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待ち望んでいたシリーズ最新刊

今日は久しぶりに新刊の書評を。

ベストセラーとなった「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の第二弾。

前作は文庫化しましたよね。

流行る前からチェックしていたことは少し自慢したいのですが、自分がいいなと思っていたものが人気になるのは悪い気はしませんよね。

勝手ながら、ヒットした強い要素だと思っているのが、

・ 福岡からイギリスに移住した作者であるパンクなお母さんの俯瞰的な視点

・ 排他的な子供社会の中で複数の文化的背景を持って現在を生きる息子さんの冷静な観点

・ イギリス労働者階級の親父の古き良き体質

この3つが渾然一体と混ぜ合わされた思想や価値観からの現在社会へのほんのりシニカルな示唆。

彼らの考え方や在り方が、日常風景を切り取りながら家族間や友人間のたわいない会話の中に散りばめてあり、それらが実に感心させられたり感動させられる光り輝く要素となっています。

そして、これらの要素の融合は、お母さん目線の何となく前向きになれる個性ある語り口と相まって、ノンフィクションなのにまるで池袋ウェストゲートパークのイギリス版のような風合いを醸し出しています。

「新しい時代はいつも知らないうちにやってくる」、なんてまんまマコトの語り口ですよね。

国、宗教、ジェンダー、貧困、教育、多様性、現在の様々な問題が会話の題材として取り上げられているのもまさにリアルなIWGPの世界。

今回この本と一緒にIWGPの最新刊を購入したというのも何か繋がりを感じてしまいます。

様々な問題は日々あれども、それでも日常は続いていき、その中で清濁見ながらも正しい思考を持って現実に向き合いながら真っ直ぐに成長していく息子さんの姿には、読んでいるこちらの心が洗われるものがあります。

惜しむべきは今回でこのシリーズは完結してしまうようですが、これも年頃のお子さんであれば、お母さんに日々の自分の姿を全世界に配信されるのは勘弁して欲しいですものね。

年頃になって親に話さないことが少しずつ増えていくというのも自然な流れのように思います。

仕方ないですが、またいつか隙間のエピソードなどでも構わないので続編を読みたいと強く願っています。

気になられた方、未読の方は、是非第一弾からお手にとってみてください。

Kindle Unlimitedだと現在無料で読めるようですよ。

今日も読んでくださいまして、ありがとうございます。

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