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封筒からお札を出して数える。1枚、2枚、3枚、、、え~そんなあ。足りない。お金、失くなってる。。。

「事件」が明るみにでたのは、私たち一家(ダンナと子供3人)が泊りがけの家族旅行から帰った日のことだった。私たちが留守の間に、仕事と犬の世話などを任せていたスタッフYの話がきっかけだった。(Yはうちに長く勤める信用のおけるスタッフで、うちの合カギも預けていた。)
Yによると、その日の朝、家の中の掃除をしていたお手伝いのMから、奥さんのスーツケースが閉まらないから手を貸してほしいと頼まれ、スーツケースを閉める手伝いをしたという。

Yが何気なく語ったこの話に、私の耳はぴくぴくっとなった。えっ?スーツケースが閉まらない? っていうことは、私のスーツケースが開いていたってこと? いや、そんなはずはない。ぜったい閉まっていたはずだ。寝室のすみにスーツケースが1つ立てて置いてあり、その中にはふだん着ないもの(私の秋冬用の服とか)が入っていた。
はて? 私は首をひねった。ということは、Mが開けたってことだろうか? だとしたら、どうしてMは何の用もないスーツケースを開けたりしたんだろう? いったい何のために??? そう思いを巡らせていくと、もしかしたらと、、、と嫌な予感におそわれた。
そして、最初はぼんやりと、それから次第にはっきりと、私の頭に浮かび上がったのは、、、Mが私たちが留守の間に、うちの中をあちこち物色したのではないかという疑惑だった。

Yによれば、、、その日の朝、裏の仕事場で作業をしていると、Mが出勤してきて、「お掃除しなくちゃ」と言って、いそいそと家の中に入っていった。Yはずっと裏の仕事場にいたので、家の中は見ていない。が、しばらくするとMが出てきて、Yに言った。「奥さんのスーツケースを閉めたいのだけど、ひとりでは閉められないので手を貸してほしい。お願い、、、」と。そのときYは、なんかおかしいぞ(どうしてMはスーツケースに触ったりなんかしたんだろう)という気はしたが、Mに手を貸して、スーツケースを閉めた、、、ということだった。

大きな声では言えないが(小さな声で話しているつもりで聞いてほしい)、その頃、我が家にはお金(私のへそくり)が隠しておいてあった。私の大事な「聖徳太子」(絵柄が福沢諭吉になる前の1万円札)は、寝室の洋服ダンスの引き出しの奥の、たたんだ洋服のいちばん下に、封筒に入れて保管されているはずだった。が、もし、じっさいにMがうちの中を物色したのだとすれば、Mはあのお金を探し当てたのだろうか??? 私の中で、黄色いランプがカチカチ点滅し、心臓がどくどく鳴った。も、もしや、私はお金の隠し場所に突進して、タンスの中の服をかき分け、封筒を探し出した。

ああ、あった。よかった。セーフ!!! しかし、ほっと胸を撫でおろしたのも束の間、封筒からお金を出して数えてみると、1枚、2枚、3枚、、、え~ そんなあ~ 足りない。失くなっている。封筒に何枚か入っていたはずのお札の、そのうちの半分が消えていた。私は顔面蒼白、息も絶え絶えになって、ダンナにお金が失くなったことを告げた。

すると、ダンナの反応はこうだ。鼻で笑いながら、まず「お前の勘違いじゃないのか」から始まって、「そんなところにお金を隠しておく、お前が悪いんだ」というようなことを言い放つ。私の苦境をまったく理解しようとしない。「クッソー、ひょっとして、盗ったのはあんた?」という言葉が口に出そうになったが、YがMに頼まれてスーツケースを閉めた話をすると、ダンナは一瞬真顔になった。そのあとすぐ、部屋のすみにあった段ボールに駆け寄り、がさごそし始めた。そして、そこから古い財布を引っ張り出し、中を見て凍りついた。ダンナの「へそくり」も失くなっていたのだ。(ダンナのへそくりはドルだった。ダンナの被害額は、私の被害額の5分の1程度で、凍りつくほどの金額ではないと思うのだが、ダンナにとっては大金だったらしい。

そ~ら、見ろ。人(ダンナ)の不幸を喜んではいけないとは思うが、これで私の痛みがわかっただろうと思うと、笑いがこみ上げてきた。しかし、笑っている場合じゃない。
あ~あ、お金失くなっちゃったよ~

次回(part3)に続く。犯人捜しに向け、ダンナと私は協力し合えるのか。

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