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#音楽
背中を押されても頑張れない
応援することを、背中を押すと言う。
でも向暑はるは背中を押されることは好きじゃない。
だって貧弱なこの身体が、みんなに背中なんて押されてしまったらコケてしまう。
それに、目の前の道が平坦とは言えない疎らな道だとしたら、背中を押されてもその勢いで逃げ出してしまう。
だったら、一緒に横に立って手を引っ張ってくれるような応援があったっていい。
手を引っ張ってくれるもの。
向暑はるにとってそれ
住み慣れた部屋はもう誰かのものになっていた
とりあえず大学を車で一周した。
見た目も雰囲気も何も変わっていなかった。
でももうこの”中”に入ることはないだろうし、ここの住人ではないことの現実を突きつけられた気がした。
たった4年間。だけど4年間。
時間の隙間を埋めてくれる場所だったと改めて知る。
正門を通ったけど、そこは何も感じなかった。
向暑はるの家は正反対にあったから、正門を潜って大学に行くことは一度もなかった。
今考える
長く続けると”意味”を求められる
特別好きなわけでもないけど、人生の中で一瞬だけ心の拠り所になった音楽はたくさんある。
あるバンドが解散すると知った後、その心の拠り所になった彼らの音楽を聴きながら勝手に感傷に浸る。
そしてそのバンドが好きになる。
もう解散してしまったのに。
そんなことを1年で数回経験する。
去年は確か3回だった気がする。
そしてもう一度好きになった挙句、結局行き着くのは、”なぜ解散したのか”。
バン
好きな音楽は受け継がれていく
好きな音楽の系統は両親に影響されると向暑はるは確信している。
これは持論でしかない。
幼少期に、今は亡き世界的に有名なアーティストのDVDを父親から散々見せられた。
とりあえず見ろ、かっこいいから、と半ば強制的に、画面に目を置いていた向暑はるだけど、特別かっこいいとは思わなかった。
むしろ古臭い。
80年代〜90年代のポップスは古臭いと思うくらいには、向暑はるの耳は21世紀の音が馴染んで
一方的に命を嫌っている
年末恒例の大型歌番組の出演者が決まった日、
3つ歳が上の会社の先輩は、初出場の男性アーティストを見て、大いに興奮していた。
よほど嬉しかったのだろう。
席が二つ離れているはずなのに、仕事中ずっと鼻息が聞こえていた。
向暑はるはそのアーティストのことを知らなかった。
”若者から大人気”と誰かが書いた記事の見出しになっていたから、向暑はるはもう若者ではない。
いや、でも同期くんは知っていた