところ(Mはバリ人なので、バ
お金を盗ったのは、バリの妖精? いたずら好きで、お金を盗むのが好き、、、
う~ん。これは予想外の反応だった。Mはやってないと言い張っている。名乗り出るはずの人間が、自分はやってないと言っている。これをどう解釈すればいいのだろう。しかし、Mひとりが過剰に反応していることは確かだ。この反応の仕方はただ事ではないような気がする。もう一押しかもしれない。今度は私が口を開いた。
「ねぇ、M。ひとつ聞きたいんだけど、私たちが旅行に行って留守にしているとき、あなた、寝室にあった私のス
聖水はちょっと苦みがあって、ほんのり花の香りがした。。。
さて、これをどうやってMに飲ませるかだが、、、疑わしい人物(M)にだけ飲ませるのではなく、うちに出入りすることが可能な全員に飲ませてみた方がいい、というのが賢者の助言だった。
その日の夕方、賢者の聖水を飲むことになる全員がうちに集められた。まずYを含む絞り染めのスタッフが4人、つぎに下の子供をあずかってもらってる近所の主婦が1人、そして本日の主役M。それにプラス、ダンナと私の計8人。ダンナと私がメ
古ペットボトルに入った聖水。気になるお値段、なんと、たったの200円?
村長さんとダンナが賢者のところに出かけて行って、聖水をもらってきた。賢者の家は、サヌールというウブドから車で40分くらいの海辺の町にあった。聖水は1リットル入りのミネラルウォーターの古ペットボトルに入っていて、よく見ると、水のように透明というわけではなく、少し白く濁っていた。私は「これが聖水かあ」と光に透かしてみたりした。
それから、近くにいたダンナをつかまえて
「ねぇねぇ、それで賢者っていうのは
えええっ 賢者? 聖水? 自ら名乗り出る? ほんとうですか~???
「な、なんですか、それは?」という、困惑顔のダンナと私の前で、村長さんが得意げに語るところによれば、バリには失くなった物を見つけるのを特技(?)とする賢者(霊的な力をもつ者)がいる。失くなった物や盗まれた物がある時、バリ人はそうした賢者のところに行って聖水をもらう。そして、その聖水を疑わしいと思われる人間(複数のこともある)に飲ませる。
聖水には、物を盗った犯人に自白を促す効果があるので、聖水を飲
限りなく疑わしい。しかし、面と向かって「お金盗ったの、あんたでしょ」と詰め寄るべきかどうか、、、
それで、Mが何者かというと、近所のバリ人の主婦。(年齢は20代後半で幼稚園に上がる前の子供が1人いるということだった。)彼女の方から、お手伝いさんはいらないかと言って、うちにやって来た。近所の人なら、ある程度、素性も知れているから大丈夫だろうと、うちで働いてもらうことにしたのだが、、、(お手伝いさんを使うようになってから、うちでモノが失くなることがしばしばあって、一応は用心をしていた。)
ところ
バリにはバリ。インドネシアにはインドネシアのやり方がある。日本人がひとり騒ぎ立てたところで解決はむずかしい。
いざ自分のお金が失くなったとわかると、ダンナも人が変わったように真剣になった。私がお金が失くなったと苦しげに告げたときには、まるで「ひとごと」という感じで、ひと言の同情の言葉もなかったのに、、、自分にも害が及んだとわかってはじめて、モードがオンになったのだ。この人の、この変わりようはいったい何なのかと、ダンナの性格に不信を抱かずにはいられなかった。果たして、こんな人と力を力を合わせて、この問題に立
もっとみる封筒からお札を出して数える。1枚、2枚、3枚、、、え~そんなあ。足りない。お金、失くなってる。。。
「事件」が明るみにでたのは、私たち一家(ダンナと子供3人)が泊りがけの家族旅行から帰った日のことだった。私たちが留守の間に、仕事と犬の世話などを任せていたスタッフYの話がきっかけだった。(Yはうちに長く勤める信用のおけるスタッフで、うちの合カギも預けていた。)
Yによると、その日の朝、家の中の掃除をしていたお手伝いのMから、奥さんのスーツケースが閉まらないから手を貸してほしいと頼まれ、スーツケース
飲むと、自らの犯した罪を告白したくなるという「賢者の聖水」の効果やいかに? バリ式の犯人捜しが始まる。。。
「賢者」からもらった「聖水」を8つのコップにそそぎ、「いち、にの、さん」で、8人で同時に飲み干す。すると、そのうちの1人が「私はやってない」「私は何も盗ってない」「お金なんて盗ってない」と騒ぎ出す。他の7人は無言である。
これはどういう場面かというと、、、以前、うちに置いてあったお金が失くなったことがあって(円とドルとルピア、合わせて10万円くらい)、それを盗った犯人が誰かをつきとめるため、バリ式