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【死語の世界】 第十三話 『ペンは剣よりも強し』
言わない。見ない。今となっては信じてもらえないかもしれないが、私が若いころは始終見かけたものだった。メディアが自らの鼓舞のために言っていたのだろうし、読むほうもそれを信じていた。
いま、ペン側のていたらくではなくて、まあそれもあるかもしれないけど、どちらかというと剣がステルスになったことが大きいように思う。いったいぜんたいだれ(のチーム)が最高権力を持ってるんだかまるで見えない。言論を揮ってもち
【死語の世界】 第二十二話 『道楽』
「下手の横好き」は「好きこそものの上手なれ」と対をなす、可愛げのあるいい言葉だとおもっていたが、昨今あまり聞かなくなった。下手のままずっと続ける根気が足りなくなっていることもあるだろうが、どちらかというとみんなそれなりに上手くなってしまうから、という理由のほうが大きいようにおもう。走ったり歌ったり、楽器の演奏も釣りも山もゴルフも、上手い人が多い。ブロガーの文章なども、プロの評論家や学者の論文には比
もっとみる【死語の世界】第十九話 『わんぱく』
1970年代に一世風靡した丸大ハムのコマーシャル「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」が懐かしい。
漢字は『腕白』と書くが当て字らしく、意味としては、子供、特に男の子が言うことをきかず、暴れまわったり、いたずらをしたりすることをいう。語源は諸説あり、「関白」の音変化ではないかというのが有力らしい。なんちゃら白(ハク)の白は「はっきりとしている様」の用法だろうから、つまり『腕白』とは「はっきり
【死語の世界】第二十七話 『不潔!』
「不潔」は衛生的でない、実際に汚らしいという意味と、精神的に淫らで汚らわしいことの二つの意味がある。「!」がつくものはたいてい後者の意味合いで使われるが、両方ともに死語となったようである。
物理的な意味が消えたのは、どんなおっさんもたいがい毎日風呂に入り、一度着れば洗濯に出し、なにより自分が発するにおいを気にするようになったことが大きい。加齢臭とかいう言葉を編み出し、資生堂やライオンは本格的にどん